岡口判事の弾劾裁判が結審、判決は3月27日 「不快な思いさせた」と当事者に謝罪
裁判当事者を傷つけるネット投稿などをしたとして訴追された仙台高裁の岡口基一裁判官(職務停止中)の弾劾裁判の第15回公判が2月28日、裁判官弾劾裁判所(裁判長:船田元議員=衆・自民=)であった。岡口判事側の最終意見陳述がおこなわれ、岡口判事は「不快な思いをさせた」と当事者への謝罪の言葉を口にした。
裁判は今回で結審し、3月27日に判決が言い渡される予定。ただし、岡口判事側によると、弾劾裁判所から1週間ズレる可能性もあるとの連絡を受けているという。岡口判事の任期は4月12日までだといい、そこまでに判決が出ない場合、弾劾裁判は途中で終了となる。
●弁護側「法的に適切な判断を」
裁判では13件の行為が問題となっているが、このうち4件は3年の訴追期間を経過しており、検察官に相当する裁判官訴追委員会はすべてを一体のものとして、最後の行為を起算点とすべきと主張している。
これに対し、弁護側は最終意見陳述で、13件の行為は対象がさまざまで、時間的な隔たりもあるなどとして、一体として見るべきではないと反論。罷免事由があると判断すれば、訴追請求しなくてはならないはずの最高裁(裁判官弾劾法15条)が訴追請求していないことなども挙げ、岡口判事の行為は罷免に当たらないと述べた。
期日後の記者会見で、弁護側の野間啓弁護士は「岡口判事のしたことが良くないということと、罷免との間には著しい落差がある」とコメント。
14人の裁判員のうち、法曹資格を持つのは第二代理裁判長の階猛氏(衆・立憲)、山本有二氏(衆・自民)、北側一雄氏(衆・公明)、森まさこ氏(参・自民)、伊藤孝江氏(参・公明)の5人で、法曹資格を持たない裁判員のほうが多い。
裁判を振り返って、弁護側からは「法律的な前提知識を持たない裁判員に対し、いかに分かりやすく説明するかに苦心した」との発言もあった。
伊藤真弁護士は、「裁判だから法的な根拠に基づく必要がある。『けしからんやつを処罰する』、『国民感情を代弁するのが裁判員だ』といった感覚で判断されると困る」と述べ、法に照らし適切に判断されるよう望んだ。
なお、この日の期日には、田中和徳議員(衆・自民)と赤池誠章議員(参・自民)が欠席したが、予備員からの補充はなく、裁判員は12人だった。