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●冷凍王子で知られる冷凍生活アドバイザーによる“肉の冷凍術”。ちょっとしたひと手間を加えるだけで、冷凍肉が格段においしくなる方法とは?

 物価高騰が深刻化する昨今、少しでも食費を節約するために、食材は安いうちにまとめ買いしているという人は多いはず。でも、肉などの生モノは、冷凍することで鮮度や味が落ちてしまうのが悩みどころ。

 そこで今回は“冷凍王子”の愛称で知られる冷凍生活アドバイザー・西川剛史(にしかわ・たかし)氏による、肉のおいしさを保つ“冷凍術”をご紹介。西川氏が冷凍食品メーカーや冷凍食品販売会社などに勤めていた経験や独自の実験から生み出した、上手な肉の冷凍方法や、冷凍肉のアレンジレシピをまとめてお届けします。

下味をつけて冷凍するとおいしさ長持ち! いいこと尽くしの“下味冷凍”

 冷凍王子の西川氏によれば、肉をおいしく冷凍するこつは“下味をつけること”! 「肉を冷凍すると味が落ちる」というイメージがあるかもしれませんが、買ったそのままの状態ではなく下味をつけて冷凍すると、肉の劣化を遅らせながら、味を長持ちさせることができるといいます。

 下味をつけることによって長持ちする理由は3つ。

1.液体調味料が食材の表面を覆うことで乾燥を防ぐこと。
2.タンパク質同士の結合を防ぎ、栄養分や旨みの流出を防ぐこと。
3.たんぱく質を酵素で分解すること。

 同じ日に買って冷凍した肉でも、下味をつけたものとそうでないものでは、おいしさが大きく変わるそうです。

 よりおいしく冷凍するためには、肉をしっかりと調味料に浸してコーティングすること、肉を入れたフリーザーバッグは早く凍るように薄く平らにすること、フリーザーバッグは空気をできるだけ抜いてから口を閉じることを、しっかり守るのも大切だそうですよ。

 下味冷凍した肉は味が染み込んでいておいしいだけでなく、解凍して焼くだけですぐに出来上がるので、時短になるのもうれしいポイント。買い溜めした肉を休日にまとめて下味冷凍しておくと、忙しい平日にはちょっとラクできちゃいますよ。

 次のページからは、おすすめの下味冷凍レシピを、肉の種類別にご紹介します。

【下味冷凍レシピ】鶏もも肉を塩麹で揉み込んだ「塩麹鶏とトマトの親子炒め」

 最初にご紹介するのは「鶏もも肉」の下味冷凍レシピです。

 最初に鶏もも肉1枚(250g程度)を食べやすいサイズにカットして、塩麹大さじ2とともにフリーザーバッグに入れ、よく揉み込みます。空気をしっかり抜いてからジッパーを閉め、平らにしてから冷凍庫にしまえば準備はOK! そのまま焼くだけでもおいしいですが、から揚げ、グラタン、チャーハンなど、マルチに使える「鶏肉の塩麹漬け」の出来上がりです。

 さらに、野菜などを加えてボリューム満点のおかずに仕上げたいなら「塩麹鶏とトマトの親子炒め」もおすすめです。

材料

・「鶏肉の塩麹漬け」……1枚
・トマト(大)……1個
・まいたけ……50g
・卵……2個
・サラダ油……小さじ2
・塩、こしょう……少々
・小ねぎ……適量

作り方

1.トマトは大きめのざく切りにし、まいたけは石づきをとって小房に分ける。卵はよくときほぐし、塩こしょうをふる

2.アルミホイルを敷いたフライパンに「鶏肉の塩麹漬け」(解凍済みのもの)を並べ、中火で両面を2~3分ずつ焼く。こんがりと焼けたら火をとめ、アルミホイルが冷めてから「鶏肉の塩麹漬け」をホイルごと取り出す

3.フライパンにサラダ油をひき、トマトとまいたけを1~2分炒め、塩こしょうをふったら、「鶏肉の塩麹漬け」を加える

4.具を端に寄せて、フライパンにとき卵を加える。ときおり大きくかき混ぜながら、卵に火を通し、全体を炒め合わせる

5.器に盛りつけて小ねぎを散らしたら、できあがり!

合い挽き肉を洋風肉だねにして冷凍!「ミートたっぷりスコップコロッケ」

[食楽web]

 ハンバーグ、ミートボール、コロッケなど、誰もが好きな定番メニューにアレンジしやすい合い挽き肉は、あらかじめ肉だねにして冷凍しておくと便利です。

 合い挽き肉(400g)を購入したら、まず、パン粉1カップ、牛乳100mlと塩を合わせて、粘り気が出るまでよく混ぜます。そして卵、玉ねぎのみじん切り(1/2個分)、塩小さじ1、こしょうや好みのスパイスを少々加えてさらによく混ぜ合わせ、使いやすい分量ずつフリーザーバッグに入れて密閉。どんな料理にも活躍する「合いびき肉洋風ミートだね」の完成です!

 それでは「合いびき肉洋風ミートだね」を使った、成形不要のお手軽コロッケ「ミートたっぷりスコップコロッケ」のレシピをご紹介しましょう。

材料

・「合いびき肉洋風ミートだね」……150g
・じゃがいも……2個
・パセリ(みじん切り)……お好みで
・ソース、ケチャップなど……お好みで
・バター……15g
・牛乳……50ml
・塩こしょう……各少々
・パン粉……大さじ5
・サラダ油……小さじ2

作り方

1.洗ったじゃがいもを1個ずつラップでふんわりと包み、500Wの電子レンジで約7分加熱する。熱いうちに皮をむき、ボウルで潰したら、バター、牛乳、塩こしょうを加えてよく混ぜる

2.アルミホイルを敷いたフライパンにパン粉とサラダ油を入れ、木べらなどで優しくかき混ぜながら炒める。パン粉がきつね色になったら一旦取り出し、別の容器に置いておく

3.フライパンに「合いびき肉洋風ミートだね」(解凍済みのもの)を入れる。木べらなどでバラしながら肉に火が通るまで中火で炒めたら、じゃがいものボウルに加えて混ぜ合わせる

4.耐熱容器に3のボウルの中身を敷き詰めたら、2のパン粉をふりかけ、オーブントースターで軽く焼き目をつける。仕上げにパセリをふりかけ、ソースやケチャップなどをかけたらできあがり!

まとめ

 おいしくストックしておけるだけでなく、忙しい日の調理時間を短縮したり、料理のレパートリーを増やしてくれたりと、いいこと尽くしな“下味冷凍”。肉を買い溜めした際には、ぜひ一度試してみてください! これまでとの違いにきっと驚くはずですよ。