エレベーションスペースが三井物産の「きぼう」後継機検討事業に参画 高頻度サンプルリターン事業を検討へ
株式会社ElevationSpace(エレベーションスペース)は9月21日、民間主導の宇宙ステーションに接続が検討されている新たな日本モジュールからの高頻度サンプルリターン事業の検討を行うと発表しました。【2023年9月28日15時】
【▲ 国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアームでキャプチャされる新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」の想像図。「きぼう」後継機はHTV-Xをベースに改修・開発が検討されている(Credit: JAXA)】
地球低軌道での科学実験や技術実証などに活用されている国際宇宙ステーション(ISS)は、太陽電池アレイの発電能力低下など老朽化が進んでおり、2030年に運用を終了して廃棄(大気圏への再突入)することが予定されています。ISSの運用終了後の地球低軌道では民間主導による宇宙ステーションの建設・運用が検討されており、すでにアクシオム・スペースやブルー・オリジンなどが開発を表明しています。
ISSを構成する与圧モジュールのなかでも日本実験棟「きぼう」は最大のモジュールであり、様々な実験や超小型衛星の放出などに利用されているものの、ISSの運用が終了すれば「きぼう」も廃棄されることになります。そこで現在進められているのが「きぼう」後継機の検討です。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年8月に「民間主導の地球低軌道有人拠点事業における米国商業宇宙ステーション接続型日本モジュールの概念検討」を行う事業者として三井物産株式会社を選定しました。この事業で三井物産は「きぼう」に代わる新たな日本モジュールの保有・運用事業の事業化調査を実施するとしています。新モジュールのベースには、宇宙ステーションの一部として活用可能な発展性が確保されているJAXAの新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」が用いられる予定です。
【▲ ElevationSpaceが開発中の「ELS-R」によるサービスフローを示した図(Credit: ElevationSpace)】
この事業で三井物産が連携しているパートナー企業のひとつがElevationSpaceです。ElevationSpaceは地球低軌道で実験・実証を行った後に大気圏へ再突入させて回収できる小型人工衛星を用いたプラットフォーム「ELS-R」(2025年に技術実証機を打ち上げ予定)の開発を進めている他に、カプセルを用いて地球低軌道の有人拠点から実験サンプルなどを高い頻度で回収するサービス「ELS-RS」のコンセプトレベルでの検討をJAXAと共同で進めています。前述の三井物産による検討事業ではElevationSpaceはパートナー企業として、ELS-RやELS-RSの技術を応用・活用した「きぼう」後継機からの高頻度サンプルリターン事業を検討するということです。
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Image Credit: JAXA, ElevationSpaceElevationSpace - 【プレスリリース】エレベーションスペースがISS「きぼう」後継機検討事業で三井物産に協力、高頻度サンプル回収サービス検討パートナーとして参画三井物産 - JAXAから米国商業宇宙ステーション接続型の日本実験棟後継機の概念検討の実施者に選定
文/sorae編集部