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借金を作った父親が夜逃げして、残された子どもが返済した――。そんな投稿がX(旧ツイッター)で話題になっています。

投稿によると、この借金は子ども2人で5年かけて返済したといいます。その際、借金取りの人がいろいろな仕事を紹介してくれて「効率よく返せた」そうです。

この投稿について「借金取りいい奴だな」「優しい」という声がある一方で、「本来は返済する義務はなかった」という指摘もあがっています。

はたして法律的にはどのように考えられるのでしょうか。冨本和男弁護士に聞きました。

●原則として「親の借金」を返済する義務はない

――そもそも「親の借金」を返済する義務は子どもにあるのでしょうか?

原則として、ありません。借金の返済を約束したのは、親であり自分ではないからです。例外として、借金の保証人になった場合や、親が亡くなったあとも相続放棄せずに借金を相続してしまったような場合は返済しないといけません。

――親が借りたお金が「闇金」からだった場合はどうでしょうか?

その場合、親にも子にも返済する義務はありません。超高金利の貸付は暴利行為として、公序良俗に反して無効となるからです(民法90条)。

――もし義務はないのに返済した場合、そのお金を取り返すことはできるのでしょうか?

債務がないのに弁済することを「非債弁済」といいます。非債弁済の場合、原則として不当利得であるとして返還を求めることができます(民法703条)。

しかし、返済した人が債務のないことを知って返済した場合には取り返すことはできません(民法705条)。自分でわざわざ損失を招いた人に法的保護を与える必要はないからです。

なお、闇金への返済分ですが、ケースごとに裁判例は分かれています。返済した全額について返還請求が認められるとしたもの、返済した額から借りた額を差し引いた金額について返還請求が認められるとしたものがあります。

【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp