2018年10月と2019年3月に連続して発生した「ボーイング737 MAX8」の墜落事故に関連して、アメリカの司法省が機体を製造したボーイングに対して「詐欺罪」を認めるように求めていることがわかりました。ボーイングが認めた場合、罰金支払いや観察処分、独立監査を含む司法取引案が正式に提案される予定ですが、このことを知らされた事故の遺族の中からは「ボーイングはちゃんと裁きを受けるべき」と怒りの声も出ています。

US wants Boeing to plead guilty to fraud, lawyers say | AP News

https://apnews.com/article/boeing-criminal-charges-plea-deal-861175435e04039112fde0ac6bdbf75a



US to criminally charge Boeing, seek guilty plea, sources say | Reuters

https://www.reuters.com/legal/us-pushes-boeing-plead-guilty-connection-with-fatal-crashes-sources-say-2024-06-30/

2018年10月に発生したエチオピア航空302便墜落事故、および2019年3月に発生したライオン・エア610便墜落事故は、いずれも「運航機材がボーイング737 MAX8で、離陸時に発生した事故」という共通点があります。

その後の調査で、ボーイングは機体の安全評価で政府機関をだましていたことが判明。「特定の条件を守れば犯罪訴追を見送る」という訴追延期合意を結び、総額25億ドル(約4020億円)を支払うことになりました。

ボーイングが総額2600億円以上を「航空機の安全評価で政府機関をだました」ため支払うことに - GIGAZINE



しかし、この合意にボーイングが違反したと司法省は判断。2件の墜落事故に関して、新たに詐欺罪を適用する方針であることを明らかにしました。

もしボーイングが詐欺罪を認めた場合、司法省は罰金4億8720万ドル(約780億円)の支払いと3年間の保護監察処分、およびボーイングの安全性とコンプライアンスを監査する独立機関の設置などを含めた司法取引を正式提案する予定だとのこと。

なお、司法省の方針について事故遺族はボーイングへの伝達より先にビデオ会議で知らされています。ライオン・エア610便墜落事故で24歳だった娘のサミアさんを亡くしたマサチューセッツ州在住のナディア・ミラーンさんはAP通信に対し、「憤りを感じます。ボーイングは訴追されるべきです。(司法取引案は)ボーイングが責任を逃れるための修正案に過ぎません」と怒りをあらわにしました。

司法省は内容について「交渉の余地なし」の姿勢で、ボーイングが罪を認めない場合、ただちに裁判に移る姿勢だとのことです。