売れセンど真ん中のおでかけミニバン新型日産「セレナ」!e-POWERが第2世代になってどこが進化した!?

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仲間や家族とドライブって楽しいですよね。間もなく訪れる夏休みシーズンにはそんな機会も増えるのではないでしょうか。もちろん5人、6人、それ以上の人数でドライブする機会はそんなにないと思いますが、昨今のミニバン・ブームは「みんなでお出掛けしたいよね」という願望が需要を下支えしているのでは、とも思います。

そんなブームの牽引役といえば、2022年末にモデルチェンジを果たした「日産セレナ」を始めとするミドルサイズ・モデル。まさに売れセンど真ん中のセレナですが、今春にはガソリンエンジン駆動車に加えて、待望の"e-POWER"、つまりエンジンで発電した電気でモーターを駆動するモデルが追加されました。

日産いわく"すでに受注の半数以上がe-POWER"という人気ぶり。その理由を探るべく、実車に触れてきました。さて、セレナe-POWERの魅力と使い勝手とは。

■e-POWERが第2世代に進化! 出力、燃費がともに向上

先代モデルから設定されたe-POWERモデルですが、新型最大のトピックはこのメカニズムが刷新され、第2世代に進化したこと。まず、発電用のエンジンは新開発のe-POWER専用とし、排気量を1.2リッターから1.4リッターに拡大、出力で16%の向上を図っています。また、最良燃費点を使用頻度の高い2000回転とし、その回転数での燃費も6%向上しています。走行用のモーターも高出力化が図られ、最高出力は120kW(163馬力)、最大トルクも315Nmと、車重2トン超えのミニバンにも過不足ないスペックを手に入れました。

この他にもメカニズム面では細部にわたるブラッシュアップが行われており、燃費、静粛性、扱いやすさの全方位での進化を遂げています。中でも印象的だったのは、車内の静かさ。高遮音ダッシュインシュレーターや遮音材の追加、さらに上位グレードのLUXIONでは、前席ドアを遮音ガラスとするなど、細部にわたって遮音対策が施されています。

その効果はかなりのもので、高速道路を淡々と走るようなシチュエーションはもちろん、街中でも3列目シートと1列目シートで声量を上げることなく話せるほど。また、従来モデルでは運転席まわりでかすかに聞こえていたインバータ音、エンジン音や振動もしっかりシャットアウトされています。音や振動って、短距離の移動では気にならないものの、長距離ドライブでは思いのほかストレスを感じる方もいるので、こうした進化は大歓迎というところでしょう。

▲LUXIONの2列目シートは肘掛けが備わるキャプテンシートで、乗車定員は7人となる。シートの前後スライド量はLUXIONが580mm、その他は640mmを確保

▲ハイウェイスターは8人乗りで、2列目シートは中央部が前後にスライドする。シートアレンジは多彩だ

 

■車内の使い勝手もググっと向上!

全高1.8m以下の1.2〜2リットルクラスの“ミニバンNo.1の室内の広さ”を謳うセレナですが、車内の使い勝手もググっと向上したのも見逃せないところ。従来のe-POWER車は7人乗りのみの設定でしたが、新型ではLUXIONは2列目シートが"キャプテンシートの7人乗り、その他グレードは2列目のセンター部分がスライドする"スマートマルチセンターシート"という設定になりました。

加えて、3列目シートにスライド機構を採用したのも、荷物が多いアウトドア志向のオーナーには重宝しそうです。格納も左右跳ね上げタイプなので、荷室フロアの掃除がしやすいのも嬉しいポイントといえそうです。キャンプやバーベキューの後って、荷物に思いのほか汚れも付きますからね。また、セレナといえばバックドアの上部だけを開閉できるデュアルバックドアを備えているので、車体後方のスペースが少々狭くても荷物の出し入れが可能です。

ちなみにシート表皮はというと、LUXIONは上質感があり手入れもしやすい合皮、ハイウェイスターはジャガード織物/トリコット(撥水加工)と合皮のコンビ仕様ですが。オプションで防水シートの設定もあります。こうした設定を見ると、家族旅行やレジャーの相棒としてどんどん連れ出したくなります。

▲LUXIONなど上位グレードはダッシュボードにステッチ状のあしらいも施されるなど質感も高い。インパネまわりの造形は圧迫感がなく、視界も良好

この他、収納やユーティリティも実際に使うことを検討したな、と分かる工夫が随所に見られます。例えばドアポケットにはボックスサイズのティッシュが入りますし、紙パックが収まるカップホルダー、数多くのUSB電源ポート(フロント:タイプAとC各1つ、2列目:タイプC×2つ、3列目:タイプC×2つ)、車内各所のコンビニフックという具合です。この他、100V(1500w室内1つ、ラゲッジ1つ)のAC電源もオプション設定されているので、お出かけ途中にスマホやアクションカムの充電も可能です。

▲収納スペースも数多く設けられている。インストアッパーボックスやドアポケットはボックスティッシュも収まる

▲LUXIORのエアコン操作部下にはスマホのワイヤレス充電(Qi)に対応した小物スペースを用意(一部グレードにオプション設定)。その下にはタイプAとタイプCのUSB充電ポートが備わる

▲アウトドアでも家電が使える100V・1500Wに対応したAC電源はオプション設定。室内1ヶ所、ラゲッジルームに1ヶ所用意される

 

■運転支援システムはドライブ時に加え、駐車アシストも!

▲セレナは全モデルに高速道路での運転操作をサポートする“プロパイロット"を標準装備。前走車を検知して車間距離を保持してくれるのはありがたい。写真はLUXION

▲LUXIONは高速道路でのハンズオフ走行に対応した“プロパイロット2.0"を標準装備。高速道路ではナビと連動、出口までの運転をサポートしてくれる。状況に応じてハンズオフも可能

さて、性能・装備とも充実の新型セレナですが、運転支援システムも注目です。高速道路の渋滞走行から巡行走行でアクセルとブレーキ、ハンドル操作をアシストしてくれる“プロパイロット”は全グレードに標準。Nissan Connectナビゲーションシステムと連動してカーブでの車速をコントロール、また道路情報をもとに設定速度を切り替えるナビリンク機能付きプロパイロットも中位グレードにオプション設定されます。また、LUXIONでは同一車線内でのハンズオフが可能、かつ目的地の設定により車線変更支援も可能とした“プロパイロット2.0”が標準装備となっています。

▲駐車をサポートするプロパイロットパーキングはボタン操作ひとつで車庫入れが可能。“ミニバンは車庫入れが…”と敬遠する方の強い味方だ

ドライブ中のサポートが充実しているのはもちろんですが、ミニバンの場合は駐車時に寸法以上に大きく感じてしまうことも少なくありません。セレナe-POWERの中位グレード以上は駐車をアシストする“プロパイロット パーキング"を標準、またはオプションで設定しています。従来は駐車スペースの白線を検知して、ハンドル操作やアクセル・ブレーキ操作を制御していましたが、新型では駐車位置の路面模様とGPS情報を記憶するメモリー機能を搭載。

白線がない自宅駐車場でも、一度駐車した場所で登録済ならばワンプッシュで駐車が可能となりました。さらに、LUXIONでは車外から専用キーの遠隔操作でクルマを移動、駐車を可能とした“プロパイロット リモートパーキング"も標準です。家族でクルマを共有する場合など、"駐車が苦手で…"という人がいると、選択肢から外れてしまうケースもありますが、そんな日常的な問題も解決しそうです。

運転してもヨシ、助手席やリアシートに乗ってヨシのセレナe-POWER。気になる納期はというと、仕様やオプションにもよりますが概ね3〜6カ月程度とのこと。昨今は"1年待ち"なんてクルマも珍しくありませんが、セレナe-POWERなら納期の面でもご家族の理解を得やすそうです。

【Specifications】
NISSAN SERENA e-POWER LUXION
全長×全幅×全高:4765x1715x1885mm
ホイールベース:2870mm
車重:2235kg
エンジン:14335cc 直列3気筒DOHC
最高出力:72kW@5600rpm
最大トルク:123Nm@5600rpm
モーター:交流同機電動機
最高出力:120kW
最大トルク:315Nm
駆動:前輪駆動
燃費:18.4km@l(WLTC)
価格:478万8200円

>>日産 セレナ

<写真・文/村田尚之>

村田尚之|自動車専門誌やメーカー広報誌などを手掛ける編集プロダクションを経て、2002年にフリーランスライター・フォトグラファーとして独立。クルマや飛行機、鉄道など、乗り物関連の記事を中心に執筆・撮影。そのほか、カメラやホビーアイテムの取材・執筆も得意とする。

 

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