『ハイキュー!!』の影響で「サッカーの次にバレーボールを見るくらい、バレーボールが好きになった」と語る霜降り明星・せいや ©古舘春一/集英社

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『ハイキュー!!』の影響で「サッカーの次にバレーボールを見るくらい、バレーボールが好きになった」と語る霜降り明星・せいや ©古舘春一/集英社


実は相当なアニメ好きとして知られる人気お笑いコンビ「霜降り明星」せいや。中でも最近になって特にハマったという作品が、週刊少年ジャンプで連載されていたバレーボール漫画『ハイキュー!!』だ。

同作の最新映画『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の公開を記念して、漫画『ハイキュー!!』の魅力や見所について、前後編で語っていただいた。前編では『ハイキュー!!』との出会いやお気に入りシーンに注目!

【写真】『ハイキュー!!』の魅力を熱弁するせいや

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『ハイキュー!!』にはモブがいない!

――TVアニメから『ハイキュー!!』に触れたとのことですが、そのきっかけを教えてください。

せいや 僕、もともとスポ根作品が大好きで、『ハイキュー!!』はジャンプで連載していたのも知ってたし、面白いというのも方々から聞いてたんです。でも、なんとなく食わず嫌いをしてたんですよね。ちょっとアイドル的な感じがしたというか、「ほんまに熱いスポ根じゃないんかなー」なんて思ってて。「ずっと気になってはいるんだけど、手はつけへん」みたいな感じだったんです。

だからずっと「次観る作品に困ったら観るリスト」のトップ3には入れてたんですよ。で、一日まるっと休みの日があって、その日にいよいよ観てみようと思って。それでTVアニメを観始めたらハマりまくっちゃって。そこから一気に第3期くらいまで観て。

――第3期までというと約60話ありますが、それを一気に!?

せいや 1日でではないですけど、メッチャ面白かったんで! 本当にのめりこんじゃって、今思うと一番おもろい観方ができたなって思います。


「シンプルにどこか1個秀でた所がある主人公が好きで、『ハイキュー!!』だと日向がめっちゃジャンプ力あるのが、わかりやすくていい」と語るせいや

――それでハマって、原作漫画も読み始めた感じですか?

せいや はい。もう、メチャクチャいい漫画でしたね! スポーツ漫画って、大体はスゴい選手が主役じゃないですか。野球だったら超エースとかすごいバッターとか。それまでは割とそういうスポ根モノが好きやったんですけど、『ハイキュー!!』観たら「なるほどな」って納得して。

というのも、もう選手全員にスポットが当たって、全員が主人公になる。そういうところはまさにバレーボールのローテーションみたいで、そこがスゴいって感心したんですよね。しかもめっちゃ泣けますし、めっちゃ熱い!

――各キャラクターごとにきちんとバックボーンや関係性があって、作中でそれらが感じられるんですよね。

せいや そうなんですよ。いわゆるモブキャラがいない。これ、僕はいい漫画の法則だと思ってることがあるんですけど、勝者もいいし、敗者もいい。特に『ハイキュー!!』は、敗者のエピソードもグッとくるものが多いんですよね。

主役の烏野高校にも、例えば縁下力っていう選手がいますけど、名前からして一見モブキャラに思えるじゃないですか(笑)。でもきっちり活躍の場があるんですよね。


当初は名前の通り出番の少なかった縁下だが、春高宮城県代表決定戦準々決勝の和久谷南戦では負傷した澤村に代わって出場し、きっちり仕事を果たす。一度は心が折れた過去エピソードも印象的で、ファンも多いのでは?(ジャンプコミックス第14巻より)©古舘春一/集英社

【写真】『ハイキュー!!』の魅力を熱弁するせいや

――作中で特にお気に入りというシーンはありますか?

せいや もうめっちゃいっぱいあるんですけど、序盤で「私たちも部活やってたよ」っていう、あの回あるじゃないですか?(第40話「勝者と敗者」)あの予選で負けた人たち目線のシーン。

主人公である日向とか烏野高校とかは関係ないシーンなんですけど、実はみんながそれぞれの物語の主人公で、あそこでボロッボロ泣きましたね。やっぱり全員がいい思いするわけじゃないけど、みんな一生懸命部活やってたんだっていう、あの言葉。部活やってた人はみんな号泣するんじゃないかなって思いますね。


誰もが挙げる『ハイキュー!!』屈指の名シーン。モノローグで語られる敗者の心情に、自分の青春を重ねた人も多いのでは。(ジャンプコミックス第5巻より)©古舘春一/集英社

――わかります。部活やってなくても泣けました...!

せいや ですよね! あとは烏野のエピソードで言うと、春高予選の決勝、白鳥沢戦でツッキー(月島蛍)が覚醒する場面ですね。「僕がウシワカに勝てるワケないデショ」って言いながらも、「ただ何本かは止めてやろうと思ってる」って山口(忠)にだけ言うんです。

そして試合でもプレッシャーを与え続けて、ついにウシワカ(牛島若利)のスパイクをシャットアウトする。ツッキーの沸々とした、自分の中にだけ持ってる情熱がいいんですよね。

それで、以前、木兎(光太郎)さんに言われた「それがお前がバレーにハマる瞬間だ」っていう言葉を思い出して、ツッキーが雄叫びを上げるじゃないですか。もうこの流れが最高すぎますよね。ツッキーは物語前半、結構イヤなヤツかもしれないと思わせる期間も長いんですけど、それがフリになってて、めちゃくちゃ純粋で熱いヤツだって分かるのが熱いんです!


白鳥沢戦で全国屈指のエーススパイカー・牛島の強烈スパイクを見事にブロックした月島。木兎の言う通り、「バレーにハマった瞬間」でもある。(ジャンプコミックス第19巻より)©古舘春一/集英社

あと、日向(翔陽)が初めてウシワカと対峙するシーンも好きです。まさに「ザ・ジャンプ」的なシーンで、強いボスキャラが弱い主人公に「なんだこの力は!?」ってビビるシーンってあるじゃないですか。ああいうシーンが好きなんですけど、『ハイキュー!!』で言うとこのシーンですよね。

日向がめちゃくちゃ高いジャンプでボールを奪って、絶対王者のウシワカが「コイツ...!」ってなる。あの小さな日向の超人的な動きにビビる瞬間が気持ちいいんですよね。アニメだと初めて(影山)飛雄と「変人速攻」を成功させるシーンの演出からめっちゃカッコ良かったし。やっぱり日向ってカッコいいんですよ。


とてつもない瞬発力を見せつけ、牛島を焦らせた日向。この後に続く「コンクリート出身日向翔陽です」は、作中の名言に挙げられることも多い(ジャンプコミックス第9巻より)©古舘春一/集英社

(後編に続く)

【写真】『ハイキュー!!』の魅力を熱弁するせいや


『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』のチラシを片手に、『ハイキュー!!』への想いがあふれるせいや。その想いは後編で! ©2024「ハイキュー‼」製作委員会 ©古舘春一/集英社 ©古舘春一/集英社

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●霜降り明星 せいや
1992年9月13日生まれ、大阪府出身。吉本興業所属のお笑いコンビ「霜降り明星」のボケ担当で、M-1グランプリ2018優勝。歌やモノマネなど特技は多数。現在YouTube個人チャンネル(霜降り明星せいやのイニミニチャンネル)では、チャンネル登録者数100万人を目指して毎日動画をアップ中。 
YouTube公式チャンネル(霜降り明星) https://www.youtube.com/@shimofuritube/ 
YouTube公式チャンネル(せいや個人) https://www.youtube.com/@seiya_inimini/ 
公式X https://twitter.com/simofuriseiyam 
公式Instagram https://www.instagram.com/seiya_shimofuri 


●『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』 
全国の映画館にて公開中 
原作:「ハイキュー!!」古舘春一(集英社 ジャンプ コミックス刊) 
監督・脚本:満仲勧 
キャラクターデザイン:岸田隆宏 
総作画監督:千葉崇洋 
アニメーション制作:Production I.G 
主題歌:SPYAIR「オレンジ」(ソニー・ミュージックレーベルズ) 
https://haikyu.jp/movie/ 

©2024「ハイキュー‼」製作委員会 ©古舘春一/集英社 
©古舘春一/集英社

取材・文/石綿 寛(樹想社) 撮影/山添 太