メンバーも思わず声をかけた「大抜擢」! 花村想太さん、セントチヒロ・チッチさんインタビュー。映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』

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夢のようなチョコレートがたくさん出てくる、だれもが夢中になれる映画が12月8日から始まりました。『チャーリーとチョコレート工場』で有名な工場長ウィリー・ウォンカの〈夢のはじまり〉を描いた、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』です。
その完全吹替版で声優を初挑戦、劇中では素敵な歌声も聞かせてくれるのは、Da-iCE 花村想太さんとセントチヒロ・チッチさん。映画のお話からハマっている食べ物まで、たっぷりとお話を聞きました!

――映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』で声優に初挑戦した花村さんとチッチさん。完全吹替版にキャスティングされたときの心境を教えてください。



花村「僕はここ4、5年ずっと『声優のお仕事に挑戦させていただきたいです』といろんなところで言っていて。しかも、映画『チャーリーとチョコレート工場』は自分が10代のころに見ていたので、その作品の一部になれること、そこで声優をやりたいという夢がかなうと同時に、歌声も作品に乗せていただけることが、すごく幸せだなと思いました」


チッチ「私も小さいときから何かになりきって声に出して絵本を読んだりすることが大好きだったので、声のお仕事をするのはすごく幸せで。BiSHとして活動してきた9年で培った、心をつかんで何かを伝える気持ちとか、これまでで得たものをこの作品に生かせたらいいなと思いました」

――最終決定までの間には、本国でのボイステストもあったそうですね。

花村「そうなんです。なので、資料をいただいてからずっと自分でボイスメモをとったりしながら練習したのですが、いざボイステスト本番を迎えるとびっくりするくらい棒読みだったんですよね(苦笑)。そのあとに歌のテストもやらせていただき、こちらはすごく伸びやかに気持ちよく歌えたのですが、口の動きと空気感を合わせていかないといけないので、花村想太としてではなく、ウォンカの歌として歌うことを意識しようと思いました」

――チッチさんはボイステストを受けたときの手ごたえをどう感じましたか?

チッチ「緊張はしていたんですけど、うれしかったのでルンルンで行きました(笑)。テストを受けているときも、自分が演じるヌードルという女の子の人生を想像しながら声を吹き込んでいくのが楽しくて。ただ、帰り道で『落ちたらどうしよう』という不安が押し寄せてきて……。結果を聞くまでドキドキしていました(笑)」

――花村さんが「声優に挑戦したい」と思ったのは、何かきっかけがあったのですか? また、挑戦するならこういう役がいいなどイメージするものもありましたか?

花村「やっぱり究極の声のお仕事だなと思うんですよね。もちろん自分がふだんやっている歌も声で勝負しているんですけど、声ですべてを表現するという意味では声優に勝るものはないというか。それで挑戦してみたいと思って。でも、こういうお仕事をしたいっていうのはなくて。お仕事をいただくことがあったら、目の前にあるそのお仕事を一生懸命やるだけだと思っていました。そういうなかで、今回ウォンカという役をやれたっていうのは一つの運命だと思うので、とにかくうれしい気持ちと責任感とでいっぱいです」

――チッチさんも声優に興味をお持ちだったんですか?

チッチ「『声のお仕事がしたい』というのは私もずっと言ってました。というのも、BiSHの活動をしていくなかで、とてもありがたいことに〈声〉っていう生まれ持ったものをほめていただく機会があって、すごくうれしかったんです。今までは歌うことしかできなかったけれど、何か違う形で、自分がその世界に飛び込んでいけるっていうことをしたいと考えたとき、私はアニメが大好きだし、映画も大好きなので、声優のお仕事をしてみたいなって思いました」

――今回のお仕事について、グループのメンバーからはどんな反応がありましたか?

花村「びっくりしてましたね。特に和田颯は、はじめて見た映画が『チャーリーとチョコレート工場』だったらしくて、ボイステストの時点でうらやましい! って言ってました(笑)」


――チッチさんはBiSHのメンバーのみなさんと話す機会はありましたか?

チッチ「たまたまみんなで集まる日があって。久しぶりだったのでそれぞれの近況報告をしあうなかで、今回の作品のことと、ボイステストを受けたんだよねって話をしたら、みんなびっくりしてました。でも、よかったね〜! って言ってくれたのがすごく印象的で。BiSHとして活動していたころは、あんまり干渉しあわなかったので。どちらかというと、解散してからのほうが、お互いがお互いに対して興味を持ち合ってる感じなんですよね」

花村「わかります。メンバーのソロの仕事にはあんまり口出ししないですよね? というか、スケジュールを見て初めて、メンバーが今どんな仕事をやってるのかを知る、みたいな」

チッチ「そうなんですよね。だから、喜んでくれたのが意外だったし、すごくうれしくて」

花村「うちも(言葉をかけられるのは)けっこう珍しいことでしたね」


――今作で花村さんは主人公のウィリー・ウォンカ役、チッチさんはウォンカの相棒となる少女・ヌードル役の声を担当。ご自身が演じるキャラクターの印象を教えてください。

花村「僕の中では、『チャーリーとチョコレート工場』でのウォンカが印象に残っていたのですが、今回の作品を見て、あらためてティモシー(・シャラメ)演じるウォンカの純粋さというか、若いころはこんなにやさしくてまじめで純粋だったんだなと思いました。悪意をまったく感じさせない純粋さっていうところが今作のウォンカのむずかしさであり、魅力でもあったので、そこを大切に表現しました」

チッチ「ヌードルは一見小さな少女に見えるんですけど、純粋で無邪気な部分と大人びた力強さという二面性があると思っていて。そういう部分が好きだなと感じたので、自分でもそんなふうに表現できたらいいなと思っていました」

――初のアフレコに挑戦してみて、いかがでしたか?

花村「アフレコはトータルで5日ほど行ったんですけど、初日は右も左もわからず、苦労したなという印象がありました。マイクの前でセリフを言って気づくことがたくさんあって、2回目、3回目と重ねていくごとにウォンカのキャラを確立していき、作品が進むとともに自分も成長しているなと思いました」

チッチ「私は3日だったんですけど、花村さんはやっぱり主人公なのですごく大変でしたよね!?」

花村「いやいやいや。でも、セリフの量は多かったですね」

――特に苦戦したシーンや印象に残っているセリフはありますか?

チッチ「大変だったのは、私はもともと陽キャじゃないので『フゥー!』とか言うところがいちばん苦戦しました。スタッフさんから『もうちょっと明るくいきましょうか』って言われたりして」

花村「お酒を飲んでも陽キャじゃないんですか?」

チッチ「お酒飲んだほうが陽キャです」

花村「じゃあ、お酒飲んだらよかったかも!?」

チッチ「確かに!  『ィヤッホー!』とか言えないから、持っていけばよかったかもですね(笑)」

――花村さんはどうでしたか?

花村「僕は、悲しいシーンで気持ちが悲しくなりすぎてしまって。悲しいシーンだから悲しみを全面に出したら、『そこまで暗くならないでいいよ』と言われて、そのニュアンスをつかむのがむずかしかったです。あとは、やっぱり発音が。これまで標準語でのお芝居もたくさんしてるんですけど、たとえば〈アブ(虻)〉は(標準語だと)〈ア〉にアクセントを置くんですよね。でも、歌の中だと(実際に歌いながら)小さなアブが飛んでいる〜って、アクセントが平坦なんです。アフレコしていると、その違いがこんがらがっちゃったりして。あと、役名のスクラビットさんも、本当は〈ス〉にアクセントを置くところを〈ビ〉に置いちゃって、関西弁ぽくなっちゃったり」

チッチ「スクラビットさんは私も何回かそう言っちゃうときがありました」

花村「ですよね!? ちょっとしたことなんですけど……」

チッチ「でも、それが大事だし、大変なところでもありましたね」

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――また、花村さんは今作の主題歌「ピュア・イマジネーション」の歌唱も担当。楽曲を聴いた印象は?

花村「曲の始まりが、すごくウィスパーな歌声でスタートするんですよ。ウォンカを演じるティモシーさんが本当に素敵で、表情と声のニュアンスと口の形が印象的だったので、そのあたりを再現できるようにしたいな、と。ただ、今回は日本語で歌うため、母音を意識してきれいに歌うことが重要だなと思いつつ、まずは幻想的かつ音楽の中に哀愁を感じる『ピュア・イマジネーション』という楽曲にひたることを大切にしながら歌いました」

――チッチさんは花村さんが歌う「ピュア・イマジネーション」を聴いてどう感じましたか?

チッチ「吹き替えのとき、花村さんの声を聴きながらだったのですが、心に話しかけるように歌ってらっしゃったので、ちょっと泣いちゃったんですよ。『このあとしゃべるんだから泣いちゃダメだ』と思って、なんとか涙はこらえたんですけど」

――それくらい心に響く歌声だった、と。

チッチ「最初、話しかけるようにスーッと入ってきたあとに、ワーッてなっていくの、わかりますか?(笑) 世界が一変したようにきらめく瞬間が、音楽の中にも表れている気がするというか。私もずっと夢をみてきた少女で、夢みることをあきらめずに行った先に、世界を変えられる瞬間が来るなと思うことが多かったので、この曲の歌詞も多くの人に届くんじゃないかなと思います。花村さんの歌声も重なって、〈人生の糧〉になるような楽曲です」
 
――劇中ではチッチさんも歌声を披露しています。どのようなことを心がけて歌いましたか?

チッチ「アーティストとしてではなく、役として歌うにあたり、私自身クセがある歌い方をするときがあるので、そのクセをなくしてどれだけまっすぐ届けられるかを大事にしていました。また、歌っているときと話しているときの言葉の境目がないように歌いたいなと思い、話してるなかで歌が始まるというか、音楽の世界で話すイメージで歌いました」

――このほかの楽曲も含め本編には13もの楽曲が登場し、楽しませてくれますね。

花村「ミュージカル映画ではないのですが、音楽によってこの作品をより持ち上げてもらっているというか。大事なところで流れる音楽がすごく素敵で、そういった歌を自分が歌えるのが幸せだなと思いました。まさに〈ファンタジーの魔法〉を作り上げているような音楽なので、むちゃくちゃ楽しいと思います」

チッチ「音楽って映画を見たあともずっと生きつづけてて。私も小さいときに見た映画で、この曲好き! と思った音楽は、大人になっても忘れられなかったりします。この映画に出てくる楽曲は本当に素敵で、口ずさみたくなるものもたくさんあります。それに、登場人物のキャラクターが、おもしろい人、かわいい人、楽しい人、カッコいい人と、いろんな人がいるなかで、それぞれのキャラクターが立っている歌だったりするので、ぜひ楽しみにしてほしいと思います」

――さらに、なんといっても劇中に登場するウォンカが作るチョコレートのおいしそうなこと!

花村「本当においしそうで、吹き替えをしてるときから食べたくなりました」

――そんなチョコレートをきっかけに、「オレンジページnet」らしく食の話題にも触れさせていただきたいのですが……。

チッチ「花村さん、さっきちょうどチョコレート作ってほしいって言ってたじゃないですか。オレンジページさんで再現してもらうとか」

花村「ぜひ! ウォンカが作った空を飛べるチョコレートみたく、中にちっちゃなアブを入れてもらって」

チッチ「それじゃなくて、普通においしいチョコレートがいいです(笑)」



――アブは入ってないほうがいいですよね(笑)。チョコレートじゃなくていいのですが、お二人がこれまで食べたもののなかで、ウォンカが作るチョコレートのように忘れられないくらい記憶に残っている食べ物があったら教えてください。

花村「なんだろう……いっぱいありますね。いっぱいあるんですけど、そのなかで、どこのものかは忘れちゃったんですけど、すっごいおいしいチョコレートがあって」

チッチ「えっ! いちばん大事なところ!(笑)」

花村「どこのだったかなぁ」

――せめてヒントをください(笑)。

花村「円盤形で、すごく薄い、パリッパリのチョコレート。百貨店とかで売ってるんですけど。それはいつも冷蔵庫に置いてあって、なくなったら買います。でも、名前がわからない……(苦笑)」

――常備するくらい好きなチョコレートなんですね。チッチさんは何かありますか?

チッチ「常備してるものでいうと、鳩サブレー。これは常に家にあります」 

花村「え〜、珍しめ!」

チッチ「まわりの人からもよく『そこ!?』って言われるくらい珍しめなんですけど(笑)、差し入れとかお土産とかでいちばん気持ちがアガるのが鳩サブレーなんですよ。もう、大好きで。だから、自分で44枚入りの缶を買って常備してるんです」

花村「バタークッキーみたいな感じですよね?」

チッチ「そうです。世の中にふたつとない味がします。似たような味を探してみるんですけど、同じ味がないんですよ」

花村「言われてみれば確かに。ビスケットとクッキーの間のような……」

チッチ「そうなんです。絶妙にしっとりとパサパサの間なんですよ。だから、鳩サブレーしかないんです」

――花村さんはチョコレート、チッチさんは鳩サブレーを常備されてるんですね。

花村「チョコと鳩サブレー、いっしょに食べてもおいしそう」

チッチ「上にのせて」

花村「チョコ鳩サブレーですね(笑)」

――おいしいものは人を幸せな気分にしてくれますよね。そういう意味でも、今作『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は見る人に幸せを届ける作品だと思います。お二人から、ぜひ見どころを教えていただけますか。

花村「ストレートなんですけど、本当におもしろいです! もちろん練習のために何度も見たのですが、そのたびに心が動かされるというか。最初から最後まで夢がたくさん詰まっていて、大人になった今でも夢みることって大事なんだな、一歩踏み出すことが大事なんだなと思える作品です。小さい子はもちろん、おじいちゃん、おばあちゃんも夢をみたくなる作品なので、字幕や吹き替えで1回と言わず、2回、3回と、ぜひ見てほしいなと思います」

チッチ「視覚と聴覚だけじゃなくて、〈味覚と嗅覚〉もそそられる映画です。『ウォンカとチョコレート工場』の世界に入り込んで、私もその世界にいるんじゃないかって思うワクワク感と、テスト版を見て私も涙を流してしまいました。いろいろな感情をくれる作品で、家族はもちろん、恋人や友達と観てもいいのかなって思いますし、絆の見える物語なので、年齢関係なくたくさんの人に見てもらえたらうれしいです」



――初めての声優挑戦で大役を果たしたお二人。最後に、今後やってみたい役など新たな目標や夢があったら教えてください。

花村「アニメーション作品をやってみたいですね。アニメーションって、特に新作とかだと、演者が自ら作り上げる部分も大きいと思うんですよ。もちろん今回のような実写の吹き替えや海外作品も最高ですが、日本の新作アニメとかもやってみたいなって思いました」

チッチ「私も、昔からアニメやゲームが大好きだったので、二次元のキャラクターに自分の声が乗るっていうのは夢ですね。また、今回の『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』で、ヌードルという役を通して歌うことも楽しいんだってことを知ったので、だれかになりきりながら歌うっていうのもまたやってみたいと思います」


花村想太
「Da-iCE」のボーカルのほか、「Natural Lag」「UPSTART」のメンバーとしても活動。2020年よりミュージカルへも活動の場を広げ、2022年には第77回文化庁芸術祭新人賞を受賞。


セントチヒロ・チッチ
楽器を持たないパンクバンド「BiSH」のメンバーとして2023年6月まで活動。現在は、ソロプロジェクト「CENT」としての歌手活動や、「加藤千尋」名義で俳優活動も開始。

ウォンカとチョコレート工場のはじまり
>>公式サイトはこちら
2023年12月8日(金)より公開

監督・脚本:ポール・キング
製作:デイビッド・ヘイマン
原作:ロアルド・ダール
出演:ティモシー・シャラメ、ヒュー・グラント、オリヴィア・コールマン、サリー・ホーキンス、ローワン・アトキンソン 
完全吹替版 声優:花村想太(Da-iCE) セントチヒロ・チッチ 松平健 長田庄平(チョコレートプラネット)松尾駿(チョコレートプラネット)
配給:ワーナー・ブラザース映画