「骨粗しょう症」の予防法はご存じですか? 原因や日常生活でできるケア方法も医師が解説!

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骨が弱くなり、ちょっとしたことで骨折してしまう「骨粗しょう症」。寝たきりになるリスクも高く、その後の死亡率も上昇することがわかっています。一体、骨粗しょう症を防ぐには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。「八木整形外科」の八木先生に解説していただきました。

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監修医師:
八木 敏雄(八木整形外科)

昭和大学医学部卒業。その後、昭和大学医学部整形外科学講座入局、関連病院で勤務医として経験を積む。2023年、東京都武蔵野市に位置する「八木整形外科」勤務、副院長を務める。医学博士。日本骨粗鬆症学会認定医、日本整形外科学会専門医・認定運動器リハビリテーション医・認定スポーツ医、日本スポーツ協会認定スポーツドクター。昭和大学病院整形外科兼任講師。

骨粗しょう症の原因

編集部

まず、骨粗しょう症について教えてください。

八木先生

簡単に説明すると、骨密度が低下して骨がもろくなってしまった状態を指します。骨の量が減ることで、ちょっとしたつまずきや転倒などでも骨折するリスクが高まり、寝たきりの原因になることもあります。

編集部

なぜ、骨粗しょう症になるのですか?

八木先生

最大の原因は「加齢」です。骨はカルシウムなどのミネラルを原料として作られていますが、高齢になると腸や腎臓の能力が衰え、カルシウムの吸収量が減少してしまいます。また、骨は常に新陳代謝を繰り返しているのですが、年齢を重ねると新しく作られる骨よりも壊される骨の量が多くなってしまい、骨の密度が低下してしまうのです。

編集部

そのほかにも原因はありますか?

八木先生

骨粗しょう症は、閉経後の女性に多くみられる疾患です。女性ホルモンの「エストロゲン」が骨の健康に大きく関与しており、閉経を迎える頃になるとエストロゲンの分泌量が減少し、骨が脆くなってしまいます。そのほか、運動不足、喫煙、アルコールやカフェインの多飲、ステロイド剤の服用、日照不足なども関係しています。さらに、若い人でも無理なダイエットが原因となって、骨粗しょう症が発症することもあります。加えて、遺伝的な要因が関係していることもわかっています。

骨粗しょう症にならないために日常生活で気をつけるべきこと

編集部

骨粗しょう症にならないためにはどうすればいいのでしょうか?

八木先生

まずは、生活習慣を見直す必要があります。特に喫煙はカルシウムの吸収を妨げ、骨密度を低下させる原因となるため、タバコを吸っている人は禁煙を心がけましょう。また、過度なアルコール摂取も骨粗しょう症の原因として知られているので要注意です。

編集部

食事も重要ですか?

八木先生

もちろんです。牛乳、チーズ、小魚、豆腐などのカルシウムが豊富な食事を摂ること、あとはビタミンDを積極的に摂っていただきたいですね。ビタミンDは鮭やイワシ、シラスなどの魚介に多く含まれています。

編集部

ほかにも、注意すべきことはありますか?

八木先生

運動も骨粗しょう症予防に重要です。通常より早歩きのウォーキングを継続しておこなったり、太ももなどの大きな筋肉を鍛えたりしてみてください。ただし、運動の強度には個人差があるので、無理のない範囲で実施しましょう。

編集部

ウォーキングと筋力トレーニングの両方をおこなうことが必要なのですね。

八木先生

はい。ウォーキングは骨に物理的な刺激を与えて、骨を強化することができます。また、筋力トレーニングをおこなうと骨をサポートする筋肉が鍛えられ、転倒予防にもつながります。

骨粗しょう症の治療法

編集部

骨粗しょう症を放置すると、どのようなリスクがあるのですか?

八木先生

骨の密度が低下してもろくなると、日常生活のちょっとしたことでも骨折をしやすくなります。さらに、1カ所骨折をするとほかの部位も連鎖的に骨折をすることもあります。こうした骨折の連鎖は「ドミノ骨折」と呼ばれています。

編集部

ほかにもリスクがあれば教えてください。

八木先生

背中が丸くなるなど姿勢が変化することで全身の安定性が失われ、転びやすくなることがあります。また、背骨が曲がることで胃が圧迫され、食事が喉を通らなくなって「逆流性食道炎」を引き起こすこともあります。そのほか、慢性的な痛みが生じたり、行動が制限されたりすることで、外出の機会が減り、「認知症」や「うつ病」などを招くこともあります。

編集部

骨粗しょう症の自覚症状はありますか?

八木先生

骨粗しょう症の初期段階は痛みもなく、自覚症状がほとんどありません。進行すると、「背中や腰が曲がる」「身長が縮む」「背中や腰が痛む」などの症状が表れます。

編集部

医療機関で治療することはできるのですか?

八木先生

できます。骨密度の測定、レントゲン撮影、血液検査、尿検査などをおこなって骨粗しょう症と診断された場合には、主に「薬物療法」や「栄養指導」などをおこないます。骨粗しょう症の治療は非常に長期に及ぶことがあるので、根気良く継続しましょう。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

八木先生

骨粗しょう症は自分でも気づかないうちに進行し、骨折を伴って発症することから、その早期診断と予防がとても大切です。ご家族に骨折のエピソードがある人や閉経後の女性は、積極的に医療機関を受診し、骨粗しょう症の検査を受けるようにしましょう。一般に、男性では骨粗しょう症のリスクはほとんどないとされていますが、喫煙の習慣がある人や、病気の治療でステロイドを常用している人は念のため、定期的に骨粗しょう症の検査を受けることをおすすめします。

編集部まとめ

骨折のリスクだけでなく、認知症やうつ病などの発症にもつながる骨粗しょう症。高齢化が進む現代社会において、骨粗しょう症は重要な社会問題になっています。改めて生活習慣を見直すとともに、定期的に医師による検査を受け、骨の健康を維持することを心がけましょう。

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