肩を落としピッチに座り込むアイルランドのバンディー・アキに寄り添い、互いの健闘を讃えあうニュージーランドのサム・ケイン【写真:イワモトアキト】

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ラグビーW杯フランス大会 カメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラム

 連日熱戦が繰り広げられているラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会。「THE ANSWER」は開幕戦から決勝戦まで現地取材するカメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラムを随時掲載する。今回は14日(日本時間15日)のニュージーランド戦で敗れ、初のベスト4を逃したアイルランドから。

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 歓声が悲鳴に、そして沈黙へと変わった。28-24、アイルランドの悲願だったW杯ベスト8の壁をまたしても越えることができなかった。「今回こそは絶対に」――。強い思いで臨んだアイルランドのW杯が幕を閉じた。

 アンセム「Ireland’s Call」の大合唱がスタッド・ド・フランスに響き渡る。肩を組み、胸を張る選手とファンたちの顔からはみなぎる自信が溢れていた。世界ランキング1位、過去最高のチームと言われてドーバー海峡を渡った。

 全てを出し切った。ただ、あと少しだけ届かなかった。試合後のピッチとスタンドには悔しさが溢れていた。

 今大会で代表引退となるジョニー・セクストンは、試合後、息子とともに選手人生最後となるW杯ピッチを噛み締めるようにゆっくりと回った。その目にはうっすらと涙が浮かんでいるように見えた。

「この借りは僕が返すよ」――。父に寄り添うように歩く息子の姿から、そんな声が聞こえた気がした。

■イワモト アキト / Akito Iwamoto

 フォトグラファー、ライター。名古屋市生まれ。明治大を経て2008年に中日新聞入社。記者として街ネタや事件事故、行政など幅広く取材。11年から同社写真部へ異動。18年サッカーW杯ロシア大会、19年ラグビーW杯日本大会を撮影。21年にフリーランスとなり、現在はラグビー日本代表の試合撮影のほか、JAPAN RUGBY LEAGUE ONEオフィシャルフォトグラファーを務める。

(イワモト アキト / Akito Iwamoto)