見逃しそうなほど小さな世界をキャッチ。近づいて捉えた自然界
今年で5回目となる、「Close-up Photographer of the Yearコンテスト」の入賞作を含むトップ100が発表されました。
1万2000枚近くのエントリーから選ばれた受賞作品は、いずれも被写体に寄って撮ることで動物界や菌類、そして自然界のまたとない瞬間をカメラに収めた写真ばかり。
以下、Close-up Photographer of the Yearコンテストを構成する11カテゴリーの上位入賞作をどうぞ。
‘Wood Ants Firing Acid Secretion’
昆虫カテゴリーの第1位は、写真家に向けて酸を噴射しているオランダのヨーロッパアカヤマアリの写真でした。
‘The Wedding Guest’
結婚パーティーの会場の窓にとまっていたヤママユを捉えた写真が、蝶とトンボカテゴリーの第1位を受賞。ハンガリーのUzsaという村にて。
‘Dune Wrestling’
動物カテゴリー第2位の写真は、オオクチガマトカゲ2匹が縄張り争いで取っ組み合いをしているショット。ロシアのチョルヌイエゼムリ自然保護区で撮影されました。
‘The Bird of the Forest’
こちらの写真が、動物カテゴリーの第1位と総合優勝を獲得。森の中を飛んでいるゴジュウカラです。切り株の中から撮影したことで、キノコ型のフレームがつきました。
‘Dicyrtomina Ornata’
今年の若きクローズアップ・フォトグラファーカテゴリーの第3位は、ドイツのブランデンブルク州の森林にいたglobular springtail（マルトビムシの一種）の写真へ。
‘Comatricha Nigra’
16歳のAlexis Tinker-Tsavalasさんが撮影した変形菌ヤリカミノケホコリの子実体は、まるでティム・バートン監督の作品から出てきた物体のよう。今年の若きクローズアップ・フォトグラファーカテゴリー2位に入りました。
‘Small Wonders’
マグネシウムの結晶（画像下側）に覆われた壁を這うムーアカベヤモリの後ろ足と尻尾を捉えたモノクロ写真。今年の若きクローズアップ・フォトグラファーカテゴリーの第1位に輝いた作品で、17歳のCarlos Pérel Navalさんが撮りました。
‘Pinkaboo’
ヤマブキスズメダイ以外はぜんぶ鮮やかなピンク色という、インドネシア沖で撮影された写真。水中カテゴリーの第3位を獲得しました。
‘Heart of the Sea’
水中カテゴリー2位は、フィリピンのロンブロンの沖合でのナイトダイビング中に撮影された、ハート形に丸まったウツボの印象的なショットへ。
‘Dreamtime’
オーストラリアのシェルハーバーにて、モザイクヒトデの上を漂うクリーナーシュリンプ。水中カテゴリーの第1位に輝きました。
‘Golden Agave’
植物カテゴリーの第3位はアリゾナ州のデザート・ボタニカル・ガーデンにある、観葉植物アガベの葉の静謐な光景。
‘Tears in My Eyes’
食虫植物モウセンゴケの、魅力的で清らかな美しさを捉えた写真が植物カテゴリーの第2位になりました。
‘Reflexion’
オランダのトロンペンブルフ庭園・植物園の池に映るマグノリアの木の花々。このモネの絵画を彷彿とさせる写真が、植物カテゴリーの第1位です。
‘Twisted Dandelion’
こちらのタンポポに超接写した写真がミクロカテゴリーの第3位に。200枚の画像を重ねています。
‘Amoeba’
こちらは、スウェーデンのストックホルムにあるドロットニングホルム宮殿近くの池から採取されたアメーバ。120枚の画像をまとめることで、アメーバの各部位を捉えたショットで、ミクロカテゴリー2位を獲得しました。
‘Beach Grass’
ミクロカテゴリーの最優秀作は、顕微鏡で見たビーチグラス（Ammophila arenaria）の断面図。グラスを構成する小規模な構造を強調するため、サンプルは染色されています。
‘Dancing Sands Violin Crab’
無脊椎動物のポートレートカテゴリー3位の写真は、防御の姿勢を取るシオマネキ。
‘Orange Isopod’
無脊椎動物のポートレートカテゴリー第2位は、開きそうなところを撮られたオレンジ色のダンゴムシ。
‘Jumping Stick’
このかわいらしいボウバッタが無脊椎動物のポートレートカテゴリー1位になりました。写真家のTibor Molnarさんは、コンペのリリースにこう述べています。
この無脊椎動物はナナフシのようでありバッタのようでもある、というのが最も的確な表現ですね。飛び跳ねる時は特に優雅というわけではなく、完全にバランスを崩して転びがちです。
‘Circular Trenching Behavior by a Leaf Beetle’
昆虫カテゴリーの第3位は、植物の毒素を摂取することなく安全に食べるため葉っぱに円形の傷をつけ、その中にいるハムシの写真。
‘Mosquito Egg Raft’
水に浮かぶ蚊の卵舟が昆虫カテゴリーの第2位に。蚊が美しいものだと思えてしまいそうな1枚です…。
‘Ferro Field’
人工物カテゴリーの第3位は、磁石が磁性流体に作り出した模様の写真。
‘Colour Study 51'
重ねていくことで、抽象的なコンポジションを生み出している半透明カラーシート。写真家のPaul Gravettさんは前述のリリースに以下のコメントを寄せています。
私の狙いは写真とアートの境界線を曖昧にして、点描、カラーフィールド、不透明と透明な層、コラージュの絵画手法を持ち込むことです。
‘Asymmetrical Threads’
こちらが人工物カテゴリーの第1位になった写真。色糸を巻き付けた額縁を回転するプラットフォームに載せて撮影した、64枚の多重露光画像です。
‘Fungi and Fairy Dust’
真菌類と変形菌カテゴリーの3位は森のコケから生える菌類の写真へ。ガーデニング用の霧吹きを使って足された水滴で、神秘的な雰囲気に。
‘Autumn Emergence’
このふわふわとしたナラタケは、英国ウォリックシャーで撮影されました。真菌類と変形菌カテゴリーの第2位です。
‘The Ice Crown’
王冠のような形の氷を被る変形菌が、真菌類と変形菌カテゴリーの1位に輝きました。
「以前、他の変形菌を撮影しようとした時には、うかつにも近づきすぎて自分の息で氷を溶かしてしまった」と、写真家のBarry Webbさん。
‘Sunrise Beauty’
蝶とトンボカテゴリーの第3位は、草の葉で羽を乾かしているトンボの写真へ。朝日が後方からトンボを照らしています。
‘Letting Go’
交尾後に離れていくヨツボシトンボ2頭の写真が、蝶とトンボカテゴリーの第2位になりました。写真家のSteve Russellさんはコンテストのリリースの中で、このような瞬間を捉えるのは、「非常に難しい。トンボたちは何の予告もなくほんの数秒間だけ飛びながら連結して交尾するからです」とコメントしていました。
‘Natural Architecture’
動物カテゴリーの第3位は、草の葉を環状に織り込んだ巣の中にいるカバキコマチグモ。
‘The Sorcerors Apprentice’
空高くから、尾根が連なる山脈を捉えた写真かと勘違いしそうな画像ですが、実際はオレゴン州にある干上がった湖の底で凍てついた泥の写真です。身近な風景カテゴリーの第3位を獲得しました。
‘Ice Fossiel’
この美しい写真が、身近な風景カテゴリーの第2位を獲りました。細枝が氷の塊の中に閉じ込められています。
‘Undertow’
身近な風景カテゴリー第1位に輝いたのは、水路に自生するウォーターバイオレットの葉のショット。木が水の上に影を落としています。
