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●スーパーマーケットの惣菜の中でも王道として君臨する「ロースカツ」の主要7チェーンを食べ比べ。各スーパーの中でもっともうまい「ロースカツ」は果たして?

 近年、需要と人気が高まっているスーパーマーケットのオリジナル惣菜。中には専門店の味に負けないほどのクオリティの高さで、人気がある惣菜もあります。ひと昔前とは全く違うレベルになっているわけですが、そんな中で、今も昔も王道商品といえば「ロースカツ」です。

 大小どのスーパーでも惣菜コーナーがあるところならおおむね販売されているもので、そのままでも十分なおかずになり、丼の頭、カレー用、サンド用などの二次的な使い方もできる優秀惣菜です。

 ということは、「どこでも売られている「ロースカツ」を比べれば、シンプルな味わいだからこそ各スーパーの惣菜のクオリティを図る物差しになるのでは?」という仮説が筆者の中で浮かびました。そこで、今回は主要7チェーンの「ロースカツ」を食べ比べてみることにしました。果たして、もっとも美味しい「ロースカツ」はどのチェーンのものになるのでしょうか。

三元豚ならではのたっぷりの旨みと柔らかい食感!『オーケー』の「ロースカツ」

『オーケー』の「やわらかロースとんかつ」377円(価格は全て税込)。重量は約186グラムでした

 まずは「高品質・Everyday Low Price」のスローガンでお馴染みの『オーケー』の「ロースカツ」からいただきます。

「やわらかロースとんかつ」という商品で、三元豚を採用し、衣に生パン粉も使った本格派で、冷めていても衣がサクサク。肉も柔らかく、かじれば口いっぱいに三元豚の旨みが広がる一品で、そのままでも二次調理でもかなり美味しくいただけるように思いました。

冷めているのに、衣がサクサク。そして豚の旨みもたっぷりで美味!

 数多くあるスーパーチェーンの中でも「安い」印象が強い『オーケー』ですが、この「ロースカツ」の本格的な味わいから推測するに、オリジナル惣菜に対しては、コストパフォーマンス以上の相当な力を入れているようにも思いました。

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オーケー

https://ok-corporation.jp/

衣厚めで二次調理向き!?『オオゼキ』の「ロースカツ」

『オオゼキ』の「三元豚ロースカツ」453円。重量は約187グラムでした

 続いては、『オオゼキ』の「ロースカツ」です。なんと前述の『オーケー』と同じ三元豚を採用した一品で、重量もほぼ同じの約187グラム。価格は、『オーケー』が377円(税込)に対し『オオゼキ』が453円(税込)と、価格だけ見ると少々負けているようにも映ります。

衣厚めですが、肉と衣が分離せずしっかり一体化しているところが◎

 ただし、衣が厚めで、肉との一体感が素晴らしく、この点はかなり好印象を受けました。また、脂身の少ない部位を採用しており、見た目に反して上品な味わいなのも特徴。これらのことから、カツ丼の頭などの二次調理向きの「ロースカツ」とも言えそうで、汎用性の高さも意識して、この調理設計になっているのかもしれません。

 パッケージにプリントされた「謹製」の文字も、なんだかちょっとかわいらしく、少々高めですが、どうしても嫌いにはなれない『オオゼキ』の「ロースカツ」でした。

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オオゼキ

https://www.ozeki-net.co.jp/

四元豚を採用しながら圧倒的コスパを実現!『東急ストア』の「ロースカツ」

『東急ストア』の「四元豚ロースとんかつ」322円。重量は約208グラムでした

 続いては『東急ストア』の「ロースカツ」。「四元豚ロースとんかつ」という商品名で、重量約208グラムにして322円(税込)。『オーケー』『オオゼキ』と比べると、明らかにコストパフォーマンス面で優っていることがわかります。

比較的薄切りカットですが、その分平べったく大きいのが特徴です

 このグラム数ではありますが、肉は薄めカットで、その分平べったく大きいのが特徴。しかし、その味わいは実に素晴らしく、『オーケー』と同様に、冷めていても衣がペタッとしておらず、サクサク感があります。そして、四元豚の肉から溢れる甘めの旨みは、ソースといただくことでより濃厚な味わいに感じるように思いました。

「今日、料理面倒くさい。外食も疲れた。家で簡単に食事を済ませたい」といった際のごはんのおかずにピッタリで、なかなか好印象の「ロースカツ」でした。

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東急ストア

https://www.tokyu-store.co.jp/

熟成三元豚を採用した旨みが詰まった濃厚な味わい!『いなげや』の「ロースカツ」

『いなげや』の「柔らかロースとんかつ」431円。重量は約198グラムでした

 続いて『いなげや』の「ロースカツ」をいただきます。「柔らかロースとんかつ」という商品で431円(税込)。やや強気にも感じる価格ですが、熟成した三元豚を採用していることと、厚切りカットで食指がそそられる商品ではあります。

ガッツリした食べ応えで好印象!

 実際の味は、その厚切りカットによる贅沢な食感と、かじったときに溢れる出る熟成三元豚の香ばしい旨みが最高で、クセになる味。この厚切りカットにして、肉が柔らかいのも好印象で、『いなげや』の惣菜調理のレベルの高さを感じる一品でした。

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いなげや

https://www.inageya.co.jp/

熟成うまリッチポーク使用で味はナンバーワン!?『西友』の「ロースカツ」

『西友』の「ロースカツ」463円。重量は約226グラムでした

 続いて『西友』の「ロースカツ」をいただきます。「熟成うまリッチポークのロースカツ」という商品で、約226グラムの463円(税込)。ここまでの「ロースカツ」の中では、『いなげや』に並んで高価格にあたる商品ですが、これが食べてビックリ。とんかつ専門店顔負けの味わいで、衣・肉ともに「これ、本当にスーパーの『ロースカツ』?」と疑いたくなるほどの美味しさでした。

コスパはさておき、美味しさではダントツトップ!

 パッケージによれば、うまリッチポークの熟成肉を採用しながら、下味の塩は、淡路島の藻塩を採用するなどのこだわりによって実現した味のようですが、あの雑然と並ぶスーパーのオリジナル惣菜の中に、こんなに旨い「ロースカツ」があったとは正直驚きでした。少々高値ではありますが、ここまで美味しければまったく問題ナシです。

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西友

https://www.seiyu.co.jp/

優等生的な安定感のある味わい!『サミット』の「ロースカツ」

『サミット』の「ロースとんかつ1枚」430円。重量は約191グラムでした

 続いて『サミット』の「ロースカツ」。「ロースとんかつ1枚」という商品で、約191グラムにして430円(税込)。『いなげや』『西友』同様に、やや高め設定ですが、『サミット』の「ロースカツ」は、銘柄豚の表記がありません。しかし、オリジナル惣菜では、スーパー界イチとも言われる『サミット』です。美味しくないはずがない、とも思います。

極めてシンプルな「ロースカツ」ですが、この安定した味が美味!

 さっそくいただいてみると、衣のサクサク感が冷めてもしっかり残っており、やや厚切りカットの豚肉との相性も抜群。豚肉は「肉感」が強めなので、この辺は好みは分かれるかもしれませんが、筆者的にはむしろアリ。シンプルかつ安定感のある『サミット』らしい「ロースカツ」で、老若男女誰からも愛される優等生的な味わいだと思いました。

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サミット

https://www.summitstore.co.jp/

熟成三元豚の厚切りカットが魅力!『ピーコック(イオン)』の「ロースカツ」

『ピーコック(イオン)』の「熟成三元豚使用のロースとんかつ」430円。重量は約192グラムでした

 最後は『ピーコック』の「ロースカツ」をいただきます。『ピーコック』ブランドは今から約11年前の2013年3月に、イオン系列となり、惣菜類も『イオンマーケット』のものを採用しているようです。

『ピーコック』で販売されているのは「熟成三元豚使用のロースとんかつ」という商品で、約192グラムで430円(税込)。前述の『サミット』とほぼ同じ設定になっており、やはりスーパー界のブレなき優等生『サミット』の惣菜を参考にして開発されているのではないかとも思いました。

厚切りカットで食感も楽しい「ロースカツ」です

 さて、肝心の味ですが、『ピーコック』もまた熟成三元豚を採用しており、厚切りカットで実にボリューミー。良い意味での荒々しい肉感を感じる味でした。衣は少ししんなりしており、この辺の評価は人によって異なることでしょう。「今日はガッツリとんかつ食べるぞ!」というときにオススメしたいですが、そのままいただく場合は、電子レンジの「カリッとフライ機能」などで、サクサク感を復活させるほうが良いようにも思いました。

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ピーコック

https://aeonmarket.co.jp/

まとめ:主要スーパー7店の「ロースカツ」のうち、ダントツで美味しかったのは『西友』だった! だが、味わい・コスパ双方を実現した『東急ストア』も捨てがたい

スーパーの「ロースカツ」とカレールーがあれば、「カツカレー」も簡単に!

 ここまで主要スーパー7チェーンの「ロースカツ」を食べ比べましたが、一口に「ロースカツ」と言えど、よく見てみると、各社ともに大きな違いがあることがわかりました。

 そんな中でダントツ一番で美味しかったのはやはり『西友』の「熟成うまリッチポークのロースカツ」。この完成度の高さは実に素晴らしく、下手なとんかつチェーンにも負けない味わいだと思いました。言い換えれば、これだけ美味しい「ロースカツ」を実現しているわけですから『西友』の惣菜は全般的に、相当美味しいのではないかという希望的観測も抱きました。

 一番は『西友』でしたが『東急ストア』の「四元豚ロースとんかつ」も約208グラムで322円(税込)、しかも四元豚を使っているなど総合的な部分では、実に素晴らしかったです。味わい・コスパ双方を実現している点で、かなり好印象でした。

さらに食パンに挟めば簡単に「カツサンド」もできます!

 冒頭でも触れた通り、スーパーの「ロースカツ」はそのままで美味しくいただける一方、二次調理にも使える汎用性の高い惣菜です。ぜひあなた好みの「ロースカツ」をゲットして、美味しく食べてみてくださいね。

(取材・文◎松田義人)