井上尚弥に止まぬ特大評価 リング誌の“ウシク1位”にメキシコ名伯楽が異論「イノウエはあまり騒がない。それでも十分偉大」

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井上(左)とウシク(右)。ともに金字塔を打ち立てた強者に対する評価がさまざまに集まっている。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 果たして、“最強”にふさわしいのは誰か。ボクシング界の階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」を巡る論争が白熱している。

 とりわけ注目を集めるのは、世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)、WBAスーパー・WBC・WBOスーパー世界ウェルター級統一王者のテレンス・クロフォード(米国)、世界ヘビー級4団体統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)の順位だ。

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 彼らが「唯一」となる2階級での4団体統一を果たした3人は、いずれも数多の金字塔を記録。格付けが難しい状況となっている。そうしたなかで、現地時間5月19日に「最も価値がある」とされる米老舗誌『The RING』が新たなPFPを公表。今月18日に行われたボクシングのヘビー級世界4団体統一戦で、WBC王者タイソン・フューリー(英国)を破り、ヘビー級史上初の世界4団体統一を達成したウシクを1位とした。

 フューリーを大半のラウンドで圧倒した試合内容を考えても、ウシクの1位は必然の評価ではある。ただ、今月9日(現地時間)に1位になったばかりだった井上の順位があっさりと変動する結果に反発の声も相次いだ。

 名伯楽もヘビー級戦士の1位に黙ってはいない。史上初の世界6階級制覇王者であるオスカー・オスカー・デ・ラ・ホーヤ(メキシコ)など数多の名選手たちを指導してきたメキシコ人名トレーナーのイグナシオ・ベリスタイン氏は、母国のスポーツメディア『Izquierdazo』で「ウシクはPFPのNo.1ではない。フューリー戦の勝利がまぐれではないことを証明しなければならない」と強調する。

 ウシクの現状について「彼は多くを証明する必要があるし、まだ実演しないといけない。世界にはまだ、彼らのレベルには達していないヘビー級選手が何人もいる」と指摘。ヘビー級であるというだけで過大評価されている傾向を指摘し、自身が考える“PFP1位”を断言している。

「私にとって世界一の選手はイノウエだ。彼こそが議論の余地などなく、この惑星で最高の選手だということは明確になっている。イノウエは現代にいるどの選手よりも自分の実力を証明している。もちろんクロフォードもいるが、イノウエは静かであまり騒がない。それでも十分に偉大な選手だ」

 百戦錬磨の名伯楽を唸らせる“モンスター”。PFPを巡る論争で「世界一」の座を争う井上は、やはり格が違う。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]