「イノウエの驚きの姿」あわや番狂わせ 井上尚弥を“倒した”ネリに母国メディアは賛辞「日本人は恐怖の悲鳴を上げた」
井上との打ち合いを演じたネリ。最後は地力で勝れらたが、母国からは称賛の声が上がった。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
刹那に打ち込んだ一撃で、“あわや”の局面を生み出した。
5月6日、東京ドームでは34年ぶりとなるボクシング興行が行われ、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥（大橋）が、WBC同級1位の挑戦者ルイス・ネリ（メキシコ）を6回1分22秒TKOで撃破。2年ぶりとなるタイトル防衛に成功した。
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文字通りの歴史的な一戦は衝撃的なスタートとなった。ネリが初回に近接戦から繰り出した左フックを井上の顎に着弾させ、ダウンを奪ったのである。
井上にプロキャリア初のダウンを経験させたネリ。だが、そこから「ダメージはさほどなかった」というモンスターに盛り返されると、逆に計3度のダウンを喫し、最後は6回に渾身の右ストレートを打ち抜かれ、TKOで敗れた。
試合終了直後はダメージの色濃く、すぐに立ち上がれず呆然。自身のインスタグラムで「応援のおかげで俺は大丈夫だ。できることは全部やった」と無事をアピールしたが、試合後の会見も実施せずに病院へ直行した。
それでも“世紀の番狂わせ”の可能性を瞬間的に予感させた29歳のメキシカンには、母国メディアからも称賛が相次いだ。
メキシコのスポーツ専門サイト『Izquierdazo』は「東京ドームに詰めかけた4万人以上の日本人が、ネリの起こした“サプライズ”に恐怖の悲鳴を上げた」と指摘。会場の異様なムードを振り返るとともに、ネリが井上に浴びせた鋭い左フックを「メキシコ・ボクシング史上最大の偉業を達成する寸前だった」と絶賛した。
井上の意識を瞬間的に飛ばしたネリの一撃は鋭く、そして完璧にヒットしていた。ゆえに『Izquierdazo』も「ネリの打撃は激しく正確だった。スローモーションのリプレイを見ても、イノウエの顎を見事に捉えているのが分かる」と強調。そして、こう続けている。
「キャンバスに倒れるというイノウエの驚きの姿を目の当たりにした日本人たちの反応は衝撃的でもあった。だが、ショックを受けながらも、ダメージを癒したイノウエはすぐに立ち上がった。そして、そこから見事に生き延びた」
もしかしたら怪物を打破できるかもしれない――。一瞬でもそう思わせたネリの奮闘に、ボクシングの大国も沸いた。井上に勇猛果敢に挑み続けたネリに対する賛辞はしばらく続きそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
