井上尚弥が米ESPNで公言した中谷潤人との“メガファイト” その実現性を探る両陣営の都合と名伯楽の言葉

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「史上最強」とも言われる井上がESPNの番組に出演。そこで語った中谷に対する考えとは。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 絶対王者から飛び出した“意外な”発言は高揚感を抱かせた。

 現地時間6月8日、現地時間6月8日、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は、米ニューヨークの“聖地”マディソン・スクエア・ガーデンで行われた興行を視察。試合中継を担っていた米スポーツ専門局『ESPN』に出演し、同胞であるWBC世界バンタム級王者中谷潤人(M・T)に対する持論を口にした。

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 もちろんリップサービス的な要素もあるだろう。しかしながら、「世界最強」と称される男は、番組内で「スーパーバンタム級に上げてきたら試合をする可能性はあるか」と中谷について問われ、「今の時点でもすごくいい選手」と明言。そのうえで「この先の対戦相手の候補の一人としてすごく楽しみな選手」と続け、将来的な対戦を匂わせた。

 とはいえ、即座に対決する運びになるかと言われれば、そうではない。そもそも両雄は階級の異なるため、現時点でマッチアップにはどちらかが転級をする必要がある。この点で考えれば、中谷がスーパーバンタム級に進むことが現実的と言えるが、井上は来年以降にフェザー級へ進むと囁かれており、両陣営の都合がタイミングよく合致するかは分からない。

 ただ、中谷側も井上を将来的な目標としているのは火を見るよりも明らかだ。彼を指導するルディ・エルナンデス氏は、『Boxing247』など複数の米メディアでスーパーバンタム級を飛び越してのフェザー級挑戦も示唆。「我々の目標はジュントにとって誇れるキャリアを残して引退させること。今、ナオヤ・イノウエに向かって強く踏み出している」とも提言している。

 当の中谷も井上への憧れを隠してはない。今月5日(現地時間)に米老舗誌『THE RING』のインタビューで、「自分の階級と井上選手の階級がどんどん近づいてきているので、個人的にも可能性を意識するようになりました」と吐露。さらに「まだ階級が違うし、まだまだ道のりは長い」と謙遜しつつも、メガファイトへの率直な想いを打ち明けている。

「ベストなタイミングで戦いたいので、そのためにはバンタム級統一か4階級制覇が必要だと思います。その目標に到達するにはもう少し時間がかかると思いますが、ベストを尽くしたい」

 無論、いまだ現実味はそこまで帯びていない。しかしながら、井上も中谷の存在を公言した今、両雄の動静がますます興味深いものとなったのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]