「急性骨髄性白血病」を疑う初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

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白血病とは、血液のがんの一種です。白血病には、急性と慢性、リンパ性と骨髄性の4つの大きな種類があります。白血病の生存率は、白血病の種類によって異なります。
本記事では白血病の5年生存率について以下の点を中心にご紹介します。

・白血病の5年生存率

・白血病の10年生存率

・白血病治療について

白血病の5年生存率について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

≫「白血病のあざと普通のあざの違い」はご存知ですか?症状についても解説!

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

白血病の5年生存率

白血病とは、骨髄やリンパ系にある造血幹細胞が正常に分化せず、白血球が異常に増える病気です。白血病には、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)などの種類があります。白血病の種類によって、症状や進行の速さ、治療法が異なります。
白血病の5年生存率は、白血病の種類や治療法によって大きく異なります。一般的に、急性白血病は慢性白血病よりも5年生存率が低く、若年者は高齢者よりも5年生存率が高いといわれています。日本の白血病の5年生存率は、AMLが約30%、ALLが約60%、CMLが約80%、CLLが約70%と報告されています。
しかし、これらの数字はあくまで平均的なものであり、個人の状況によって変わります。白血病の5年生存率は、治療の効果や副作用、再発のリスクなどを判断するための参考になりますが、必ずしも予後を決定するものではありません。白血病の治療は、医師と患者の密な連携が必要です。白血病の治療に関する最新の情報や研究成果を知ることも、治療の成功につながります。

白血病の10年生存率

白血病の10年生存率は、性別による差は見られませんが、年齢によって顕著な違いがあります。特に64歳以下では相対生存率が高く、65歳以上では低い傾向があります。慢性骨髄性白血病の治療法の進歩により、10年生存率はわずかに上昇していますが、大きな変化は見られません。白血病の治療後、経過年数が増すほどサバイバー生存率は向上しますが、一般集団よりも20%低い水準が続きます。急性骨髄性白血病(AML)においては、IBMP療法が適用され、特に70歳以下では90%、70歳以上でも70%の完全寛解率が報告されています。寛解後の継続治療が行われ、10年生存率は60%に達します。治療は患者の個別性を尊重し、総合的なアプローチが求められます。治療の個別化と患者の状態への適切な対応が求められ、予防と早期発見のためには定期的な健康診断が不可欠です。

白血病の種類

白血病は様々な種類が存在し、それぞれが異なる特徴や治療法を持っています。
白血病の種類について詳しく解説していきます。

急性骨髄性白血病

急性骨髄性白血病は、骨髄にある幹細胞が正常に成熟せず、未熟な白血球が増える血液のがんです。正常な血液細胞が減少し、貧血や出血、感染症などの症状が現れます。年齢や病型、遺伝子の影響で予後が異なり、主な治療法は化学療法と骨髄移植です。化学療法ではがん細胞を殺す薬を使用し、骨髄移植では正常な血液細胞を作るために自分の骨髄または他人の骨髄を移植します。

急性リンパ性白血病

急性リンパ性白血病(ALL)は、リンパ球ががん化し増殖する病気で、貧血や出血、感染症、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。診断には血液検査や骨髄検査が行われ、治療には化学療法や放射線療法、骨髄移植などが使われます。年齢や病型によって予後が異なりますが、治療法の進歩により生存率が向上しています。急性リンパ性白血病は重い病気ですが、適切な治療とフォローアップで寛解する可能性があります。

慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病(CML)は、骨髄の造血幹細胞が異常に増殖し、血液中に多くの白血球が出現する病気です。CMLは、染色体の一部が入れ替わることで発生する「フィラデルフィア染色体」と呼ばれる遺伝子異常が原因で起こります。CMLは慢性期、加速期、急性期の3つの期に分けられ、治療法は主に分子標的薬と呼ばれる薬物療法です。分子標的薬は、フィラデルフィア染色体によって発生する異常なタンパク質を阻害し、白血球の増殖を抑えます。治療法の進歩により、分子標的薬はCMLの予後を大幅に改善し、長期的な寛解を目指せます。

慢性リンパ性白血病

慢性リンパ性白血病(CLL)は、骨髄やリンパ節にあるリンパ球が異常に増える病気で、高齢者に多く見られます。症状は初期には無症状のことが多く、進行するとリンパ節の腫れや貧血、感染症が現れます。治療は進行度や患者の年齢によって異なり、早期の場合は経過観察のみで治療を行わないこともあります。中期以降の場合は、抗がん剤や免疫療法、骨髄移植などの治療が行われます。5年生存率は約70%とされています。

白血病治療について

白血病の治療には、完全寛解導入療法と寛解後療法の二つの段階があります。
白血病治療について詳しく解説します。

完全寛解導入療法

完全寛解導入療法は、白血病の最初の治療段階で行われる治療法です。この治療では、強力な抗がん剤や放射線を使って異常な白血球を減らし、正常な血液細胞の生成を回復させます。完全寛解とは、骨髄や血液中の異常な白血球がほとんど見られず、症状が消失する状態を指します。治療期間は白血病の種類や患者の年齢や体力によって異なりますが、通常は数週間から数ヶ月かけて行われます。完全寛解導入療法は白血病の基本的な治療法ですが、完全寛解に達したからといって白血病が完治したとは限りません。白血病は再発のリスクが高いため、完全寛解導入療法の後には継続的な治療である寛解後療法が必要です。

寛解後療法

寛解後療法は、白血病の治療で完全寛解に達した後に行われる継続的な治療です。完全寛解になっても微量な白血病細胞が残り、再発のリスクがあるため、再発を防ぐことが目的です。治療方法は白血病の種類や患者の状態によって異なり、化学療法、放射線療法、免疫療法、骨髄移植などが使われます。期間は数ヶ月から数年にわたり、再発予防だけでなく生存期間や生活の質を向上させます。寛解後療法を受ける際には、医師とよく相談し、治療の目的や効果、副作用、費用などを理解することが重要です。

白血病についてよくある質問

ここまで白血病の5年生存率を紹介しました。ここでは白血病についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

白血病は何が原因で発症しますか?

甲斐沼 孟(医師)

白血病の原因は完全にはわかっていませんが、ウイルス感染や放射線治療による遺伝子の損傷が関与している可能性があります。最近の研究では、特定の遺伝子の変異も関与していることが示されています。遺伝子の変異は偶然性が大きく影響するため、白血病患者は自分が何をしたから白血病になったのかと考える必要はありません。また、現時点では白血病が子孫に遺伝性を持つかどうかについてはっきりした情報が得られていません。

白血病は完治しますか?

甲斐沼 孟(医師)

白血病は種類や治療法によって完治の可能性が異なります。一般的に、急性白血病の完治率は慢性白血病よりも低く、若年者の方が高いとされています。日本では、AMLが約20%、ALLが約40%、CMLが約50%、CLLが約30%の完治率が報告されています。ただし、これは平均的な数字であり、個人の状況によって異なります。完治率は予後を判断する参考になりますが、必ずしも個々のケースで同じとは限りません。最新の情報や研究を知ることも治療の成功につながるため、白血病の治療に関する情報に注意しておくことが重要です。

まとめ

ここまで白血病の5年生存率についてお伝えしてきました。白血病の5年生存率についての要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

・白血病の5年生存率は、日本ではAMLが約30%、ALLが約60%、CMLが約80%、CLLが約70%とされる

・白血病の10年生存率は、年齢や治療の進歩によって差があり、64歳以下では高く、65歳以上では低い傾向がある

・白血病治療は、完全寛解導入療法と寛解後療法が基本的な治療法であり、難治例には骨髄移植が検討される

白血病と関連する病気

白血病と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液内科の病気

多発性骨髄腫

B細胞型悪性リンパ腫

悪性リンパ腫

成人T細胞性白血病

慢性リンパ性白血病

リンパ性白血病

骨髄異形成症候群急性骨髄性白血病

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

白血病と関連する症状

白血病と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

貧血

出血.感染症にかかりやすい.骨や関節の痛み

腹部の膨らみ

頭痛やめまい

呼吸困難

リンパ節の腫れ

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

参考文献

国立がん研究センター がん情報サービス がん統計

日本赤十字社医療センター