不倫した夫が“精神不安定”に…離婚で「良好な関係」を築いた元夫婦の“生々しい実情”
「離婚した相手なんて、二度と会いたくない! 会うわけない!」という人がいる一方、離婚後も定期的に再会するなど、良好な関係を築いている2人も数多くいます。むしろ離婚後の方が冷静に話せるようになり、相談相手になってくれている…というケースもいくつか聞いています。
全てを知り尽くした2人だからこそ、お互いの“ダメポイント”が分かり、「そういうところ、50歳までには直そうよ」「成長したねー」とジャッジできるのでは、と「恋人・夫婦仲相談所」所長の私は推測しています。
では、“離婚後に関係良好”になるのはどういった場合なのか。知りたくありませんか?
精神不安定になった夫に見切り。離婚して本当によかった
佐恵子さん(45歳、仮名)と幸松さん(48歳、同)は、10年間の結婚生活の後に離婚しました。お2人には当時、10歳と6歳の娘さんがいました。
離婚原因は幸松さんの不倫です。幸松さんは不倫関係になった女性から結婚を迫られていました。よほどのめり込んでいたのでしょう。彼は佐恵子さんに、「好きな人ができた。近い将来、離婚は考えられるか?」と告げます。寝耳に水の佐恵子さんは当然、怒り心頭で拒絶しました。
この時点で、私の相談所へ相談に来られました。その後、進展を聞いていると、かなりつらい結婚生活が続いていたようです。
不倫相手からのプレッシャーと、佐恵子さんや子どもたちへの罪悪感に苛まれた幸松さんは、不安定な精神状態になり、病院通いをするようになります。しかし、症状は一向によくならず、電車にも乗れないほどの精神状態になってしまいました。仕事にも支障が出始め、会社も休みがちになり、給料にも響くように。
佐恵子さんは1年ほど苦しんだ結果、離婚を決意します。「不倫相手と切れた」と断言するものの、何やかやと疑念が残る夫。仕事にも支障が出てしまった幸松さんとこのまま夫婦関係を続けても、子どもたちに悪影響を与えるだけだと判断したのです。区役所で紹介してもらった離婚に詳しい弁護士さんに相談し、慰謝料などを決めました。
離婚という区切りがついたからか、幸松さんの症状はどんどんよくなり、電車にも乗れるまでに回復。産業医がいる職場なので、定期的に相談もでき、職場復帰しました。その結果、佐恵子さんが望んだ以上の慰謝料を得ることができ、養育費も毎月払うようになりました。子どもたちには毎月会いに来て、誕生日や運動会などのイベントにも必ず参加するといいます。
離婚して3年がたちましたが、佐恵子さんは「本当にあのとき、離婚を決断してよかった」と言います。
「意地を張って、あのまま夫婦関係を続けていたらと思うとゾッとします。関係は悪化したままで、夫はうつが進行し、無職になっていたかもしれません。憎しみ合いながら精神状態の悪い人と同じ屋根の下で暮らし、子どもたちにも満足な教育を受けさせてあげられなかったかもしれない。何より、パパとママの関係が最悪な状況を共有させてしまうことになっていました。
今は娘2人と一緒に暮らして、ものすごく幸せです。女同士気兼ねなく、おいしいものを食べに行ったり、遊びに出かけたり…たまに会いに来る元夫とは、結婚していたときよりも会話が弾みます。日常を共にしていたときは、時間に追われて会話しようとしていなかったけど、今はたまにしか会わないから、いろんなことを話したくなるんです。子どもたちも、私たちが楽しそうに話をしているのを見てうれしそうです。本当に離婚してよかったと心から思えます」
同居生活は1年未満!? 結婚5年目で離婚
「ずっと単身赴任で、一緒に暮らしたのは合計しても1年に満たなかったと思います」
そう話すのは満さん(35歳、仮名)。元夫の浩平さん(40歳、同)とはお互い1人旅をしていたタイで知り合い、帰国後、遠距離恋愛を経て結婚しました。しかし、旅行会社に勤める浩平さんは海外赴任が多く、満さんも手に職を持って仕事をしていたので、一緒に行くこともなく別々に暮らしていました。
浩平さんが年に何回か帰国したときには満さんの家に滞在しますが、彼女の家は1人暮らし用の1LDKのまま。子どもができることもなかったために、何のために結婚しているのか分からなくなったといいます。
「彼のことは好きなんですけど、会えないからといって寂しいってことはないし、私も彼も毎日連絡を取り合うのは面倒くさいというタイプだったこともあり、このまま結婚状態を続けていてもお互い意味あるのかな? という話に自然となって。
私は子どもが欲しかったです。でも、あの状態で子どもができても1人で育てる自信はありませんでした。彼も彼で、一応既婚者となると異国で遊びたいのに遊べない。その辺は真面目だったようで。
『結婚の意味ないね。じゃあもう離婚しよう』と5年目で籍を抜きました。お互いの両親も状況を理解していたので、反対もなく…。それどころか、うちの親は『このままだと孫の顔が見られないのではないか』と内心焦っていたそうで、喜びました。
今も、彼が日本に帰国したら必ず会って近況報告しています。私は今年、マッチングアプリで出会った彼と再婚するのですが、相手とも会ってもらいました。浩平さんが彼にいろいろアドバイスしているから、『あなたより彼の方が、一緒にいる時間長いよ』って突っ込みました」
笑いながら話してくれる満さんは、幸せそのものでした。
離婚の動機はさまざまです。同様に、離婚後の人生もさまざま。別れた相手をののしりながら恨み節を淡々と話す妻と、何人も面談しました。納得できる離婚が理想ですが、今の時代になっても離婚で「不利」と考えるのは妻側が多いように感じます。
今、離婚という言葉がチラリと浮かんでいる人は、「私の『納得』は何だ?」「俺の『納得』は何だ?」と、スマホに項目を立てて打ち込んでみるといいでしょう。「妻が実家に戻り、妻の仕事中は子どもたちが寂しい思いをしないこと」「養育費を毎月6万円入金すること」「資産は折半でも、俺のオーディオセットだけは譲らないこと」などなど…。
“納得点”を書き出していくと、思考が整ってきます。納得すれば、離婚後もカフェトークできる関係になれるはずです。ただし、お互いに再婚した場合は、新パートナーの気持ちに配慮した大人の行動を。