3Dパイプや迷路のスクリーンセーバーはどういった理由で採用されたのか?
かつてWindowsのスクリーンセーバーには、パイプがどんどん伸びていく「3Dパイプ」や、オブジェクトが画面内を飛び回る「3D飛行物体」、迷路空間が広がる「3D迷路」、指定した文字列が回転しながら動く「3Dテキスト」といったものがありました。なぜこのようなスクリーンセーバーが搭載されていたかについて、MicrosoftのWindows部門でプログラマーだった経験を持つレイモンド・チェン氏が真相を明かしています。
https://devblogs.microsoft.com/oldnewthing/20240611-00/?p=109881
スクリーンセーバーに携わったのは、チェン氏の友人が所属するOpenGLチームです。
1994年、OpenGLをサポートしたWindows NT 3.5がリリースされることになったのですが、リリース直前になってもOpenGLに対応したことをユーザーにアピールするような機能は一切搭載されていませんでした。
チェン氏の友人は、製品の安全性に影響を及ぼすことなくOpenGLに対応したことを宣伝をするべく、スクリーンセーバーに注目しました。まだインターネット接続によるソフトウェアの自動更新などが一般的ではなかった時代に、なにか問題のあるソフトウェアを提供してしまった場合、大変なことになってしまいますが、スクリーンセーバーであれば「該当するスクリーンセーバーは使用しないでください」ということにすれば済むためです。
OpenGLチームは、Windowsに実装するための作品を選ぶためのコンテスト実施を決定し、メンバーは思い思いの作品を作りました。
一方、コンテストの投票はWindows NTの開発チーム全体で行うことになり、お知らせのメールが送られたのですが、その中でマーケティングチームに所属していた人が「最優秀作品だけではなく、すべて追加しよう」と提案したことで、「3Dパイプ」をはじめとしたOpenGL使用のスクリーンセーバーはすべて採用されることになったそうです。
ちなみに、以下が「3Dパイプ」のスクリーンセーバーの動作風景。
3D pipes screensaver (1080p) - YouTube
Windows 95で「3D飛行物体」を実行するとこんな感じです。
Windows 95 Screensaver - 3D Flying Objects (4K) - YouTube