フランスの海外県であるレユニオン島は海底火山の噴火によって誕生しました。小さい島には珍しく標高3071メートルのピトン・デ・ネージュや標高2190メートルのピトン・マイドなど高い山があり、その尖峰群、圏谷郡および絶壁群などが2010年に世界自然遺産に登録されています。これまで犯罪多発都市や沈みかけの絶海の孤島、人よりホッキョクグマが多い世界最北の町などに弾丸現地取材してきた「ドメイン島巡り」の第39回目となる今回は、歴史的に多民族だった経緯から生まれたクレオール文化や、月面を思わせる景色などレユニオン島の魅力をいろいろ探ってきました。

ドメイン島巡り - 世界のドメイン1,000種類以上を取り扱うインターリンクが、「.cc」「.tv」「.sx」等、南太平洋やカリブ海などの「島のドメイン」約50種類に焦点をあて、実際にその島々に行き、島の魅力をレポートします。

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◆レユニオン島はどこにあるのか?

広大なインド洋に浮かぶレユニオン島はマダガスカル島から約800km東、モーリシャスから約175km西の洋上に位置する火山島。面積は2512平方kmで、人口は2020年時点で85万9959人です。県都はサン・ドニ(Saint-Denis)。公用語はフランス語ですが、フランス語から派生したレユニオン・クレオール語も広く使われています。日本との時差はマイナス5時間。使用されている通貨はユーロです。

目次

◆多民族が暮らすレユニオン島の県都「サン・ドニ」を散策

◆「ONE PIECE」が大人気なレユニオン島でアニメショップをはしご

◆偽札使用疑惑で取り調べを受ける

◆しゃぶしゃぶと島巡り史上初の回転寿司を発見

◆7時間かけて島内を一周してみた

◆街で見かけた「.re」ドメイン

◆現地でのSIM購入&速度調査

◆多民族が暮らすレユニオン島の県都「サン・ドニ」を散策

日本からレユニオン島へ行くルートは、バンコク、パリ、モーリシャス経由などがありますが、今回はその中でも航空料金が安く所要時間の短いバンコク経由で行くことにしました。羽田空港から約6時間半でバンコクに到着。レユニオン島へ向かう飛行機に乗り換えます。



バンコクからレユニオン島へはエール・オーストラル航空から週2回の直行便が出ています。1974年に創立されたエール・オーストラル航空はフランス領レユニオンを本拠地とした航空会社で、東アフリカ、インド洋周辺地域に不定期便の運航を行うほか、2003年からはパリへの直行便を運航しています。



インド洋を抜けてアジアからアフリカへと飛んでいきます。天候の影響か機体が激しく揺れました。



約7時間半のフライトを経て、ローラン・ギャロス空港に到着しました。空港名はレユニオン島出身の飛行家ローラン・ギャロスから取られています。レユニオン島にはヨーロッパ人、アフリカ人、マダガスカル人、インド人、中国人などさまざまな人が住んでいるので、ウェルカムメッセージも多言語で書かれていましたが、残念ながら日本語はなし。



空港内は白人が6割、黒人が3割、アジア系の人が1割ほど。多民族で独特な雰囲気があります。



空港を出ると、「くまモン」っぽいゆるキャラがお出迎えしてくれました。



山岳ウルトラマラソンレース「Grand Raid Réunion(グラン・レイド・レユニオン)」に海外から参加する人向けのアナウンス。



このレースは毎年10月にレユニオン島で行われており、まさに取材に訪れた日が開催当日でした。



空港で待機しているタクシーは少なく、Uberもないのでその場で待機。しばらく待つとタクシーがやって来たので、バカンス目的だと思われる白人男性と相乗りし、サン・ドニ中心部へ向かいました。



サン・ドニは県都だけあって交通量が多く、ほとんどの車が時速90km以上のスピードで走っていました。

レユニオンではほとんどの車が90km以上のスピードで走っていた - YouTube

空港からサン・ドニ中心部までのタクシー料金は35ユーロ(約5598円)でした。まずは宿泊先の「Dina Morgabine Saint Denis」にチェックイン。部屋からはインド洋が一望できます。島巡りの宿泊先はお湯が出ないこともありますが、ちゃんとお湯も出ました。



別日に泊まったホテル「Hotel Bellepierre」もまさにリゾートという感じ。



他のフランス系の島と同様、客室内にヘアドライヤーはないので、持参するかフロントで借りる必要があります。国やホテルによっては貸し出しがないこともあるので、海外の電圧に対応したドライヤーを持参するのがオススメです。



サン・ドニ散策を開始。スーパーマーケット「AA MARKET Distribution」を発見したので中に入ってみます。



店内には多種多様なスパイスの香りが漂っていて「さすがインド洋に浮かぶ島だなぁ」という感じ。



品ぞろえが豊富で、本格的な中華鍋もありました。



チャイナタウンのような商店街のアンブレラスカイ。アンブレラスカイはポルトガルのアゲダで毎年夏に開催される芸術祭のイベントが発祥で、日差しを避ける目的だったと言われています。



ここは、サン・ドニで人気の市場「グランマルシェ(Grand Market)」。



木製の手工芸品、編みかご、Tシャツなどがところ狭しと並んでいます。海外でよく見かける押しの強い店員はいないので、のんびりと買い物を楽しめました。



かつてブルボン島と呼ばれていたレユニオン島で丁寧に精製されたブルボンバニラは、バニラの最高峰だと言われています。「ルマンド」や「アルフォート」が人気の大手お菓子メーカー「株式会社ブルボン」の名前の由来なのかどうかは定かではありません。



◆「ONE PIECE」が大人気なレユニオン島でアニメショップをはしご

看板の右の方に「鬼滅の刃」と書かれたお店を発見。





店の敷地に入ると、空港のウェルカムボードにはなかった日本語の「いらっしゃいませ」と、富士山と思われるイラストが描かれた案内がありました。



店内は日本のアニメ関連グッズであふれています。



お店の名前は「KOONAI Boutique Saint-Denis」。レユニオン島で生まれ育った中華系の店員のパトリックさんに日本から来たことを伝えると、購入しようとしていた「NARUTO-ナルト-」のキーホルダーをプレゼントしてくれました。



パトリックさんによると、レユニオン島にも「スターク」という有名な漫画家がいるそうです。調べてみたところ、レユニオンの漫画家としてインタビューを受けるスターク(Staark)さんの動画を発見。

Staark : mangaka made in Réunion - YouTube

というわけで、もらったキーホルダーを持って散策を再開します。マンガ喫茶の看板を発見しましたが、ここは残念ながら閉まっていました。



再びアニメショップらしき店を発見したので入ってみます。



ここはマンガを中心に販売するアニメショップ「Des Bulles dans l'Océan」。



「日本から来た」と伝えると、店員のルナスさんが笑顔で迎えてくれました。彼は「DRAGON BALL(ドラゴンボール)」が一番のお気に入りだそうですが、レユニオン島で最も人気があるのは「ONE PIECE(ワンピース)」で、最近よく売れているのは「SPY×FAMILY」だそうです。



毎年6月にはアニメイベントが開催され、取材前日にも「OTAKU City Festival 2023」というイベントがあった模様。



店を出て歩いていると、LSA作の「モンキー・D・ルフィ」の壁画を見つけました。日本のアニメが世界中で愛されていることを実感します。



バス停で、空手を習っている少女に出会いました。日本から1万km以上離れた小さな島に普及している空手もやっぱりすごい。



商店街で写真を撮っていると、SUZUKIのバイクに乗ったパトロール中の警察官が快く撮影に応じてくれました。パトロールのおかげか街の治安はとても良かったです。



◆偽札使用疑惑で取り調べを受ける

レンタカーを借りるためにバスで空港へ移動しました。運転がかなり荒く怖かったですが、タクシーだと35ユーロ(約5598円)のところ、バスだと5ユーロ(約795円)なので圧倒的に安いです。



空港に着いて歩いていると、後ろから知らない若い男性が怒鳴りながら追いかけてきます。なにがなんだかわからないのでGoogle翻訳で確認したところ、この人は先ほど乗ったバスの運転手で、「お前が使ったのは偽札だ!警察に行くぞ!」と言っていました。もちろん使ったのは偽札ではないと思うのですが、とりあえずおとなしくついていくことに。



空港内の警察署に到着すると、4、5人の警察官が取っ替え引っ替えお札を眺めて確認しています。バスの運転手は警察官に向かって何やら怒鳴り続けています。すぐに判断がつかないようで、一人の警察官がお札を持って別の部屋へ確認に行きました。



30分以上かけて行われた確認の結果、偽札ではなかったことが判明。無罪放免となりました。バスの運転手はフランス語で「エクスキュゼモワ(ごめんなさい)」と言って逃げるように立ち去っていったのですが、偽札と疑われた理由は使ったお札が旧札だったためでした。この旧札は2002年発行のユーロ初の紙幣で、レユニオン島ではほとんど流通していなかった模様。



今回バスでの支払いに使用した旧札は東京都内の街の両替所で入手したもの。空港以外で両替すると旧札も交じっている可能性があるので、注意が必要です。以下は記事作成時点で使用されている5ユーロ紙幣。旧札と比べると「5」や「黄色い星」の位置が全然違います。時差の関係から、旧札のユーロ紙幣が世界で一番最初に流通したのはレユニオン島なのですが、それにもかかわらずあまり知られていないようでした。



無事に解放されたので、ようやくレンタカーを手配できます。レンタカーの会社がいろいろあり迷いましたが、今回はJumbo Carを選択。基本的にフランス語で対応されているので心配していましたが、受付の女性は英語も堪能で助かりました。



借りたのはルノーのARKANA(アルカナ)です。料金は24時間、ガソリン代別で114.60ユーロ(約1万8270円)。日本だと出庫前にレンタカー会社のスタッフと車体を入念にチェックしますが、レユニオン島では後々のトラブルを防ぐために写真を複数枚撮るよう指示を受けます。



レンタカーを借りるためだけに空港へ来たのに、偽札疑惑の取調べでどっと疲れました。

◆しゃぶしゃぶと島巡り史上初の回転寿司を発見

サン・ドニの中心部にしゃぶしゃぶ専門店がありました。お店の名前は「Shäbu」。



中に入ってラムネ(4.9ユーロ/約783円)と抹茶(5.5ユーロ/約879円)、ベルギービール「アーフリゲム」(4.2ユーロ/約671円)を注文。



レユニオン島ではなぜか日本のラムネが人気で、最初に訪れたスーパーマーケットの「AA MARKET Distribution」にもたくさん売っていました。



しゃぶしゃぶセット(30.50ユーロ/約4878円)が到着……したのですが、鍋の中が何やらあまり見たことのない色をしています。



よく見ると、左がトムヤムクン、右が味噌汁という変わったスタイルのしゃぶしゃぶで、ごまだれやポン酢などのタレはついていません。



次はサン・ドニ中心部から少し歩いたところにある「Osaka974-Restaurant Japonais」というお寿司屋さんに来ました。



店内に入ると、レーン上をお寿司が回っています。ドメイン島巡りではこれまでにたくさんの島のお寿司屋さんに行きましたが、回転寿司は初めて。

レユニオンの回転寿司 - YouTube

カップルが多く、デートスポットになっているようです。



日本の回転寿司同様に、寿司以外の食べ物も回っています。これは山盛りのとんかつ(11.50ユーロ/約1839円)。お世辞抜きで揚げ方がすばらしくおいしいです。



手巻き寿司のマグロ(2本で7.5ユーロ/約1199円)とサーモン(2本で9ユーロ、約1439円)を注文。日本で食べるのと変わらないなじみのある味わいを楽しめました。



レジ周りには日本人形、扇子、ONE PIECEの手配書ポスターなどがありました。



レユニオン島の第3の都市サン・ピエールにあるラーメン店「Bushido ramen」。閉店30分前ですが、店内はにぎわっていました。



味噌つけ麺(16.50ユーロ/約2639円)を注文してみると、「いつ日本に戻ってきたんだっけ」と思ってしまうようなつけ麺でした。



メニューにあった「博多ラーメン」(17ユーロ/約2718円)も注文。とんこつラーメンですが太麺でした。



モーリシャスから来た二人のお客さんと仲良くなりました。右の男性はアニメが好きで、簡単な日本語なら話せます。



この店は日本好きな夫婦が経営しており、ご主人は日本語が少し話せるそうです。



◆7時間かけて島内を一周してみた

空港で借りたレンタカーでレユニオン島を一周することにしました。ナビの表示は初期設定がフランス語ですが、日本語に切り替えることも可能。また、Apple CarPlayを使えたのがとても助かりました。



レユニオン島はフランスなので右側通行。走行車線は右側、追い越し車線は左側です。現地のドライバーはかなりスピードを出すので、慣れるまでは大変。フリーウェイを走り続けると壮大な風景が広がりました。



ここは途中で昼食休憩のために立ち寄ったサン・ピエールです。車は基本的に路上駐車で、細い道にびっしりと車が並んでいるので縦列駐車のスキルが試されます。



あいにくの天気の中を走り続けていると、サトウキビ畑が広がってきました。道幅も狭くなってきます。



2004年の噴火によって生まれたダイナミックな風景。火山島らしい奇怪な地形です。



ランチや火山灰地の散歩を含めて7時間ほどのドライブを終えて空港に到着。車を無事に返却してから、空港ラウンジにあったレユニオンを代表する地ビール「ブルボンビール」をおいしくいただきました。



◆街で見かけた「.re」ドメイン

それぞれの国には、「ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)」という国ごとに割り当てられたドメインが存在します。「ドメイン島巡り」は、そんなccTLDの中でも「島国」に割り当てられている約50種類のドメインに焦点をあて、実際にそのccTLDが割り当てられている島国を訪れて現地の魅力をレポートすると共に、「現地でそのドメインがどのように使われているのか?」を調べるのが目的です。

レユニオン島に割り当てられているccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「.re」。レユニオン島では多くの「.re」ドメインが使われていました。しかし、残念ながらレジストリのオフィスはフランス本国にあるため訪問できず。

劇場「CDNOI」の広告



NORDEVというコンベンションセンターで開催されるイベントのポスター



防犯カメラや侵入感知アラームなどを販売するセキュリティ会社。



空き家にあった借主募集の告知。ちなみに「immo」はフランス語で不動産の意味で、ドメイン「.immo」もあります。



ソフトウェア開発企業のSRA REUNION。



ホテルの前にあった住宅ローンの代理店



サン・ドニ市の公式ホームページも「.re」を使っています。



◆現地でのSIM購入&速度調査

レユニオン島ではeSIMのAiraloを利用しました。10GB Discover Global eSIM(59USドル/約8845円)を購入。



サン・ドニで測定したところ、120Mbpsで快適なネット環境でした。海外に行く予定のある方は、「2023年、最強の海外用eSIMはUbigi!」のページも参考にしてください。



というわけで、今回のドメイン島巡りで訪れた場所は以下のGoogleマップ上でまとめて確認可能。

また、「レユニオン島まで実際どうやって行けばいいの?」というアクセスの詳細はここから確認可能です。

ドメイン「.re」の詳細や申し込みについては、以下のリンクから確認できます。

reドメイン登録 (レユニオン) | 世界のドメイン取得、コンサルティングならGonbei Domain(ゴンベエドメイン)



(文・写真:インターリンク https://www.interlink.or.jp/

ドメイン島巡り https://islanddomains.earth/)