試合後に互いの健闘を讃えあうウェールズのサム・コステローとジョージアのゲラ・アプラシゼ【写真:イワモトアキト】

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ラグビーW杯フランス大会 カメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラム

 連日熱戦が繰り広げられているラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会。「THE ANSWER」は開幕戦から決勝戦まで現地取材するカメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラムを随時掲載する。今回は全40試合が終了したプール戦のジョージアの最終戦・ウェールズ戦から。

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 ぶつかりあい、ときに睨みあう戦士たちが、試合終了の笛とともに互いを讃えあう仲間になる。それは勝敗を超えた先にあるノーサイドの景色。

 プール戦全40試合が終了した。各チーム最後の試合は、決勝トーナメント進出がかかる大一番になるか、「1勝」をかけたプライドの戦いになる。オーストラリアに敗れ、ポルトガルに引き分け、フィジーを最後まで追い詰めるも勝利を逃したジョージアが、ウェールズを相手に「1勝」を狙った。

 決勝トーナメントに進むウェールズに対して、プール敗退が決まっているジョージア。失うものは何もない、試合開始から激しいタックルでスタジアムを沸かせた。後半はさらにジョージアの攻撃が連動し、24-19とレッドドラゴンズ(ウェールズの愛称)を苦しめた。

 後半を折り返した直後、ライン側のプレーから両チームの選手がエキサイト、掴みあいとなる場面もあった。勝利への思いが沸騰する選手たち。試合はウェールズがトライを重ね43-19とジョージアを下した。

 77、78、79分……。大型ビジョンのタイマーが時を刻むと、ジョージアの選手たちの肩が震え出す。4年間をかけた戦いの終わりを告げるカウントダウンだ。ノーサイドの瞬間、時が止まったかのようにピッチに立ち尽くす選手たち。それぞれの胸からあふれる思いがその表情から伝わってきた。

 やりきった。すべてを出し切ったからこそ、目の前の相手を迎え入れられる。お互いを讃えあう景色は美しい。

■イワモト アキト / Akito Iwamoto

 フォトグラファー、ライター。名古屋市生まれ。明治大を経て2008年に中日新聞入社。記者として街ネタや事件事故、行政など幅広く取材。11年から同社写真部へ異動。18年サッカーW杯ロシア大会、19年ラグビーW杯日本大会を撮影。21年にフリーランスとなり、現在はラグビー日本代表の試合撮影のほか、JAPAN RUGBY LEAGUE ONEオフィシャルフォトグラファーを務める。

(イワモト アキト / Akito Iwamoto)