LG Stylerとは放出するモノが違う! 熱に弱い衣類もケアできる「スマートクローゼット」をチェックした
パナソニックがクローゼット型の衣類ケア家電「スマートクローゼット HCC-R600A」を発表しました。2023年8月1日発売で、実売予想価格は33万円前後(税込)です。
幅45×奥行き61.3×高さ173.4cmと、ほぼ掃除用具ロッカーと同程度のサイズになっており、ドアにはミラー仕上げを施しています。ドアを開けて衣類を収納するだけで、スチームによる除菌・消臭から花粉・ウイルス抑制、乾燥まで行えるというものです。形状や機能からして、韓国LGエレクトロニクスが2017年から販売する「LG Styler(スタイラー)」に似ている製品ですが、LG Stylerとはどのような部分が違い、どこに強みがあるのか、チェックしていきたいと思います。
寝室にも設置できる静音性やナノイーXによる衣類ケアが魅力
スマートクローゼットは以下の3つの大きな特徴を備えています。
・微粒子イオン「ナノイーX」で衣類や帽子などの除菌・消臭・花粉抑制ができる
・スチームで衣類のシワを伸ばし、ヒートポンプ除湿乾燥でしっかり乾燥
・振動レスによって約30〜40dBの低騒音を実現
LG Stylerと比べて大きく違うのが「振動レス」と「ナノイーX」です。LG Stylerの場合、ハンガーを左右に揺らして花粉やホコリなどを落としながらスチームと除湿乾燥で衣類をケアします。スマートクローゼットの場合は振動機能を搭載していないため、スチームを放出しないナノイーXによる「除菌消臭」コースの場合で約30dB、「シワのばし」コースや「乾燥」コースで約40dBと、かなりの静音性を実現しています。なお、「LG Styler」の運転音は約40dBです。
商品企画を担当したパナソニック くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 商品企画部 松原克氏は、振動機能を搭載しない理由について「洗濯機のように洗面台の横などの設置するものではなく、リビングや寝室に置くものなので、運転音にはこだわりました」と語りました。
さらに導入を狙っていくのがホテルの客室です。高級ホテルの客室にクローゼット型の衣類ケア家電を設置すれば、利用者にとってかなりいい客室サービスになるはずですが、音がうるさいと就寝中には使えません。スマートクローゼットの動作音は最大40dB程度で、その目安は「市内の図書館や静かな昼の住宅地」です。30dBとなると「郊外の深夜やささやき声」が目安となります。実際に動作音を聞いてみましたが、ホテルの客室に設置されている小型冷蔵庫の動作音の方が気になるかもしれないくらいの印象でした。
なお、LG Stylerは内部をスチームで満たすことで衣類の除菌や消臭をするのに対し、本機は熱を一切使わずに衣類をケアすることが可能。「除菌消臭」コースでは、ナノイーX発生器で発生させた微粒子イオン「ナノイーX」を庫内に放出することで、除菌や消臭、花粉抑制、ウイルス抑制を行います。動作時間は約2時間で、消費電力量は約46Wh(31円/kWh換算で約1.5円)です。
マーケティングを担当するパナソニック くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 国内マーケティング部の山下恵氏は「(ナノイーXのみを使うコースだと)一切スチームを使わないため、手洗いができない衣類や熱に弱い衣類など、今までケアをためらっていたデリケートな素材でも日々のケアができるようになります」と語りました。
「ケアしづらいカシミアやウール、スパンコールのように特殊加工が施されている素材の衣類はなかなかクリーニングに出すのも大変ですが、スマートクローゼットに入れるだけで手軽にケアができます」(山下氏)
さらに、ぬいぐるみや帽子などの型崩れが気になるものは、付属の棚の上に置いてケアできるようになっています。
ルーバーで気流をコントロールして素早く衣類を乾燥
このほか注目したいのが、アイロンや衣類スチーマーに用いられているスチーム技術と、洗濯乾燥機に用いられているヒートポンプ技術を組み合わせたスチーム&除湿乾燥機能です。
「スマートクローゼットは連続的にパワフルチームを出すアイロンのスチームジェネレーターと、衣類に優しい65℃の低温で除湿しながら乾燥するヒートポンプユニットを搭載。さらに空気中の水分を分解して除菌や消臭、花粉の抑制などを実現する『ナノイーX』技術を採用しました。それを気流技術を応用して実現したのがスマートクローゼットです」(松原氏)
加えて、下部のユニットから発生するスチームやナノイーXなどをファンで送風するだけでなく、ルーバーで風向きを変えることで効率的に気流を送れると松原氏は語ります。330gの衣類を濡らして550gになったものを、元の330gにまで乾燥させるのにかかる時間は、ルーバーなしの場合が約60分なのに対してルーバーありは約48分にまで短縮できたとのこといいます。
使い勝手の良さも追求しました。ドアを開けると電源が自動的にオンになり、タッチパネルの操作部が表示されます。
「使うときだけ表示する機能的なデザインというだけでなく、ドアを開けて庫内を確認しないと電源が入らないような安全設計になっています」(松原氏)
ドアを開けるとタッチパネルが表示され、モードを選ぶと次に行える操作だけ表示されるようになっています。これによって迷わずに操作ができるというわけです。
本体下部には給水タンクと排水タンクが配置されており、給水タンクに給水して排水タンクにたまった汚水を捨てるだけでメンテナンスが完了します。その点もラクでいいですね。
オプションとしては、パンツのシワを伸ばして折り目を付けられる「パンツプレス HCC-PA1」(実売予想価格2万2000円前後・税込)も用意されています。
価格は決して安くはありませんが、日々の衣類ケアの手間や時間を省けるという意味ではかなり注目の製品ではないでしょうか。