「味噌汁の塩分量」が気になる…塩分量が気になる際に注意すべき点を管理栄養士に聞く
健康に良いとされていることから、毎日「味噌汁」を食べているという人も多いでしょう。しかし、気になってくるのが「塩分」。日本人は1日の塩分摂取量が多いとされていますが、味噌汁を毎日食べて塩分量は大丈夫なのでしょうか。管理栄養士の山口さんに解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【味噌汁に含まれる栄養素と健康効果とは? 味噌汁が健康に良い理由を管理栄養士が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修管理栄養士:
山口 史恵(管理栄養士)
大妻女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業。大学卒業後、都内の病院に数年務めた後、カナダへ語学留学。その後、カナダでホリスティックニュートリショニストとしてヘルスフードストアやウエルネスセンターにて、一般に栄養指導をしながらクリニックにて個別指導にも従事。体重別、身長別といった大きいカテゴリーではなく、一人ひとりのバックグラウンド、生活環境や代謝などを考慮した栄養指導がモットー。
編集部
味噌汁の塩分は過剰摂取にならないでしょうか?
山口さん
味噌汁一杯分の塩分は約1.2g~1.5gで、コンソメスープやポタージュスープに比べて同じくらいかむしろ少ないくらいです。塩分の取りすぎが問題とされているのは、ナトリウムが高血圧の原因となると考えているからですが、実は食塩の種類によるのです。
編集部
具体的にどのような食塩が問題なのですか?
山口さん
海塩やヒマラヤピンクソルト、ケルティックシーソルトなどの天然塩は、ミネラルが豊富で血圧にほとんど影響を与えません。むしろ体が必要とする栄養素が詰まっています。問題となる塩は食卓塩と呼ばれ、天然の塩と比べるとミネラルなどが人工的に取り除かれ、食用や医療用に調整された塩化ナトリウムというものです。
編集部
なぜ食卓塩が問題なのでしょう?
山口さん
食卓塩は塩分が高く、血圧との因果関係があると考えられます。大事なのは味噌汁にどのタイプの塩が使われているかを確認することです。もし味噌に使われている塩のタイプがわからないなら、その他自分で作る料理には天然の塩を使うなどして味噌汁以外の食事でも積極的に体調管理、栄養管理をしましょう。
編集部
味噌汁は毎日飲んでも体への悪影響はないでしょうか?
山口さん
味噌汁はそれ自体の消化がいいだけでなく、具材を変えることで様々な栄養素をカバーできる健康食品です。毎日摂取しても悪影響は考えられませんが、私たちの体は日々変化をし続けているので、体が拒否しているのに無理をして飲む必要はありませんし、その日の体調によっては体が耐えられる以上の排毒をしてしまうこともあります。そうなると、風邪に似た症状が出ることもあるので、その日の自分の体と相談しながら摂取しましょう。
編集部
その他、味噌を選ぶ時の注意点などについて教えてください。
山口さん
味噌は、原料となる大豆に塩と麹を加え発酵させて造られ、使う麹の原料によって大きく分けて米みそ、麦みそ、豆みそがあります。ただ、麦にはグルテンというタンパク質が含まれるため、麦アレルギーの方は避けた方がいいでしょう。米味噌は色が濃いほど抗酸化作用が向上します。
編集部
味噌というと、白味噌などもあると思いますが、これらはいかがですか?
山口さん
白味噌は西京味噌とも呼ばれ、熟成期間が短く塩分も少ないので、白味噌で味噌汁を作る際は味噌を多めにしましょう。淡色味噌は赤味噌と白味噌の中間色で、さっぱりした甘味と辛味があるのが特徴で、オールマイティに使える万能味噌です。赤味噌は熟成期間が長く、色が濃く辛口で旨味も濃厚なのでえぐみや苦味の強い食材とも好相性です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
山口さん
味噌汁は不足した栄養素を補いやすく調理の時短も可能な料理です。体調管理のため、その日の気分や体調によって具材を変えるなどして、自分に合った味やレシピを開発することを楽しんでいただきたいですね。また、味噌汁を”飲む”のではなく、”食べる”ことを心掛けてください。時間をかけて味わうことでよりストレスを軽減し、過食を防ぐことに繋がります。