2023年4-12月の売上高は、前年同期間比11.8%増の1133億円でした。店舗数は153。1店舗当たりが同期間で稼ぐ金額は、単純計算で7億4000万円です。

 2019年4-12月の売上高は770億円でした。店舗数は142。同じく店舗売上を算出すると5億4000万円ほどです。コロナ禍を経て、ラウンドワンは1.4倍も収益性を高めることに成功しているのです。

 特に好調なのが「ギガクレーンゲームスタジアム」。300〜600台ものクレーンゲームが並ぶアミューズメント施設です。

◆ゲームセンターのクレーンゲームが大盛況

 イオンのグループ会社で、ショッピングモール内のゲームセンターを運営するイオンファンタジーも、景品の獲得を目的としたプライズゲームが好業績をけん引しています。

 同社は2020年から戦略的に小型店を出店。2024年2月期の売上高は644億円となり、コロナ前の2020年2月期を上回りました。特に子供向けのプレイズゲームの稼動が高まっていて、構成比率はコロナ前の29.4%から37.9%まで拡大しました。

 ゲームセンターのゲーム機は今や下火で、プライズゲームが市場をけん引しています。お金を時間に消費するだけのアーケードゲームは廃れ、対価として景品が手に入るプライズゲームが人気と考えれば、コストパフォーマンス重視の消費動向と合致します。

 家計に余裕がない家庭が、お金のかかるテーマパークや遊園地、観光地への旅行を控えるのは当然でしょう。必然的に近場のレジャー施設が余暇の受け皿となります。ショッピングモールに足を運び、買い物の合間にプライズゲームを楽しんでいる家族が増えている。そのような図式が浮かび上がってきます。

 レジャー市場は、好きなことにとことんお金をかける人と節約志向の人の二極化が鮮明になり、各社がその動向に合わせたサービスを展開するようになりました。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界