「黒」は人にどんな印象を与える?

写真拡大

 洋服や家電製品など、さまざまな物に使われている色の一つが「黒」です。他の色の物と合わせやすいため、好んで取り入れる人は多いと思います。

 日常生活で黒色の物を取り入れると、どのようなメリット、デメリットが生じる可能性があるのでしょうか。色彩検定1級などの資格を持つ、山田優子さんに教えていただきました。

高級感を演出する色

Q.黒は人にどのような印象を与える色なのでしょうか。

山田さん「黒はとても強い色味なので、恐怖感や重厚感、厳格さなどの印象を与えるカラーです。また、『死』を連想させる色でもあるため、喪服は基本的に黒色です。

こうしたことから、黒色はネガティブな印象が強いかもしれませんが、フォーマルさや高級感、独立心などの効果を狙い、商品やイメージに採用されることも多いです。さらに、光を吸収する色でもあるため、UVカット効果のある商品や衣服などに用いられることも多いです」

Q.日常生活で黒を積極的に取り入れたい場面、避けたい場面について教えてください。

山田さん「色は膨らんで前に出ているように見える色と、引き締まって奥に向かって小さくなるように見える色があります。黒の場合は後者で、衣服に用いると着痩せしたり、シャープな印象に見せたりすることができます。

ただ、先述のように、黒は他のカラーよりも心理的に重量があるように感じてしまいます。ある実験では、同じ重さの箱を用意しているはずなのに、白よりも黒の箱の方が1.87倍も重く感じるという結果が出ています。

そのため、圧迫感や威圧感を出したくない場合や、軽さや親しみやすさを出したい場合は控えた方が良いカラーです」

Q.高級志向の商品に黒がよく用いられるのは、なぜなのでしょうか。

山田さん「重厚感や近寄りがたさというのを逆手に取って、『神秘的』『ラグジュアリー』『フォーマル』といったイメージを与えるからだと思います。例えば、多くの高級ブランドのバッグや化粧品のパッケージに黒が採用されているほか、最もグレードが高いクレジットカードは『ブラックカード』といわれていますよね。

また、これまでは白いイメージが強かった冷蔵庫や洗濯機などの家電製品においても、最近は上位グレードなどのモデルで黒を採用するケースが多いのですが、これは高級感やインパクトを狙った商品展開ですね」

* * *

 黒は衣服などにもよく使われるベーシックカラーですが、実はとても強い印象を与える色でもあることが分かりました。身の回りに取り入れる際は、こうした色の効果を考えて選択してみると、買い物やコーディネートがもっと楽しくなるかもしれません。