スマホやタブレットに割り当てられている「IMEI」とは一体どんな番号なのか?
携帯電話などのモバイル端末にはIMEI(International Mobile Equipment Identity:国際移動体装置識別番号)と呼ばれる識別番号が設定されており、IMEIによってデバイスが一意的に特定され、さまざまなサービスを受けたり盗難を防いだりすることが可能になります。このIMEIとはそもそもどういう番号なのかについて、IT系ニュースサイトのTediumが解説しています。
https://tedium.co/2024/04/27/mobile-phone-imei-number-history/
IMEIは携帯電話を一意に識別することを目的とした15桁の番号です。1990年代に携帯電話が登場した際、非常に高価な携帯電話が盗難されて悪用されるケースを想定し、欧州で携帯電話の端末に「一意で管理可能なコード」の設定が義務付けられ、携帯電話メーカーや通信事業者の業界団体であるGSMアソシエーションがIMEIの仕様を開発しました。
2000年以降、IMEIはGSMアソシエーションによって割り当てと管理が行われています。現在では、IMEIは盗難防止だけでなく、デバイスの追跡やサービスの提供など、さまざまな用途に使用されています。
by John Karakatsanis
IMEIは以下の情報で構成されています。
1:発行機関
IMEIの最初の2桁は発行機関を示しており、GSMアソシエーションに承認された組織のIDとなっています。例えば中国で製造され承認された携帯電話の場合、最初の2桁は「86」になります。iPhoneやGoogle Pixelなど、世界のさまざまな国で製造されているデバイスについては「35」が設定されています。
2:Type Allocation Code(TAC)
次の6桁は、デバイスの種類を特定する識別子としてTACが振られます。TACはGSMアソシエーションによって管理されている番号で、メーカーが在庫管理や品質管理を行ったり、通信事業者がネットワーク上のデバイスの種類を把握したりするために使われています。GSMアソシエーションによれば、毎年大量のデバイスが製造されているにもかかわらず、TACの数に大幅な増加は見られないとのこと。これは、デバイスの販売台数は増加しているものの、デバイスのモデル数は増加していないことを示しています。また、同じモデルのIoTデバイスの場合、数百万台製造されるため、1つのモデルに複数のTACが割り当てられることもあるそうです。
3:シリアルコード
TACに続く6桁はシリアルコードで、同じモデルの中で特定のデバイスを識別するための一意の番号となっています。このシリアルコードによって、メーカーが個々の端末を追跡して品質管理や補償サービスを提供したり、通信事業者がデバイスを特定してネットワーク上の問題を解決したりすることが可能になります。また、シリアルコードはデバイスの盗難や紛失の際にも重要な役割を果たし、デバイスを特定することで盗まれたり紛失したりした端末をブロックし、ネットワークへのアクセスを防ぐことができ、盗難端末の不正使用を防止できます。
4:チェックディジット
IMEIの最後の1桁は、それまでの14桁を検証するために使用されるチェックディジットです。です。IMEIのチェックディジットは「Luhn」と呼ばれるアルゴリズムで算出されており、デバイスがモバイルネットワークに接続する際、ネットワークはこのLuhnを使用してIMEIの残り14桁を検証します。計算結果がチェックディジットと一致しない場合、IMEIは無効と見なされ、デバイスはネットワークへのアクセスを拒否されます。
by Kārlis Dambrāns
IMEIは一意な番号であるが故に、デバイスの位置情報や使用情報を追跡することが可能になります。これは犯罪捜査などに役立つ一方で、プライバシーの侵害につながる可能性もあります。
また、技術的に精通した人物であれば、IMEIを改変したり偽造したりすることが可能です。さらにIMEIの割り当ては製造業者に委ねられていますが、一部の製造業者が大量の端末に同じIMEIを割り当てるなど、IMEIの割り当てが適切に行われていない事例が報告されています。
加えて、IMEIは基本的にGSMアソシエーションが管理している発行機関コードやTACが基になっていますが、一部の国や地域ではその仕様や管理体制が異なります。そのため、IMEIの改ざんや偽造に対する法的規制が一部の国や地域では不十分であると指摘されています。
by Kai Hendry
GSMアソシエーションをはじめとする業界団体は、IMEIの使用や管理体制の改善に取り組んでおり、各国政府もIMEIの不正使用を防止するための法整備を進めています。IMEIは現代の携帯電話にとって不可欠な存在であり、問題点を解決してより信頼性の高い識別システムを構築することが、モバイル産業の健全な発展に不可欠だとTediumは述べています。