井上尚弥【写真:浜田洋平】

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名トレーナーのサンチェス氏が対戦に言及

 ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者となった井上尚弥(大橋)。2階級4団体統一の快挙を成し遂げ、5日(日本時間6日)には世界で最も権威あるボクシングの米専門誌「ザ・リング」の2023年「Fighter of the Year」(年間最優秀選手)に日本人初選出された。ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)らを育てた名伯楽も「イノウエが獲得するべき」と同意見の様子。「もしネリを滅ぼしたら、特別なことだ」と、WBCの指名挑戦権を持つ元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)との対戦に期待していた。

 アジア人としても元世界6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)以来2人目のリング誌“年間MVP”受賞となった井上。海外では世界ウェルター級で4団体統一したテレンス・クロフォード(米国)を年間最優秀選手に推す声もあるが、米ボクシング専門YouTubeチャンネル「Fight Hub TV」に出演したアベル・サンチェス氏は「イノウエが2023年の年間最優秀ボクサーを獲得するべきだと思う」「成果を考える限り、イノウエがNo.1だ」と意見した。

 サンチェス氏はゴロフキンら名手を育てたトレーナーとして知られる。井上の次戦は5月が想定され、米メディアなどではネリとの対戦が有力視されている状況だが、サンチェス氏は「もし彼が(ネリを)滅ぼしたら、これまで成し遂げてきたことと同じように特別なことだ。ネリは良いボクサーだからね。全盛期は過ぎてるし、もっと良い時はあったが、それでも良いボクサーだ」と対戦に期待している。

「Fight Hub TV」の創設者でホストのマルコス・ビジェガス氏は、ネリがアザト・ホバニシアン(アルメニア)に11回TKO勝ちした2023年2月のWBC同級挑戦者決定戦を振り返り、「ホバニシアンと死闘をしていたけど、イノウエはレベルが違うよね」とコメント。サンチェス氏も同調したが「でも(ネリは)今は再び献身的になり、ハードにトレーニングに取り組んでいるらしい。だからこそ、今ネリに勝てたら、とても凄いことだと思う」とコメントした。

「井上を売り出したいなら…」サンチェス氏の考えは

 7月に8回TKO勝ちしたスティーブン・フルトン戦のように、仮に井上がネリを相手に圧倒的な勝利を収めれば「なんてこったって感じだ」とサンチェス氏はコメント。ビジェガス氏も「正直、イノウエがネリ戦で素晴らしいパフォーマンスを見せたとしても驚かないね」と話している。

 ネリといえば、17年8月にWBC世界バンタム級王者(当時)山中慎介に4回KO勝ちで王者となったが、その後の薬物検査で陽性反応が出た。18年3月の再戦では前日計量で体重超過。試合には勝ったが、王座は空位に。JBCから国内の無期限停止処分を受けている。

 ビジェガス氏は「彼らが日本で戦えるか分からないよね。ネリは日本で戦うことを禁止させられているんじゃないか、数年前の薬物のことで」とこの問題について言及。井上―ネリ戦を望むサンチェス氏は「PFPボクサーとして彼(井上)を売り出したいなら、米国でやるべきだ」とも意見した。

 最後はビジェガス氏が「とにかく、イノウエが年間最優秀ボクサーを獲得すべきだ。君も同意見ってことで、ナオヤ・イノウエが2023年の年間最優秀ボクサーだ!(笑)」と、井上に揺るぎない高評価を与えていた。

(THE ANSWER編集部)