希少な深海生物の撮影・捕獲を目指す深海バラエティ『爆笑問題の深海WANTED10』(フジテレビ系 午後4時5分〜午後5時20分)が7月7日(日)に放送される。放送に先立ち、MCの爆笑問題(太田光、田中裕二)と解説を担当している鈴木香里武が取材会に出席した。

『爆笑問題の深海WANTED10』左から)鈴木香里武、田中裕二、太田光 ©テレビ静岡

 

2015年放送の第1回より95%が未解明と言われる「深海」の神秘にさまざまな角度から迫り、研究機関も驚くほどの激レアな深海生物の撮影・捕獲・展示に成功してきた『爆笑問題の深海WANTED』。

 

記念すべき10回目となる今回は、MCを務める爆笑問題が初めてスタジオを飛び出し、サンシャイン水族館で激レア深海世界を疑似体験。さらに、照英が「沖縄・久米島で新種発見」という難関ミッションに挑む。

 

◆第10弾の収録を終えていかがですか?

田中:いつもスタジオで収録していましたが、今回はサンシャイン水族館での収録で、開館前に全部撮り終えないといけないという。

 

太田:魚が全員寝てましたよね。びくともしない。

 

田中:起きてましたよ(笑)。朝から撮影して気合が入っていましたね。

 

太田:10回で10年と聞くとずいぶん続いたなと思いますし、長寿番組になったんだなという気がします。毎回新しい発見が絶対にあるので、貴重な番組だと思います。20年目指しますか!

 

鈴木:僕は第6回から参加させていただきましたが、それまでは深海ファンとして第1弾から見ていました。この10年の間に深海を覗く技術、人々の知識、感覚もどんどん鋭くなってきて。番組1回1回を切り取っても面白いですが、番組を通して深海研究の発展をあたらめて感じる第10弾だったなと思います。ただの番組ではなく、研究の一助になっていると感じました。

 

◆初めてロケという形での収録になりましたが、いかがでしたか?

太田:自分たちの後ろに水槽があって、いろんな魚が泳いでる。画としては強いなと思うんですけど、それと同時にクロマキー(グリーンバックでの合成)にも見えるなと(笑)。

 

田中:でも、バックだけではなく、我々がいろいろなことにチャレンジもしています。それは合成やCGではできないことなので…。

 

太田:画面的には合成に見えるんだけどね(笑)。

 

鈴木:魚たちの前で収録ができるということにワクワクしながら今朝起きたのですが、我々は魚たちを見てないんですよね。バックにいるので。魚を見ながらしゃべりたい気持ちを抑えながらでしたが、きっとテレビに映ったら非常にきれいになっているんだろうなと思います。

 

◆照英さんの沖縄ロケも放送されるということで、新種発見というのも今回の一つのテーマになっていますが、沖縄のVTRを見ていかがでしたか?

田中:素人は、新種自体が分からないんです。他にも見たことない魚がたくさんあるので、どれが新種なのか分からない。新種の意味ってここにあるんだ、これが新種なんだ、というのが衝撃的でした。普段分からない、知りもしないことだらけだったので、勉強になると思います。

 

太田:魚に詳しい人が見ると、新種の魚に対して「あっ!」となると思うんですけど、我々からすると全部「あっ!」となるんです。普通の魚も全部新種のように見える。だから全部新種って言っとけばいいんじゃないかな。

 

田中:うそはだめだから(笑)。感覚的にはそうなんですけどね。

 

鈴木:新種を発見しに行こうというのがものすごく壮大ですよね。新種発見というと、研究者じゃないと行けないような場所で、研究者にしか分からない、研究者しか使えない方法で…といったようなお堅いイメージがあるけれど、第10弾は新種をいかにして見つけていくかという別の入り口を見せてくれていると思います。

 

◆深海生物ならではの魅力はどのようなところに感じますか?

田中:全くの闇の中って、我々からしたら想像できないんですよね。撮影するときはライトを当てて撮っているので、自分たちが見ているものと実際は違うんだろうなと。そこが神秘的と感じます。闇の中で暮らしていて、ライトを当てるとすごくきれいに光るという。きれいでミステリアスで魅力的ですね。

 

太田:例えばマグロやイワシのような、普段見ている魚とは全く違う、宇宙人を見ているんじゃないかくらいの気持ちで。何色にも光るというのはどういうことなのかなと思います。まるで魅せているかのようですよね。

 

鈴木:深海魚ってよくグロテスクだと言われますが、その突拍子もない姿形全てに、そうあるべき物語や生きざまがあるんです。あの過酷な世界で生きるためには普通の顔では難しくて。目が大きかったり小さかったりいろいろな方向の進化があります。その奥深さに僕はほれ込んでいます。

 

太田:光ったり透き通ったりしているのは不思議だよね。

 

鈴木:パレードみたいに光って見えるのは発光ではなく反射で、光を当てたときにシャボン玉が虹色に輝くのと一緒です。細かい毛みたいなものがうまく光を反射すると、ネオンのように見えるんですよね。もちろん発光している生き物もいるんですが、本来は光のない世界だから今回の番組で見られるような光り方はしません。撮影のライトが当たることによって演出されているような感じになるんですよね。本来の彼ら以上に美しい姿を我々に見せてくれているかもしれません。

 

◆これまでの放送の中で印象に残っている深海魚はいますか?

田中:かごの中にずっと入っていて、一生出られないみたいな魚がいて…。

 

鈴木:カイロウドウケツですね。

 

田中:あれはなんだろう!っていう。不思議だなーと思いました。

 

鈴木:かご状の筒みたいなものが、カイロウドウケツという海綿動物で。網の構造になっていて、小さい頃に、エビの赤ちゃんが網を通って中に入って来るんです。その中で成長していくと、出口がないので網目よりも大きくなった瞬間にもう一生出られなくなるんですよね。それがどういうわけか、ほとんどの確率で2匹中に残るんです。残った2匹は子孫を残さないといけないので片方がメス、片方がオスに分化していって、一生別れられない夫婦になって卵を産んで。生まれた赤ちゃんは網目を通れるのでそこから外の世界に流れ出ていって、親の2匹はそこで一生を添い遂げるんです。日本では結納の品に使われたりする縁起物になっています。面白い生態ですよね。

 

◆10年続いてきたこの番組での目標はありますか?

田中:毎回何かしらの新種発見をやっているから、“新種発見”が目標にはならないですよね。今まで捕獲されたことがない、どの水族館も欲しいものがきっとあると思うんです。分かりやすい有名なところでいくとシーラカンスを照英さんが釣り上げる。これができたら一番いいですよね。

 

太田:人魚とかね。タイタニックとかアトランティスとか、そういう大発見ができたらいいですよね。あと徳川埋蔵金とか。

 

田中:もう魚関係ない(笑)。

 

鈴木:僕はこの番組の目標が明確にあります。田中さんもおっしゃっていましたが、シーラカンスを日本国内で発見すること。絶対どこよりも早くこの番組でやりたいと思っています。シーラカンスは現存しているし、アフリカやインドネシアに行けばさほど難しくなく出会うことはできるのですが、ワシントン条約の関係で国境を越えられないから、海外で取ったものを国内で展示することはできないんです。もし国内の水族館で生きたシーラカンスを展示するには、日本国内で見つけるしかない。今のところ日本にはいないとされていますが、僕はいると信じているので、この番組のゴールとしてシーラカンスを見つけたいです。

 

◆深海のミステリーに迫る本番組にちなみ、爆笑問題のお二人が相方にミステリーな部分を感じることはありますか?

太田:田中とは知り合って40年以上になりますが、ここ数年謎が深まるばかりで。付き合えば付き合うほど分からなくなる。話が通じないことがどんどん増えてきたんですよね(笑)。人間ブラックホールというか、全てのものを吸い込んで無にしてしまう人間がいたんだ、という…発見です。ね?

 

田中:分かんないよ(笑)。自覚ないから(笑)。一般的には太田さんの方がミステリアスな雰囲気があるかなと思うのですが、意外にそういう感じもなく。正直に思ったことを言うので不思議さはないのですが…。でも、どうしても誰かを怒らせちゃう(笑)。なんでそうなるかってなんとなく分かりそうなのに、分からないらしくて。炎上や反発ばかりを気にして何も言わない、当たり障りのないことだけを言うような性分でもないので、そこが不思議といえば不思議ですが、でもそこがいいところでもありますよね。

 

◆爆笑問題のお二人や鈴木さんそれぞれが思う番組の見どころを教えてください。

田中:僕たちは香里武君みたいに魚に詳しいわけではないので、素直に驚けるし、視聴者目線に近いと思うんです。最初は苦労も知らずにもっと(魚を)取れないのかと思っていたのですが、VTRを見ているとその大変さがだんだん分かってきて。詳しくない僕たちと専門の香里武君、お互いが助け合っているような番組だと思います。

 

太田:香里武君は粘って長時間ロケをしていたりしますが、本当に好きだからこそできる。俺らがロケに行っていたら、温泉に入って風景だけ撮って帰ろうよ、ってなっているだろうから、香里武君にロケに行ってもらえるのはすごく助かります。地球のほとんどが海で、少しの陸上もほとんどが密林で、人間が住むところって本当に小さいんだ、とこの番組を見ているとあらためて分かると思います。いつか、映画館なんかで魚たちのミュージカルのような感じでこの番組をアニメ化したりしてみたいですね。「リトルマーメイド」みたいなタイトルで…。

 

田中:もうやってるわ(笑)。人魚好きだね。

 

鈴木:魚の勉強をしている者からすると、幼少期は深海ってすごく遠い世界のような気がしていて、到底手が届かないところだったはずで。もちろん今もそうなんですけど、この番組を見ていると、大変な面もありつつ、深海って手が届くものなんだと思えると思います。水深の問題だけではなく、技術的な問題も、今はけっこう人の熱量によって技術が高まってきているので、深海が近づいているなと。魚好きにはそういうふうに映るんじゃないかなと思います。

 

太田:この番組が始まったころは今みたいに深く潜れなかったよね。

 

鈴木:第1弾も見ていましたが、相当苦戦されてましたよね。

 

太田:10年でかなり深く潜れるようになったし、この番組もここからさらに面白くなるような気がします。

 

PROFILE

爆笑問題 太田 光

●おおた・ひかり…1965年5月13日生まれ。埼玉県出身。O型。

 

爆笑問題 田中裕二

●たなか・ゆうじ…1965年1月10日生まれ。東京都出身。B型。

 

鈴木香里武

●すずき・かりぶ…1992年3月3日生まれ。株式会社カリブ・コラボレーション代表取締役社長。

 

番組情報

『爆笑問題の深海WANTED10』

フジテレビ系

2024年7月7日(日)午後4時5分〜午後5時20分

 

©テレビ静岡