●演じる主人公の表情は原作の漫画も参考に

『ドラゴン桜』(TBS)や『六本木クラス』(テレビ朝日)など話題作に出演し、『silent』(フジテレビ)でさらに注目を浴びた鈴鹿央士。現在放送中のTBS系ドラマ『スイートモラトリアム』(毎週火曜24:58〜 ※一部地域を除く)では、元カノと今カノの狭間で揺れる主人公の大学生を演じている。鈴鹿にインタビューし、本作の魅力や役作りなどについて話を聞いた。

鈴鹿央士 撮影:奥西淳二

マンガアプリ「マンガボックス」で連載されていた、たまいずみ氏による同名漫画を実写化した本作は、自由奔放な元カノ・大森りんご(小西桜子)と真面目で一途な今カノ・上条小夜(田辺桃子)という、両極端な2人の女性の狭間で揺れ動く大学生・柏木心(鈴鹿央士)が主人公。この三角関係を中心に不器用な若者たちの等身大の姿を描く。

鈴鹿は本作の魅力について「常識的に考えると面白くなくなってしまうというのが面白さだなと思いました」と語る。

「物語の始まりも元カノが家に来るところから始まって、一般的に考えるとこうはしないよなということだったり、予想外のことばかり起こる台本で、わからないことが起きるから面白いなと。『なんで心くんはこんなことをするんだろう』と思うのですが、そこに面白さがあるというか、見ていて驚くところは多いと思います。僕も『え? え?』ってなりながら台本を読んでいたので、そこが面白いところだと思います」

また、「心くんは演じるのが難しい」と感想を述べる。

「選択肢が多すぎるというか、台本を読んで想像できる心くんの心情がすごくたくさんあって、あまり決断しないからその答えが書いていなくて自分で決めないといけない。枝分かれした先の答えを見つけていくのが難しかったです。選択肢が多く、どういう風に悩んでいるんだろうというのが無限に出てくるキャラクターだったので、難しいなと思いました」

鈴鹿央士演じる主人公の柏木心

悩みながら作り上げていった心役だが、演じる際には「目」を特に意識したという。

「メガネをかけているし、前髪も目にかかるくらいだったので、開き具合で目の見え方が全然変わってくるなと。目を隠すときと出すときと、そんなにガッツリ意識したわけではないですが、撮影を重ねていく中で目の開き具合を意識せずできるぐらいになろうと思いながら演じています。でも、どういうときに目がしっかり見えるようにするのかというのはあまり自分でもわかっていないんですけど(笑)」

メガネ姿のビジュアルを自分で見たときの率直な感想は「ハリー・ポッター」。昔から似ていると言われていて、本作で自分でも自覚したようだ。

「中学校ぐらいのときに私生活でメガネをかけていたんですけど、小さい頃から『ハリー・ポッターに似てるね』って言われて続けていて、今回『あ、確かに似ているのかもな』って思いました(笑)」

表情については原作の漫画も参考に。「顔のほころび具合、どこまで顔がゆるんでいるかというのは漫画を参考にしました」と明かした。

●刺激と安定、どちら優先?「今のところ…」

付き合い始めたばかりの彼女・小夜と幸せな大学生活を送っていた心だったが、ある日、元カノ・りんごが心の家に転がり込み、成り行きで同棲生活を始めてしまう。同じような状況になったら、鈴鹿はどうするのだろうか。

「その状況に出くわしたことがないのでわからないですが、僕は泊めないと思います。1回終わりにしたならお互い前に進むべきなので」



それでも、心の気持ちも理解しながら演じたという。

「そうかそうかと思いながら演じていました(笑)。鈴鹿的にはよくないと思いましたが、心くんとりんごちゃんの関係と、りんごちゃんの人間性もあるので、そうかそうかと。心くんは自分で決めないというか、人が自分より先を歩いてくれたらそれについていくところがあって、りんごちゃんがずっと走ってくれているので、そうなるよなって」

鈴鹿自身、りんごと小夜、どちらにも魅力を感じているという。

「すごく個性的な人と、穏やかで自分のことを見守ってくれる人。(どちらがいいかは)決められない。中間の人がいればいいのになって思いました」

心は刺激と安定で迷うが、鈴鹿自身はどちらが優先なのだろうか。迷いながら最終的には「安定」を選んだ。

「穏やかな生活をしたいから安定。刺激は人に頼らなくても自分から何かすれば受けられると思うので。でも、映画や音楽、本など、『これよかったよ』と言われたら見るようにしていて、すごくいいなと思う作品と出会ってきたので、刺激かもしれないです。いや、安定で! 考え出すと止まらなくなってしまうので、今のところ安定で(笑)」





また、なかなか決断できない心だが、「意外と男らしい一面もある」と語る鈴鹿。「けっこうキスシーンもあって、心くん男らしいなと思いながら演じたので、ギャップは魅力だと思います」とアピールした。

現場では、りんご役の小西、小夜役の田辺、監督たちとしっかり話し合いながら作り上げたという。「常に熱い話し合いをしています。小西さんも田辺さんも真っすぐお芝居と向き合う方で、刺激をもらいましたし、そういう時間が過ごせてありがたいことだなと。しっかりと意思疎通しながら撮影ができていて、自分の中で財産になりました」と、このドラマも鈴鹿にとって大事な作品になっているようだ。

■鈴鹿央士

2000年1月11日生まれ、岡山県出身。2016年に映画『先生!、、、好きになってもいいですか?』にエキストラとして参加。その際に出演者の広瀬すずの目に留まったことをきっかけに、2018年4月より芸能事務所フォスターに所属。同年秋、「第33回MEN'S NON-NO専属モデルオーディション」でグランプリを獲得し、専属モデルに。2019年から俳優として活動。『蜜蜂と遠雷』で映画初出演を果たし、「第43回日本アカデミー賞」をはじめ、映画賞の新人賞を5つ受賞した。その後、ドラマ『なつぞら』『おっさんずラブ-in the sky-』(19)、『MIU404』(20)、『ドラゴン桜』(21)、『クロステイル〜探偵教室〜』『六本木クラス』『silent』(22)、映画『星空のむこうの国』(21)、『バイオレンスアクション』(22)、『ロストケア』(23)などに出演。

■ドラマストリーム『スイートモラトリアム』

TBS系 毎週火曜24:58〜25:28(※一部地域を除く) 「Paravi」「U-NEXT」では各話地上波放送の1週間前毎週火曜正午に先行有料配信中。地上波放送後、「TVer」「TBS FREE」にて各話無料1週間見逃し配信あり。

(C)『スイートモラトリアム』製作委員会