阪神JFを勝利するダイワメジャー産駒の“共通点” アスコリピチェーノも該当する“理想的配合”
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る阪神ジュベナイルフィリーズ
【Pick Up】アスコリピチェーノ:1着
ダイワメジャー産駒は阪神JFに強く、これで通算3勝目。現在のコース形態となった2006年以降、ディープインパクトと並んで最多の優勝回数です。ダイワメジャー産駒は総じて完成が早く、スピードにも恵まれています。したがって、2歳から3歳春にかけてのマイル重賞に強く、阪神JFはそうした長所が最大限に活きる舞台といえるでしょう。
勝った3頭、メジャーエンブレム、レシステンシア、アスコリピチェーノは、「母方にサドラーズウェルズとダンジグを併せ持つ」という配合的共通点があります。父だけでなく全体の配合構成もよく似ているというわけです。
サドラーズウェルズはヨーロッパの重厚なスタミナ血統で、英愛チャンピオンサイアーの回数は史上最多の14回を誇り、ガリレオの父、フランケルの2代父にあたる名血です。日本向きの素軽さに欠ける重厚な血統だけに、どの種牡馬と合わせても上手く行くわけではありません。ダイワメジャーはスピード能力に秀でたマイラー血統なので、サドラーズウェルズの重さが足かせにならず、むしろ底力に転化して大レース向きに仕上がるという理想的な構造となります。
ちなみに、ダイワメジャー産駒は朝日杯FSをアドマイヤマーズで勝っています。同馬もやはりサドラーズウェルズを持つ配合構成です。
◆血統で振り返る中日新聞杯
【Pick Up】ヤマニンサルバム:1着
イスラボニータ産駒のJRA重賞勝利は、昨年春にファルコンSを勝ったプルパレイ以来2頭目。どちらも中京競馬場が舞台であるように、中京芝の適性が高く、なかでも中京芝2000mは連対率41.7%(12戦5連対)と優れています。
母ヤマニンエマイユは、京成杯AHで4着となるなど重賞戦線で活躍しました。ヤマニンサルバムのほかにヤマニンペダラーダやヤマニンマンドールを産んでおり、繁殖牝馬としても実績を残しています。ヤマニンエマイユの配合構成は、2代前にダンシングブレーヴとトニービンを併せ持つので、イクイノックスの母シャトーブランシュとよく似ています。
2019年にキタサンブラック(イクイノックスの父)と交配したものの、残念ながら産駒は出来ませんでした。生まれていればイクイノックスと配合的によく似た馬が誕生していたことになります。