宮原知子×坂本花織 対談 後編(全2回)

『ファンタジー・オン・アイス2024』の千秋楽・静岡公演(6月22〜23日)を前に、出演スケーターである宮原知子さんと坂本花織さんの対談が実現! 後編では、静岡公演で披露するそれぞれのプログラムの見どころを伺いました。


『ファンタジー・オン・アイス2024』に出演している宮原知子さん(左)と坂本花織さん

【コラボで魅せる幸せオーラと輝き】

ーー『ファンタジー・オン・アイス2024』は6月15〜16日の神戸公演からBツアーが始まりました。いかがでしたか?

坂本花織(以下、坂本) 私は初めて『ファンタジー・オン・アイス』のオープニングで(順番がトリの)ラストだったので......。

宮原知子(以下、宮原) 大役を担ったね。

坂本 盛り上げる大変さを今回初めて思い知りました!

宮原 私は、1公演目はいつも緊張するんですけど、オープニングとフィナーレをちゃんとやりきって。ちょっと間違えてしまったんですけど、要領をつかめた感じがしたのでいったん、ふぅー、という感じです。

ーーBツアーの見どころはどんなところでしょうか?

宮原 コラボレーションはみんなが知っている曲ばかりなので、お客さまもスケーターもみんな一緒に「わぁー!」と盛り上がれるところが一番の見どころかなって私は思います。

坂本 (ミュージシャンの)石井竜也さんや一青窈さんは上の世代の方も知っているし、家入レオさんは若者世代も知っていて、老若男女みんな、年齢性別問わずみんなが楽しめるショーになっているのではないかなと思っています。

宮原 入り込めるね。

坂本 うんうん!

ーー今回、おふたりともコラボレーションプログラムがありますね。

宮原 Aツアーのコラボはけっこう激しい音楽でロックンロールな感じが入っていたんですけど、Bツアーの石井竜也さんとのコラボ『はなひとひら』では幸せオーラがあって華やかで、ゆったりした感じになっています。自分も滑っていて心穏やかになるので、そこをお客さまにも伝えられたらいいなというのが、一番見せたいところです。幸せオーラを。


石井竜也さんとのコラボーレーション『はなひとひら』

坂本 私の見どころは......。

宮原 『Shine』!

坂本 そう、家入レオさんとのコラボで『Shine』! 歌詞のどのShineをとっても「輝いてる!」みたいな感じがやっぱり見どころかなと思っています。私はどんな時でも笑っている感じなので、自分の笑顔で見ている人も笑顔になってくれたらいいなと思って滑っています。


坂本さんと家入レオさんとのコラボレーション『Shine』

宮原 歌詞もめっちゃかおちゃん(坂本)にぴったりだなと思いながらいつも見てる。

坂本 ありがとうー。感情移入しながら滑っています。

【ソロでは新しい表現に挑戦】

ーーソロプログラムはいかがですか?

宮原 私はふたつ用意しているんですけど、ひとつは『Minor Blue』という曲で、今年2月にステファン(・ランビエール)のところでダンスの先生と一緒に陸上からつくりました。それをステファンに手伝ってもらって氷に移して仕上げたプログラムです。テーマがけっこう難しくて、「本当の自分を探す」「自分とは何か」ということです。自分が繕っている仮面を触ったり感じたり、それを外して滑ったり、本当の自分をさらけ出したりということがテーマになっていて、毎回音楽が始まって30秒後くらいにリンクの真ん中で動くところがあるんですけど、そこは即興の部分なんです。そこも含めて毎回違う感じで滑れるので。でも自分でも何をやっているのかわからない時もあって。とりあえず音楽に間に合うようにやってる(笑)。

坂本 すごい!

宮原 そこも逆に「合わせようとしないで」と言われるので。私はけっこう音楽に合わせてきっちりやろうとしちゃうんですけど(笑)。

坂本 性格が出るよね(笑)。

宮原 そう(笑)。そこを外すのも曲のテーマだからと言われているので、チャレンジなプログラムになっています。もうひとつは初めて樋口美穂子先生とつくったプログラム(『Solo Pa` Bailarla』『Vientos De Alma』)で、ちょっと楽しいアルゼンチンのフラメンコ風ラテンプログラムになっています。Aツアーで滑った時、ずっと黒い衣装だったんですけどそれは本来のものではなくて、最終日に衣装が届いてようやく本物を使ったっていうことがありました(笑)。


ラテンプログラムの『Solo Pa` Bailarla』『Vientos De Alma』

ーー坂本選手のエキシビションプログラムはいつつくったんですか?

坂本 2月末くらいにつくっていただきました。エキシビションプログラムを作る時、いつもは最初に「ジャンプを何本入れたいか」という話から始まることが多いんですけど、今回は「ジャンプはいったん置いておこう」と。競技となるとどうしても頭が「ジャンプ、ジャンプ」となってしまうので、今回は「表現などのジャンプ以外のところに力を入れてやってみない?」と。振り付けをしていくなかで、ここでジャンプを跳べそうだなというタイミングでジャンプを入れたので最初の2個だけになりました。でも、それがけっこうよくて。表現ってすごく楽しいというのをこのエキシビションプログラムでほぼ初めて感じたので、自分にとってもいいきっかけになったプログラムだなと思いました。


エキシビションプログラムの『Poison』

宮原 衣装もいい。あの濃い赤がめっちゃいい。似合う。

ーー石井竜也さんが歌うBツアーのオープニング&フィナーレはいかがでしたか?

宮原 知っている曲だったので、滑っていてすごく気持ちいいです。

坂本 歌いながら滑るよね。

宮原 男子と組んで滑るパート(宮原&デニス・ヴァシリエフス、坂本&ランビエール、三原舞依&友野一希)の時も、デニスとふたりで歌いながら滑ってる(笑)。

坂本 仲良い(笑)。衣装もきれいだったよね。

宮原 色もカットもすごくきれい。あと脱ぎやすいから早着替えしやすい(笑)。ボタンではなくマジックテープとかで止めているので、すごく脱ぎ着しやすいんです。

【涼しいけど熱いショー「迷ったら来て」】

ーーでは最後に、6月22〜23日の静岡公演に向けてファンの皆さんにメッセージをお願いします。

坂本 『ファンタジー・オン・アイス』は個人のプログラムも見られるし、コラボはこの期間でしか見られないものだから、新しい発見があるというか。これきりだから、ぜひ見にきてほしいです。

宮原 歌手の皆さんとのコラボもあるし、ショーの最後には今までにないステファンとギヨーム(・シゼロン)のコラボやギャビー(ガブリエラ・パパダキス)ちゃんたちのコラボもあって、その雰囲気というのがまた違うショーを見ているような感覚にさせられるというか。神戸公演が終わったあとだからきっとみんなのユニゾンがもっとよくなっていると思うので、そこも見どころです。

坂本 そうだね、そういう部分も本当に見てほしい!

宮原 迷ったらぜひ来てください! 照明の感じとかもすごく楽しめると思います。

坂本 静岡公演は上のほうの席でも充分楽しめると思います。最近は外も暑くなってきているので、涼みたいなと思ったらぜひ。(笑)リンクなので涼しいですよ! 涼しいけど熱いショーです!

終わり

前編<宮原知子と坂本花織が語らう『ファンタジー・オン・アイス』裏話「絆があるアイスショー」>を読む

【プロフィール】
宮原知子 みやはら・さとこ 
1998年、京都府生まれ。4歳からフィギュアスケートを始める。2014〜2017年に全日本選手権4連覇。2015年世界選手権2位。2018年平昌五輪に出場し、日本選手大会最高位の4位に輝いた。2022年に現役引退し、プロスケーターとして活躍中。

坂本花織 さかもと・かおり 
2000年、兵庫県生まれ。中学2年の時に全日本選手権で6位入賞し注目を集める。2018年平昌五輪で6位入賞、2022年北京五輪では銅メダルを獲得。全日本選手権は2018年、2021〜2022年の通算4度優勝。世界選手権は2022年から3連覇中。