「日本は俺がボクシングを汚したと思ってる」ネリ、井上尚弥戦へ意気揚々! 波紋を広げた山中慎介戦は「イージーだった」

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問題児のレッテルを貼られているネリは、井上との一戦に自信を漲らせている。(C)Getty Images

 スーパーバンタム級を統べる“怪物”といかに対峙するか。元世界2階級王者ルイス・ネリ(メキシコ)は、ふつふつと湧き上がる闘争心を母国メディアで覗かせている。

 昨年に2戦2勝を飾り、11月のWBC年次総会で指名挑戦者となったネリの次戦として、目下、対戦が有力視されているのが、同級の4団体統一王者である井上尚弥(大橋)だ。

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 無論、実績豊富なネリにとっても、井上は容易な相手ではない。26戦無敗(23KO)と圧倒的な戦績を誇る井上は、昨年1月に転級したスーパーバンタムでも2戦無敗と圧巻のパフォーマンスを披露。しかも、わずか2試合で4本のベルトを勝ち取った。

 世間の下馬評も井上優位の見方は強い。しかし、ネリは強気な姿勢を崩さない。母国のポッドキャスト番組『Un Round Mas』に出演した29歳は、「イノウエを倒したいんだ。俺の実力を見てもらいたい」と宣言。ボクシング・ファンによる「1ラウンドも持たない」「1ラウンドで木っ端みじんにされてしまうよ」といったコメントを目にしたという彼は、こう続けている。

「でも、そう言われると、俺は逆に勇気が湧いてくるんだ。『お前たち(ファン)よく見てろよ、クソ!』っていう感じの気持ちになる。モチベーションはシンプルさ。自分の能力を最大限に披露してみせる」

 いまだ達成者のいない井上撃破に自信を覗かせるネリは、「ヤマナカ戦の時も今と同じことを言われたんだ。『お前はとてもチャンピオンに太刀打ちできるレベルではない』ってね。でも、俺は日本へ行って、あいつをコテンパンにやっつけたじゃないか」と強調。2017年8月と18年3月に実施した山中慎介氏との2試合について言及した。

 山中氏とは初戦で4回TKO、2戦目でTKOといずれも勝利したネリ。しかし、初戦はドーピング検査での違反が判明。再戦でも大幅な体重オーバーが明らかになり、WBCからのタイトルの剥奪と、JBC(日本ボクシング・コミッション)からの日本国内での無期限活動停止という厳罰を受けていた。

 いまだに日本で波紋を広げる騒動を経て、ようやくメガマッチが組まれるまで地位を回復させたネリ。だが、彼は「ヤマナカ戦はキャリアで最もイージーな試合だったんだ。これは誓ってもいい。2度ほどいいパンチを食らったけど、あれも全然効いていなかった」と毒舌を披露した。

「俺はグサノ(山中氏が2度目の防衛戦でKO勝ちしたトマス・ロハス=メキシコ)のように眠らされることはなかった。本当にヤマナカのパンチ力を感じなかったからね。ダメージが全然なく、あの時はキレイな顔でフレッシュな状態で試合を終えることができた。

 ヤマナカとの2戦目も日本に向かう15日ぐらい前まで友だちと喋り倒して、気がついたら午前3時、4時という毎日だった。もちろんトレーニングは続けていたけど、始めると二日酔いに悩まされていた。今はそんな無茶はしていないけど、あの試合は楽だった」

 ボクシング・ファンを逆なでするような言動だ。さらにネリは、「あの国(日本)では、俺がボクシングを汚し、リスペクトを欠いたように思われている。イノウエとの試合はもっと早く実現してもよかったけど、日本サイドが私をずっと拒絶した。でもイノウエ自身は本当に俺とやりたいらしい」とし、こう続けた。

「イノウエは俺にクギを刺したいと思っている。きっと俺に怒りをぶつけて来るはずだ。日本を背負って俺に仕返しをするつもりさ」

 徹底してヒール役に努めるネリ。こうした“悪童”らしい挑発的な言動も、井上陣営に対する心理戦の一環なのかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]