クレジットカードやキャッシュレス決済にまつわる疑問や悩みに、“クレカの鉄人”岩田昭男師範が答える連載企画。今回は、いよいよ間近に迫ったTポイント消滅についての疑問をピックアップ。Vポイントとの統合で激変する最新のポイ活事情について解説します!

 

【第15回】Tポイント消滅後の最新ポイ活事情を教えて!

 

【今月の悩める子羊】 蔦 保人(つた やすと)

昔からTポイントカードは保持していたが、最近の物価高でさらにポイ活に興味を持ち始めた30代のサラリーマン。Tポイントでおトクに買い物ができると最近話題の「ウエル活」を始めようと思った矢先にTポイントがなくなることを知る。今後の身の振り方を相談すべく、岩田師匠のもとを訪れた。

 

(相談者の要望)

〇TポイントとVポイントが統合すると、いままで貯めたポイントはどうなるの?

〇Tポイントの消滅でポイ活の勢力図はどう変わる?

〇話題の「ウエル活」も大きく変わるって本当?

 

旧Tポイントユーザー/Vポイントユーザー、どうなっちゃうの?

蔦   これまでコツコツ貯めてきたTポイントがなくなってしまうというのは本当ですか?

 

岩田  そういえば4月22日にTポイントがVポイントと統合されるな。

↑「Tポイント」の名称は4/21で消滅。4/22にはVポイントと統合し、新生Vポイントとして生まれ変わる

 

蔦   私のTポイントはどうなっちゃうんでしょう?

 

岩田  結論から言うと、おぬしが貯めたTポイントがなくなることはない。特に手続きをしなくても、Vポイントとしてそのまま利用できる。これまで使っていたTカードも引き続き利用できるぞ。

 

蔦   なんだ、そうだったんですね。ちょっと安心しました。ちなみに、妻はVポイントを持っているんですが、その場合はどうなるんでしょう?

 

岩田  そちらも、いままでと変わらない。しかも、「Vpassアプリ」や「Vポイントアプリ」、「三井住友銀行アプリ」を使っているなら、そのアプリで新しいVポイントカードを表示できるようになるんじゃ。

 

蔦   消滅するどころか、パワーアップするんですね。ちなみにTポイントとVポイント、両方持っていたらどうなるんでしょう?

 

岩田  両方持っている場合は「Vpassアプリ」などから、モバイルTカードを連携することでポイントを合算できる。

 

蔦   よかった。どのポイントのユーザーでも損することはないんですね。

 

会員数1.46億人の超巨大ポイント経済圏が誕生!

岩田  ただし、保有ポイントは変わらずとも、ポイント経済圏の勢力図は変わってくる。

 

蔦   どういうことでしょうか?

↑主要ポイントのユーザー数。4/22の統合により、「Vポイント」のユーザー数は最大級に拡大

 

岩田  Vポイントは三井住友によるポイントで、最近では「三井住友カードNL」などで会員数を約2000万人にまで増やしてきた。とはいえ、dポイントやPontaポイントなどと比べるとまだまだ新興ポイントじゃ。一方で、Tポイントは約1億2600万人のアクティブユーザー数(1人で複数アカウントを保持している場合も含む)を誇るポイントシステムの代名詞的存在。単純合算すると統合後のVポイントはTポイントユーザーを獲得することで、一気に主要ポイントへと駆け上がるんじゃ。

 

蔦   そういえば、Vポイントって聞き始めたのもここ何年かでした。

 

岩田  ポイント会員を通信サービスや光熱費、スマホ料金などグループ会社による複数サービスで徹底的に囲い込む「ポイント経済圏」は、これまでNTTドコモやauなどによるキャリア系、もしくは楽天などの流通系が中心じゃった。しかし、TポイントとVポイントの統合後には、Vポイントが銀行系としてこれまでにない経済圏を作る可能性もある。もし今後もVポイントを使うのであれば、いまのうちに通信費や光熱サービスなどをチェックしておいて、もしそういった経済圏が進んだらどうするのか、検討しておくのもひとつの手じゃろう。

 

“ウエル活”勢やPayPay勢は早めの対策がマスト!

岩田  TポイントとVポイントが統合することは昨年6月にすでに発表されていたが、4月の新生「Vポイント」誕生を前にして他社の対応も少しずつ明らかになってきた。特に注目すべきなのが「ウエル活」じゃ。ウエルシア薬局では従来、毎月20日に「ウエルシアお客様感謝デー」を開催。Tポイントを200ポイント以上利用することでポイントの1.5倍ぶんの買い物が可能じゃった。

 

蔦   いま話題の「ウエル活」ですよね!

 

岩田  うむ。例えば、Tポイント1000Pで1500円ぶんの買い物ができるといった具合じゃな。しかし、今月はじめにウエルシアグループはHPで、今後WAON POINT中心のサービスへ以降することを告知。新生Vポイントでの買い物に「お客様感謝デー」が適用されるのは8月20日が最後となる。9月以降はWAON POINTのみが対象となり、一部では「改悪」との声も聞こえてきとる。これまで貯めたTポイントはVポイントとなり、このVポイントはWAON POINTへ等価交換できるものの、メインでTポイントを貯めてきた人にとってはあまり旨みのない話じゃ。

↑5月以降、ウエルシアやハックドラッグでもらえるポイントがWAON POINTへ徐々に移行。毎週月曜日の「ポイント2倍デー」やボーナスポイントについては5月から、WAON POINTのみが対象となる

 

蔦   メインで貯めるポイントをいま一度検討し直す必要がありそうです。

 

岩田  ちなみに、TポイントからPayPayポイントへの交換も3/31をもって終了する。ウエル活とは関係なく、PayPayをメインで使っているなら早めに交換しておくのが得策じゃろう。また、VポイントはVポイントで、統合に際して積極的なキャンペーンを仕掛けている。史上最大レベルのポイント統合じゃ。キャンペーンなどでしっかりポイントを稼げる一方で、これまで期待していたサービスが終わってしまうことも。Tポイント関連でやりたいことがあれば、統合前にやってしまうことが肝要じゃ。

 

価格などの情報はすべて本稿執筆時のものです。

構成/佐伯尚子 文/鹿野 薫 監修/岩田昭男