人気皮膚科医TikToker ムネーブ・シャー が考える、クリエイターエコノミーの現在地。「 TikTokショップ で生涯顧客を得るのは難しい」
クリエイターエコノミー市場は活況を呈している。報道によると、2023年の市場価値は2500億ドル(約39兆円)だったという。
5月14日に開催されたGlossy+リサーチプレゼンテーションにおいて、米Glossy編集長のジル・マノフ氏とシニアリサーチャーのダニア・グティエレス氏は、学会認定皮膚科医でインフルエンサーのムネーブ・シャー氏(TikTokフォロワー数1810万人)と対談した。臨床に裏付けられたスキンケアブランドのレメディ(Remedy)創業者でもあるシャー氏は、創業者とコンテンツクリエイターらがこの活況をどのように活用できるかについて語った。
以下の対談ハイライトは、読みやすさのために若干の編集を加えている。
「ブランドパートナーを選ぶのは非常に難しい。皮膚科医として協働したいブランドを検討する際に、私は自分なりの基準を持って慎重に選定している。その基準は人によって異なるだろう。私の場合、無香料で手頃な価格の商品を扱っているブランドと4年間変わらず協働している。私がそうした基盤を持っている理由は、白衣を着た皮膚科医であることを示しながらソーシャルメディア上で活動しているからだ。もし私が皮膚科医が診察室で推奨することと一致しないような活動をしたなら、それは自分にとって不実表示になる。
医師であることのメリットを享受しつつも、その制約を超えるようなことはしない。つまり、患者に勧めないようなブランドのスポンサーシップは拒否するということだ。私にとっては、自分の母から『この商品を買ったほうがいいか?』と尋ねらたとしたらどう答えるかと同じくらい極めて単純なことである。もし『イエス』と言えるなら、私はおそらくそのブランドと提携するだろう。もちろんそれには通常、価格や原材料、入手しやすさ、そしてそのブランドがどんな価値を持っているかなど、私が重視しているほかの要素すべてが考慮される」。
「TikTokショップのピークはブラックフライデーだった。その時期に何が起こっていたかというと、TikTokは出品者に補助金を出していたのだ。消費者にはTikTok負担のお得な情報を提供し、ブランドはまだ収益の全額を手にしていた。TikTokは手数料を1%も受け取っていなかったが、現在は8%もかかる。もし早期に参加できていたならば大儲けしただろう。もうそうはいかない。現在のTikTokショップのノイズを打開していくには、これまで以上にマーケティングのフライホイールを生み出さなければならないのだ」。
「また多くのブランド創業者は、TikTokショップで何かを購入した人を呼び戻して生涯顧客に変えるのは難しいと話している。なぜなら顧客のメールアドレスを手に入れる手段がないからだ。消費者はShopify(ショッピファイ)のバックエンドに、暗号化されたTikTokのメールアドレスを通して移動する。そのような顧客は二度と見つけることができず、再度ターゲットにすることができないため、生涯価値のある顧客獲得活動において致命的だ。もしその顧客を取り戻すことができなければ、成功につながる提案とは言えない。しかし、私はライブショッピングコンテンツの構想を排除するつもりはない」。
「男性はスキンケアに興味はあるものの何からはじめればよいのかを理解していないため、彼らを取り込むことは大きな機会となるだろう。多くのブランドが考えていることは、『商品のパッケージを黒やグレーにするか、男らしい有名人を起用できれば、男性顧客にアピールできるかもしれない』というようなものだ。しかし私にとっては、男性顧客のニーズやライフスタイルに何が合うのかを考えることの方が重要だ。美容に関心を寄せている男性の波はあるが、10ステップのスキンケアルーティンでは彼らを魅了することはできない。商品を使ってもらえるよう説得するには、それなりの理由が必要だ。彼らのニーズを理解して、彼らが存在しているところにこちらが出向いていくことが大切である」。
対談全体は以下の動画で視聴できる。
https://youtu.be/rkaQzowXJ-g
[原文:Dr. Muneeb Shah: ‘It’s difficult to turn a TikTok Shop customer into a lifetime customer’]
Tatiana Pile(翻訳:ぬえよしこ、編集:都築成果)
5月14日に開催されたGlossy+リサーチプレゼンテーションにおいて、米Glossy編集長のジル・マノフ氏とシニアリサーチャーのダニア・グティエレス氏は、学会認定皮膚科医でインフルエンサーのムネーブ・シャー氏(TikTokフォロワー数1810万人)と対談した。臨床に裏付けられたスキンケアブランドのレメディ(Remedy)創業者でもあるシャー氏は、創業者とコンテンツクリエイターらがこの活況をどのように活用できるかについて語った。
ブランド提携に対するシャー氏のアプローチ
「ブランドパートナーを選ぶのは非常に難しい。皮膚科医として協働したいブランドを検討する際に、私は自分なりの基準を持って慎重に選定している。その基準は人によって異なるだろう。私の場合、無香料で手頃な価格の商品を扱っているブランドと4年間変わらず協働している。私がそうした基盤を持っている理由は、白衣を着た皮膚科医であることを示しながらソーシャルメディア上で活動しているからだ。もし私が皮膚科医が診察室で推奨することと一致しないような活動をしたなら、それは自分にとって不実表示になる。
医師であることのメリットを享受しつつも、その制約を超えるようなことはしない。つまり、患者に勧めないようなブランドのスポンサーシップは拒否するということだ。私にとっては、自分の母から『この商品を買ったほうがいいか?』と尋ねらたとしたらどう答えるかと同じくらい極めて単純なことである。もし『イエス』と言えるなら、私はおそらくそのブランドと提携するだろう。もちろんそれには通常、価格や原材料、入手しやすさ、そしてそのブランドがどんな価値を持っているかなど、私が重視しているほかの要素すべてが考慮される」。
ブランド創業者としてTikTokショップを解明する
「TikTokショップのピークはブラックフライデーだった。その時期に何が起こっていたかというと、TikTokは出品者に補助金を出していたのだ。消費者にはTikTok負担のお得な情報を提供し、ブランドはまだ収益の全額を手にしていた。TikTokは手数料を1%も受け取っていなかったが、現在は8%もかかる。もし早期に参加できていたならば大儲けしただろう。もうそうはいかない。現在のTikTokショップのノイズを打開していくには、これまで以上にマーケティングのフライホイールを生み出さなければならないのだ」。
「また多くのブランド創業者は、TikTokショップで何かを購入した人を呼び戻して生涯顧客に変えるのは難しいと話している。なぜなら顧客のメールアドレスを手に入れる手段がないからだ。消費者はShopify(ショッピファイ)のバックエンドに、暗号化されたTikTokのメールアドレスを通して移動する。そのような顧客は二度と見つけることができず、再度ターゲットにすることができないため、生涯価値のある顧客獲得活動において致命的だ。もしその顧客を取り戻すことができなければ、成功につながる提案とは言えない。しかし、私はライブショッピングコンテンツの構想を排除するつもりはない」。
「メンズビューティ」のチャンス
「男性はスキンケアに興味はあるものの何からはじめればよいのかを理解していないため、彼らを取り込むことは大きな機会となるだろう。多くのブランドが考えていることは、『商品のパッケージを黒やグレーにするか、男らしい有名人を起用できれば、男性顧客にアピールできるかもしれない』というようなものだ。しかし私にとっては、男性顧客のニーズやライフスタイルに何が合うのかを考えることの方が重要だ。美容に関心を寄せている男性の波はあるが、10ステップのスキンケアルーティンでは彼らを魅了することはできない。商品を使ってもらえるよう説得するには、それなりの理由が必要だ。彼らのニーズを理解して、彼らが存在しているところにこちらが出向いていくことが大切である」。
対談全体は以下の動画で視聴できる。
https://youtu.be/rkaQzowXJ-g
[原文:Dr. Muneeb Shah: ‘It’s difficult to turn a TikTok Shop customer into a lifetime customer’]
Tatiana Pile(翻訳:ぬえよしこ、編集:都築成果)