竹俣 紅連載:『紅色の左馬』第17回

スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画、竹俣紅アナウンサーの連載『紅色の左馬』。今回は、梅雨の季節の思い出を伺いつつ、"競馬の祭典"日本ダービーについて振り返ってもらった――。

 雨の多い季節になり、馬場状態の予想が難しい時期になってきましたね。

 3年前のこの時期、フジテレビに入社して2カ月しか経っていない、まさに新人アナウンサーだった頃のこと。大雨が降っていたその日、急遽、先輩の代打で夕方のニュース番組のフィールドキャスター(取材や中継を行なうキャスター)を担当することに!

 しかも、初の報道取材にして初の生中継! コロナ禍の渋谷の人出をお伝えしつつ、大雨中継も兼ねるという内容でした。

 もともと、次の週から新しくフィールドキャスターを担当することに決まってはいたのですが、急なことで、大雨中継の装備を用意できておらず......。

 ピンチの私を助けてくれたのは、アナウンサーの先輩方でした。

 透明のレインコートは報道センターで貸し出しがありましたが、そのほかの大雨用装備を先輩方が声を掛け合って集めてくださったのです。レインブーツを貸してくださった先輩は、濡れたところをふけるよう、大きなタオルまで用意してくださいました。

"フジテレビアナウンサーズ"の装備で、無事に人生初の生中継に臨むことができました。

 最近になってこの出来事を思い出したのは、池添謙一騎手の海外初騎乗のときのお話を知ったからです。

 武豊騎手のフランスでの騎乗を見学するために同行された池添騎手。ところが、武豊騎手の落馬負傷により、急遽、池添騎手が代打に!

 騎乗するための道具を持っていらっしゃらなかった池添騎手は、武豊騎手から道具を借り、ブーツはオリビエ・ペリエ騎手から借りられたとのこと。武豊騎手からは、"ひとりワールドスーパージョッキーズ"と言われたそうですね。

 まさかの海外初騎乗となった池添騎手。お見かけしたことはあるものの、インタビューさせていただいたこともないのに、勝手に親近感を持っている竹俣です(笑)。

 さて、5月26日、私にとっては2度目の日本ダービーを迎えました。

『みんなのKEIBA』のオープニングでは、細江純子さんとゲストのあのちゃんと一緒に、ダービー独特の緊張感にあふれるパドックから中継。

 以前の放送でもパドックからお送りしたことはあったのですが、この日は初めて騎手控室の前のあたりからの中継でした。

 スタンバイ中、東京10RのディープインパクトCに出走する馬たちの周回を、馬たちと同じ地面に立って見ることができたのです。

 それはもう、どのお馬さんも美しく、かっこよく、かわいくて......みんな光り輝いて見えてしまって、パドックの見方の勉強にはならなかったんですよね(笑)。

 毛艶や馬体に関しては、実物を見るより、画面を通して見るほうが良し悪しを判断しやすいというお話を聞いてはいましたが、確かにそうかもしれないなと思いました。

 さあ、迎えた午後3時40分。2024年の日本ダービーのゲートが開きました。

 とにかく全人馬無事に......多くの人がそう祈った今年、ダービー馬となったのは、ダノンデサイル。

 前走の皐月賞の発走直前で、横山典弘騎手が歩様の違和感に気づき、競走除外になった馬でした。そのときは微々たる違和感だったそうですが、その後、はっきりと症状が出てきたと聞いています。

 横山典弘騎手、安田翔伍調教師には、「おめでとうございます」という言葉はもちろんのこと、皐月賞の日、出走をやめるという決断をしてくださって、「本当にありがとうございます」と、一競馬ファンとして申し上げたいです。

 それでは、今日もすべての馬・騎手の皆さんが無事にレースを終えられますように。

Profile
竹俣 紅(たけまた・べに)
1998年6月27日生まれ。東京都出身。2021年フジテレビ入社。
趣味:おいしいおそば屋さん巡り ウォーキング ガチャピン
モットー:元気に、地道に、前向きに

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