「iTrust新興国株式」について、ピクテ・ジャパンの代表取締役社長 萩野琢英氏(写真:右)に、ウエルスアドバイザー代表取締役社長の朝倉智也(写真:左)がインタビューを行った。

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 今年スタートした新NISA「成長投資枠」の運用にふさわしいアクティブファンドを表彰する新しいアワード「新NISA成長投資枠WA優秀ファンド賞」が始まった。投資信託の第三者評価機関であるウエルスアドバイザーが1312本の対象ファンドの中から20本を選定し、2023年12月29日に第1回の受賞ファンドを発表した。「国際株式型(グローバル)部門」にて受賞した「iTrust新興国株式(愛称:働きざかり〜労働人口増加国限定〜)」について、同ファンドを設定運用しているピクテ・ジャパンの代表取締役社長 萩野琢英氏(写真:右)に、ウエルスアドバイザー代表取締役社長の朝倉智也(写真:左)がインタビューを行った。

朝倉 当ファンドは、中期となる3年評価としてトータルリターン、シャープレシオとも類似ファンドに対し、トップレシオの成績を収めております。萩野社長から改めてこのファンドの特徴をお話しいただきたいと思います。

萩野氏 ピクテは1980年代後半からもう新興国の株式チームを作った数少ない運用会社です。ピクテはプライベートバンクの会社として、富裕層の方々から新興国への投資、しかも分散して投資を行いたいというニーズをいただいていました。現在では、ピクテではアクティブ運用チームがあり、株と債券を含めて総勢60名近い体制となっています。

 「新興国の株式の成長はどこから来ているか」という点においては、「潜在成長率の大きな比重を占める労働人口の伸び」、それが一番であるというチームとの対話の中で、この商品が作られたという経緯があります。

朝倉 新興国ファンドですが、中身を拝見させていただくと、「中国」が除かれているというのは、やはり働きざかり、成長を享受するということで、外れたということでしょうか。この1年、3年の成果は、まさにパフォーマンスのかい離が出ており、非常に先見性があるファンドだと思います。

萩野氏 まず初めに、先進国は労働人口が伸びているところはどんどん減り、日本などは完全に減少に転じています。そのため、日本株を投資先として考えた場合、労働人口は減っている国の株となります。そのため、分散投資の観点からすると、労働人口が伸びているエリアに投資することは重要で、それを探すと新興国しかないのです。その中でも、中国、台湾、韓国、ロシアは、すべて労働人口が減っているので、投資対象とはなりません。

朝倉 われわれが評価させていただいたのはこの1年間のパフォーマンスだけではなくて、3年などを見ても類似ファンド分類の中でも上位数%に入っております。まさに今おっしゃったのが、当ファンドのパフォーマンスの要因だと思いますが、もう少し掘り下げていただけますでしょうか。

萩野氏 投資している対象はインドのみならず、インドネシア、ブラジル、南アフリカ、中近東の国々等の労働人口が伸びている国です。それぞれの国の成長力が高いのです。労働人口の伸び率、伸びている国の新興国の成長率は、普通の伸びていない国に比べて倍近い成長率です。それは人口が伸びているので経済が拡大しているという、新興国特有の強みを持っています。

 もう一つの特徴は、相対的にバリュエーションが安いものをピックアップしている点です。例えば日本では、インドが注目されがちで、なかなか他に目が向きづらい状況です。そうするとその他の国では見過ごされている銘柄が結構あるのです。そこを上手にピックアップすると、面白いポートフォリオを作ることができます。

朝倉 それがまたアクティブの強みですね。新興国のインデックスファンドというと中国が約3割は入っている状況ですから、過去のトラックレコードを見るとそれが足を引っ張っており、新興国というとパフォーマンスが悪いのではないかという、そんな結果がインデックスでは出ていますからね。