「物盗られ妄想」の原因・症状はご存知ですか? 認知症・アルツハイマーと関係ある?
高齢者の介護をしている際、「私の財布を盗んだでしょ!」と疑われることは少なくありません。このような「物盗られ妄想」は身近で介護をおこなっている方出やすいと言われており、対処に困ることも多いでしょう。そこで今回は、なぜ物盗られ妄想がおこってしまうのか、介護福祉士の山田さんに伺いました。
※この記事はMedical DOCにて【物盗られ妄想はなぜ起こる? 原因と症状について介護福祉士に聞く】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修介護福祉士:
山田 亮太(介護福祉士)
駿河台大学心理学部卒業。大学卒業後、埼玉の特別養護老人ホームに就職。2019年に介護福祉士を取得。2020年に認知症実践者研修を取得。介護に関する正しい知識をわかりやすく伝えるため、ライターとしても活動中。
編集部
物盗られ妄想はどんな症状なのでしょうか?
山田さん
物盗られ妄想は、アルツハイマー型認知症の症状のひとつです。症状としては、お金や財布・洗濯物などご本人が大切にしていた物が「ない」や「盗られた」いう発言がみられます。しかし実際は取られたわけではなく、ご本人がそう信じ込んでしまい脚色されていることがほとんどです。
編集部
物盗られ妄想の原因は何なのでしょうか?
山田さん
物盗られ妄想の原因はいくつかあり、一番多いのは認知症による脳機能の記憶障害や理解力・判断力の低下ですね。次に考えられるのが、「大切な物をなくしてしまった」という不安や戸惑いによって引き起こされるケースです。また、個人の価値観が影響していることもあります。たとえば、昔からお金の心配をよくしていたり、財布は常に持ち歩かないと不安になっていたりなどの理由で、物盗られ妄想の原因になっているケースもあります。また、これらの原因が複数重なり、症状として現れている場合もあります。
編集部
認知症が進行すると物盗られ妄想はどうなるのでしょうか?
山田さん
物盗られ妄想は、アルツハイマー型認知症の“初期”症状です。認知症の症状が進行すると次第に訴えは減っていき、個人差はありますが1年程度でなくなってくるといわれています。