インド宇宙研究機関(ISRO)は日本時間8月28日、月探査ミッション「チャンドラヤーン3号(Chandrayaan-3)」のローバー(探査車)に搭載されているカメラで撮影した月面の画像を公開しました。【2023年8月29日14時】


【▲ チャンドラヤーン3号のローバー(探査車)に搭載されているカメラで2023年8月27日に撮影された月面。正面に写っているのは幅4mのクレーター(Credit: ISRO)】


こちらがISROから公開された画像2点のうち1点目です。チャンドラヤーン3号のローバーに搭載されているナビゲーションカメラで撮影されました。ISROによると正面の窪みはローバーの3m先にある幅4mのクレーターで、運用チームはローバーに引き返すよう指示を送りました。


次に掲載したのはISROから公開された2点目の画像です。走行してきたルートを撮影したもので、ローバーが月面に付けた轍(わだち)が写っています。


【▲ チャンドラヤーン3号のローバー(探査車)に搭載されているカメラで2023年8月27日に撮影された月面。ローバーが付けた轍(わだち)が写っている(Credit: ISRO)】


チャンドラヤーン3号はISROによる3回目の月探査ミッションです。探査機は月面に着陸するランダー(着陸機)、ランダーに搭載されているローバー、着陸前までの飛行を担う推進モジュールで構成されていて、ランダーには地震計(月震計)など3基、ローバーにはX線分光器など2基の観測装置が搭載されています。


【▲ チャンドラヤーン3号のランダー(着陸機)とローバー(探査車)(Credit: ISRO)】


2023年7月14日に打ち上げられた探査機は2023年8月5日に月周回軌道へ到達し、日本時間2023年8月23日21時32分に月の南極付近(南緯約69度・東経約32度付近)へ着陸することに成功しました。インドとしては初めて、世界でも4か国目の月面着陸成功で、月の南極付近への着陸は世界初となります。ISROは2019年にもオービター(月周回衛星)、ランダー、ローバーで構成された月探査ミッション「チャンドラヤーン2号」の探査機を打ち上げましたが、月周回軌道への投入には成功したものの、ランダーの着陸には失敗していました。



【▲ チャンドラヤーン3号のランダーが月面へ降下する間に撮影された動画をシェアしたISROのX(旧Twitter)公式アカウントの投稿】


ニューデリー・テレビジョン(NDTV)など現地メディアの報道によると、チャンドラヤーン3号の着陸地点が「シブ・シャクティ・ポイント(Shiv Shakti Point)」と命名されたことをインドのナレンドラ・モディ首相が2023年8月26日に発表しました。シャクティは「力、エネルギー」や「能力」といった意味を持つ言葉で、ここでは女性科学者の勤勉や創造性などに由来すると説明されています。


【▲ チャンドラヤーン3号のランダーに搭載されていたローバーがランプ(傾斜路)を下りて月面を走行し始めた様子(Credit: ISRO)】


また、2019年に月面へ衝突したチャンドラヤーン2号のランダー衝突地点が「ティランガ・ポイント(Tiranga Point)」と命名されたこともあわせて発表されました。ティランガはインドの国旗の三色を示す言葉で、インドが初めて月面に触れた地点を表すのにふさわしいと説明されています。


チャンドラヤーン3号の詳しい情報については以下の特集ページをご参照下さい。


【特集】インドの月探査ミッション「チャンドラヤーン3号」

 


Source


Image Credit: ISROISRO - Chandrayaan-3ISRO (X, fka Twitter)NDTV - Chandrayaan-3's Touchdown Point To Be Called Shiv Shakti: PM Modi At ISRO

文/sorae編集部