Image: Florence Ion - Gizmodo US

あのときできなかったことを、今こそ。

1996年の誕生からさまざまな形に進化してきた、たまごっち。でも今年、バンダイはあえて20年前の「Tamagotchi Connection」を復刻させました。日本では8月3日発売ですが、米国で一足早く入手した米GizmodoのFlorence Ion記者が、その飼い心地を伝えてくれてます。

ノスタルジアにはいつも救われてて、気分が落ちてるときのよりどころです。だからバンダイが初期のたまごっちを「Tamagotchi Connection」として復刻すると知ったときは歓喜でした。Tamagotchi Connectionには、2004年当時と同じ機能がほぼ全部あり、ゲームも赤外線通信もできます。米国では7月10日発売、価格は30ドルです(訳注:日本では8月3日、税込3,960円で発売)。

私はTamagotchi Connectionが発表された5月に入手できて以来、この復刻版を使って、というか、育ててきました。いかに大事にしてるか、写真でお伝えできてるでしょうか。画面は今も傷が付きやすいので、買いたい人はサードパーティの画面プロテクターも探しておきましょう。

このTamagotchi Connection、だいたいは楽しかったんですが、ここ2週間くらいはめんどくささが出てきました。1カ月以上飼ってきて、そろそろ電池外そうかな…と思ってしまってます。

過去からの遺物

たまごっちの成長図。(GIF: Bandai)

たまごっちはこの20年ほど、ほぼ毎年ニュータイプが生まれてきましたが、Tamagotchi Connectionは初めての復刻版です。オリジナル版の2004年モデルでは「ごっちポイント」が導入され、ゲーム内の通貨として、その後のたまごっちの基盤になりました。ごっちポイントは食べ物やいろんなアイテムと交換でき、後年は家具や服、ゲームも買えるようになりました。それによってたまごっちは単なるペット育成シミュレーションではなく、楽しみ方が一段と広がったんです。

復刻版のTamagotchi Connectionは、2006年リリースの「Tamagotchi Connection V3」がベースになっています。V3では赤外線通信を使い、たまごっち同士を遊ばせることができるようになりました。この機能は、Tamagotchi Uniなど最近のたまごっちでもほとんどで使えるようになっています。

でも2006年当時、「たまごっちをシンクさせる」なんて言ったとき、わかってくれる相手は貴重でした。だから今、コレクターが歓喜するのはまさにそこなんです。制服のポケットに忍ばせたたまごっちの遊び相手を見つけられず、教室の隅で肩を落としていた自分のなかのインナーチャイルドを癒やせるときが来たのではないかと。

今回のリリースはコレクターの間でも待望されているので、公式発売後には私もコレクター仲間でリアルに集まろうと思ってるくらいです。これは、初代Tamagotchi Connectionでは不可能でした。たまごっちの通信機能の斬新さを懐かしむ大人が集まるだけじゃなく、大人がスマホやタブレットから離れさせたい子どもたちも、そこには集まることでしょう。なお残念ながら、新Tamagotchi Connectionは、2004年版とは接続できません。

たまごっちのおなかメーターと、ごきげんメーター。(Image: Bandai)

Tamagotchi Connectionは、すごくオフラインです。そのデザインのすべてが、過去からの遺物です。バックライトがないので、暗いところでは見えません。解像度32×30のギザギザの液晶画面なので、キャラクターデザインにクリエイティブな工夫が感じられます。個人的に気に入ってるのは、5世代使ってたどり着いた、この幽霊みたいなキャラです。

Image: Bandai

長年のファンは、このTamagotchi Connectionの中には、20年近く前に日本でリリースされた「祝ケータイかいツー! たまごっちプラス」に近いソフトウェアが入っていることをご存知かと思います。

でも旧デバイスと違ってポーズ機能がないので、始めたらずっとお世話を続けなきゃいけません。2024年版では、インゲームのショップが決まった時間限定でなく、24時間いつでも使えるようになってます。コントラストが高くなっているので、人工の光の下でも見やすく、前よりも動きの反応が早くなっています。

もうひとつ2000年代と違うのは、今はたまタウンがないということです。でも少なくとも、友だちとつながれる機能はあります。一緒にゲームしたり、アイテムや食べ物をプレゼントしたり、一緒にゲームしたりできます。友だちにたくさん会うほどメーターも上がっていき、メーターがいっぱいになると赤ちゃんが生まれます。

難易度高く感じる

上の段落を書いてる間に、育ててきたたまごっちが死んでしまいました…。それ自体悲しみですが、やっぱり往年のバーチャルペットの遊び方は今の時代にそのまま持ってこれないのかな、という意味でも残念です。たとえば去年出たTamagotchi Uniはお値段2倍しますが、ネットにつながる機能もあるし、そのせいか複数のことを同時進行できない人間に対して寛容です。

まず、去年出たTamagotchi Uniには、たまごっちのお世話をしてくれるシッターさん機能があります。それに、プレイするミニゲームが簡単なんです。だからたまごっちが病気のときも、普通に仕事ができました。Tamagotchi Uniのミニゲームは短時間でできて、1回で100〜300ごっちポイントが簡単に手に入ります。でもTamagotchi Connectionの場合、ミニゲームもそれなりの作戦や集中力が必要で、もらえるポイントが少ないんです。

でも時間に余裕があれば、Tamagotchi Connectionでごっちポイント集めにかかる時間もそんなに気にならないんでしょうね。それに、Tamagotchi Connectionのお世話で疲れたら、電池を外しても大丈夫です。Tamagotchi Connectionの内蔵ストレージは、たまごっちの履歴を保存しててくれます。

コレクターズ必買、とまではいかない

Image: Florence Ion - Gizmodo US

たまごっちは今も楽しいですよ〜とか、私が言うようなものでもないかなと思ってます。でも私はこのTamagotchi Connectionを、20年前に自分ができなかったような形でちゃんと使えたのが、すごくうれしかった。ビンテージモデルを今復活させてる理由もわかります。大人は懐かしさに対して、子どもは非常用のローテクおもちゃに対して、お金を落としてしまうんです。

でもTamagotchi Connectionで長期間遊べるかって言うと、正直あんまり手応えがありません。2020年代向けにできてるTamagotchi Uniだったら、世の中マルチタスクしすぎだとか子どもはオンラインで遊びたいとか、って事情をわかってくれてます。しばらく止めてても気が向いたらログインして、自分が止めてから追加されたコンテンツに飛びつくのを楽しみにできます。

キラキラしたものが常時供給されるのが当たり前の今、Tamagotchi Connectionがどう受け入れられるのか興味津々です。ただ少なくとも米国では、2000年代にそうであったような、コレクターズアイテムとまではならない感じがします。

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