若くても“自分事”として意識を 「乳がん」予防&早期発見のために毎日できること【医師監修】
日本では、男性の3人に一人、女性においても2人に一人が一生のうちにがんと診断されると推定されているそうです。中でも近年増加の一途をたどっているのが「乳がん」。日常生活のちょっとした心がけで、乳がんを予防&早期発見できることも。日本人女性が最もかかりやすいと言われている乳がんの正しい知識と、毎日の中で実践できるチェックポイントについて、八王子クリニック新町の院長、井藤尚武先生に聞きました。
【漫画】ある日“しこり”に気づいて…“乳がん”のその後がわかるエッセイ
■若い世代の乳がんが増加傾向に、その背景は?
近年、30〜50代女性の乳がんが増えていると聞きます。特に若い人の乳がんが増加している背景に「女性の社会進出に伴う生活習慣の変化」が考えられると井藤先生は言います。
「乳がんは女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが知られています。乳腺がエストロゲンにさらされている時期が長くなったことが要因として考えられています。体内のエストロゲンが分泌される期間というのは月経がある期間ということです」(井藤先生/以下同)
さらに、(1)初潮が早い、(2)出産経験がない、(3)授乳経験がない、(4)初産年齢が高齢、(5)閉経年齢が高齢、こういった状況はエストロゲンにさらされている期間を多くしていると言えるそうです。これらが現代女性が置かれている状況と、近しいものがあるようです。
■乳がん検査で調べられることとは?
乳がん検診には以下のような種類があります。メリットや注意点も合わせて、井藤先生が解説してくれました。
(1)診察(視診・触診)
病気があるかどうかを直接見て、触って確認します。国の検診や職域検診で実施されています。これは自身でもセルフチェックとして行うことができます。
(2)マンモグラフィ
X線を利用して、触ってもわからないくらい小さな段階の腫瘍を発見することができます。国の検診や職域検診で実施されています。デンスブレストと呼ばれる乳腺が豊富な若い女性では、見つけることが難しくなってしまう特徴があります。
検査時の痛みを感じることもあります。放射線被爆がありますので妊婦さんは受けられません。
(3)乳腺超音波検査(エコー)
超音波を利用して、触診だけでは判別しづらい病変を診断することができます。痛みもなく被曝もありません。
ただし、しこりを形成しないようながんを見つけるのは難しいという特徴があります。
■痛いのは嫌…15分うつぶせになっているだけの最新乳がん検査
最近では「乳房非造影MRI検査」という方法も話題。「乳がん検査は痛い!」というイメージで敬遠していた多くの女性が受診しているそうです。
「無痛MRI乳がん検査(痛くない乳がん検査)として、2018年より検査が開始された新しい乳がん検査です。DWIBS法という撮影方法を利用しており、放射線被曝がないこと、造影剤が不要なこと、デンスブレストに影響されないこと、着衣のまま受けられることがメリットです」
検査としては、15分うつ伏せになっているだけ。井藤先生の病院で受診が可能。乳がんは気になるけれど検査が心配…という人は一度相談してみては。
■早期の自覚症状は“ほぼない”、セルフチェックと定期的な検診が重要に
「現在、乳がんの明確な予防方法というものはありません」と井藤先生は言います。しかし、専門誌などで関係が高いとあげられるものに『アルコール』『身体活動(運動)』があるそうです。
「肥満に関しても閉経前は予防に働き、閉経後はリスクになることがわかっています。若年での過剰なダイエットや、閉経後の肥満には注意が必要でしょう」
乳がんは早期の段階での自覚症状は、“ほぼない”そう。そのため検診が必要になります。それを知った上で、井藤先生は4項目のセルフチェックポイントをあげてくれました。
(1)乳房の中に硬くて動かないしこりがないか
(2)乳房が変形しているところ(ひきつれ、くぼみ、左右差)はないか
(3)血液が混じった様な茶色い分泌物が出ていないか
(4)乳頭や乳輪にただれているところはないか
これらがあるような場合は速やかに医療機関の受診をしてください。
より早期に見つけるコツについて井藤先生は「『あなたのいつも』を知っていることです」と話します。
「これは他の病気でもそうですが、『急に〇〇ができた』とおっしゃって外来に来る方がいます。しかし、急に症状が現れるタイプの病気ではありません。このように普段から関心がないと前からそうであっても気づくことができないものなのです。セルフチェックについてはインターネットを見れば、さまざまな方法が見つかるでしょう。何も考えずにそれらを実行するのではなく、身体に関心を持って行うことで『あなたのいつも』を知りましょう」
●記事監修/井藤尚武先生
医療法人社団斗南堂八王子クリニック新町院長。日本外科学会専門医。2013年、愛知医科大学医学部卒業。東京女子医科大学東医療センター、中通総合病院、流山中央病院、Weill Cornell Medicine(米国留学)を経て2021年から八王子クリニック新町の院長となる。消化器の外来診療、肛門病の日帰り手術、消化器内視鏡をはじめ、健診や人間ドックなどの予防医学、在宅医療に従事している。また、AIを得意としComputer visonによる転倒検知システム、院内の予約システム、人間ドックのコメント作成システムなどを現場の視点で自らが作成している。専門分野は一般外科、消化器全般、肛門病、AI関連業務。
■若い世代の乳がんが増加傾向に、その背景は?
近年、30〜50代女性の乳がんが増えていると聞きます。特に若い人の乳がんが増加している背景に「女性の社会進出に伴う生活習慣の変化」が考えられると井藤先生は言います。
「乳がんは女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが知られています。乳腺がエストロゲンにさらされている時期が長くなったことが要因として考えられています。体内のエストロゲンが分泌される期間というのは月経がある期間ということです」(井藤先生/以下同)
さらに、(1)初潮が早い、(2)出産経験がない、(3)授乳経験がない、(4)初産年齢が高齢、(5)閉経年齢が高齢、こういった状況はエストロゲンにさらされている期間を多くしていると言えるそうです。これらが現代女性が置かれている状況と、近しいものがあるようです。
■乳がん検査で調べられることとは?
乳がん検診には以下のような種類があります。メリットや注意点も合わせて、井藤先生が解説してくれました。
(1)診察(視診・触診)
病気があるかどうかを直接見て、触って確認します。国の検診や職域検診で実施されています。これは自身でもセルフチェックとして行うことができます。
(2)マンモグラフィ
X線を利用して、触ってもわからないくらい小さな段階の腫瘍を発見することができます。国の検診や職域検診で実施されています。デンスブレストと呼ばれる乳腺が豊富な若い女性では、見つけることが難しくなってしまう特徴があります。
検査時の痛みを感じることもあります。放射線被爆がありますので妊婦さんは受けられません。
(3)乳腺超音波検査(エコー)
超音波を利用して、触診だけでは判別しづらい病変を診断することができます。痛みもなく被曝もありません。
ただし、しこりを形成しないようながんを見つけるのは難しいという特徴があります。
■痛いのは嫌…15分うつぶせになっているだけの最新乳がん検査
最近では「乳房非造影MRI検査」という方法も話題。「乳がん検査は痛い!」というイメージで敬遠していた多くの女性が受診しているそうです。
「無痛MRI乳がん検査(痛くない乳がん検査)として、2018年より検査が開始された新しい乳がん検査です。DWIBS法という撮影方法を利用しており、放射線被曝がないこと、造影剤が不要なこと、デンスブレストに影響されないこと、着衣のまま受けられることがメリットです」
検査としては、15分うつ伏せになっているだけ。井藤先生の病院で受診が可能。乳がんは気になるけれど検査が心配…という人は一度相談してみては。
■早期の自覚症状は“ほぼない”、セルフチェックと定期的な検診が重要に
「現在、乳がんの明確な予防方法というものはありません」と井藤先生は言います。しかし、専門誌などで関係が高いとあげられるものに『アルコール』『身体活動(運動)』があるそうです。
「肥満に関しても閉経前は予防に働き、閉経後はリスクになることがわかっています。若年での過剰なダイエットや、閉経後の肥満には注意が必要でしょう」
乳がんは早期の段階での自覚症状は、“ほぼない”そう。そのため検診が必要になります。それを知った上で、井藤先生は4項目のセルフチェックポイントをあげてくれました。
(1)乳房の中に硬くて動かないしこりがないか
(2)乳房が変形しているところ(ひきつれ、くぼみ、左右差)はないか
(3)血液が混じった様な茶色い分泌物が出ていないか
(4)乳頭や乳輪にただれているところはないか
これらがあるような場合は速やかに医療機関の受診をしてください。
より早期に見つけるコツについて井藤先生は「『あなたのいつも』を知っていることです」と話します。
「これは他の病気でもそうですが、『急に〇〇ができた』とおっしゃって外来に来る方がいます。しかし、急に症状が現れるタイプの病気ではありません。このように普段から関心がないと前からそうであっても気づくことができないものなのです。セルフチェックについてはインターネットを見れば、さまざまな方法が見つかるでしょう。何も考えずにそれらを実行するのではなく、身体に関心を持って行うことで『あなたのいつも』を知りましょう」
●記事監修/井藤尚武先生
医療法人社団斗南堂八王子クリニック新町院長。日本外科学会専門医。2013年、愛知医科大学医学部卒業。東京女子医科大学東医療センター、中通総合病院、流山中央病院、Weill Cornell Medicine(米国留学)を経て2021年から八王子クリニック新町の院長となる。消化器の外来診療、肛門病の日帰り手術、消化器内視鏡をはじめ、健診や人間ドックなどの予防医学、在宅医療に従事している。また、AIを得意としComputer visonによる転倒検知システム、院内の予約システム、人間ドックのコメント作成システムなどを現場の視点で自らが作成している。専門分野は一般外科、消化器全般、肛門病、AI関連業務。