運転が超ラクなミニバン!? 日産 新型「セレナe-POWER」搭載の「プロパイロット2.0」を高速道で試してみた【試乗】
アップデートした新世代日産ハイブリッドシステム「e-POWER」を辛口評論家が試す!
2022年11月、日産はミニバン「セレナ」をフルモデルチェンジし、先進運転支援機能「プロパイロット2.0」を初採用しました。
高速道路での「手放し運転」も可能とする最先端のシステムを中心に、新型セレナの性能と実力を試します。
新型セレナの発表は2022年11月に行われたのだけれど、売れ筋になる「e-POWER」(編集部注記:「シリーズ方式」に分類される、エンジンを発電専用に用いたハイブリッドシステム)モデルについていえば「少し遅れます」というアナウンスが日産からされていた。
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当初「来春(2023年春)」と発表されており、2023年3月早々かと思いきや、計画に遅れが出ていたようで、ようやく4月20日の発売ということになった。
テストコースで試乗したプロトタイプの印象は以前にお届けしたが、6月に入ってメディア向け試乗会がやっと行われたので、公道に乗ってみた際の印象について改めてレポートしてみたい。
1台目の試乗車は、高速道路でハンズフリー走行が出来る先進運転支援機能「プロパイロット2.0」搭載の最上級グレード「セレナ e-POWER ルキシオン」から。
ボタンシフトに変わったDレンジをセレクトして走り出すと、あらら! なかなかエンジンが掛からない。
先代セレナの場合、走り出してタイヤが2〜3転がりすると「ぐもももも〜っ」という音を出してエンジンが掛かった。
せっかくのモーターの静かさも、早々にエンジンの起動で台無しにしてくれるのがちょっと残念だった。
その点、e-POWERが第二世代に移行した新しいセレナに乗ると、なかなかエンジンも掛からない。
ハイブリッドの平均レベルからすると、2倍くらいモーターだけで走る感じが続く。
興味深いことに、速度上がってくるとタイヤの走行音など出てくるため、クルマ全体から発生する騒音レベルは高くなっていく。
そんなタイミングで新型セレナ e-POWERは、静かにエンジンを掛けてくる。
注意してないと「いつエンジン掛かったの?」と思ってしまうほど。
1.4リッター3気筒エンジンの振動や騒音を減らすため、バランサーを付けているから、例えエンジンが掛かっても滑らかだ。
耳で聞こえない音もけっこうあるものの、振動が少ないと騒音レベルだって下がる。
このように新型セレナ e-POWERは、先代セレナよりワンランク、いや2ランクくらい上質なパワーユニットになりました。
先代セレナはライバルのトヨタ「ノア/ヴォクシー」に負けていたが、新型同士だとセレナのパワーユニットに軍配を上げておこう。
スムーズさがアップしエンジン音も静かに
新型セレナ e-POWERで走り出してみると、ドライバビリティ(編集部注記:ドライバーの意に沿ったアクセル操作に対する応答性)が素晴らしいと気付く。
駆動系はエンジンと繋がっていないから、徹底的に滑らか。そしてバッテリーの能力をしっかり使っている。
こう書くと「ハイブリッドなんだから当たり前でしょ」と思うだろうけれど、バッテリーを頻繁に使うと寿命を縮めてしまう。
御存知の通り、バッテリーを長く使おうとしたら、なるべく負担を減らした方がいい。
だからこそ先代セレナは、すぐにエンジンを掛ける制御としていた。
街中でもバッテリーに負担を掛けないよう、エンジン回転数を上げながら発電機を回して、モーターへ電力を回していたのだ。
けれど新型は、積極的に電池でモーターを稼働させている。
おそらく先代のデータを収集し「もっとバッテリー使っても寿命は落ちない」という経験値を得たんだと思う。
発進時だけでなく、街中でアクセルを強めに踏み込んだ時だって、レスポンスのよい電気自動車のような雰囲気で、1850kgという重さを感じさせない。
絶対的な性能も上がっている。
84馬力だった1.2リッター 直列3気筒エンジンの排気量を拡大し、98馬力の1.4リッターにしたのが決定的になっていると思う。
モーター出力は、136馬力から163馬力へ飛躍的にアップした。
詳しい数字は未公開なので不明ながら、ごく短時間に限り98馬力のエンジン出力に電池から60馬力以上のパワーを引っ張り出して上乗せしているのだろう。
このようにセレナのe-POWERは、モデルチェンジで大きく進化しました。
最新「プロパイロット2.0」を新東名で試す!
高速道路などでの巡航時は、エンジンで発電した電力でモーターを駆動しているが、その時のエンジン出力に余裕があるらしく、新東名高速道路(静岡県)の最高速度120km/h区間だって静かだった。
この新東名でプロパイロット2.0を試してみたが、もはや快適至極の楽チンチンです!
ハンズフリーのまんま、正確に車線をトレースしていく。
少しでも脇見をするとすぐ監視カメラで警告されるが、前さえ見ていれば(寝てもダメ)、何の操作もせず走れてしまう。
そうそう、プロパイロット2.0には、車外からクルマを前後に動かせるラジコン機能の「プロパイロットリモートパーキング」が付く。
実際に試してみたところ、とてもスムーズに動く。左右にクルマをギリギリに止められちゃった時なんか、最高に便利だ。
これは文字だと説明しにくいため、ディーラーで実際に確かめて頂きたい。
なお新型セレナでプロパイロット2.0が欲しいなら、e-POWER ルキシオンを選ぶしか無い。
先進運転支援機能がすべて標準装備されることもあり、価格は479万8200円(消費税込み、以下同)と少しお高めだ。
プロパイロット2.0もリモートパーキングもどちらも不要という人は、普通のセレナ e-POWERをどうぞ。
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ということで、普通の新型セレナ e-POWERの売れ筋である「e-POWER ハイウェイスターV」にも乗ってみた。価格は368万6100円(FF)です。
前述の通り、プロパイロット2.0などの専用装備が無いことと、シート地やインテリアなど若干違うのを除けば、試乗した印象はe-POWER ルキシオンとほとんど同じだと思っていい。
こちらでは一部がオプションとなる先進装備類(“2.0”ではない「プロパイロット」や、セット装備されるナビなど)を揃えてみたときの、e-POWER ルキシオンとの実勢価格差は、おおよそ50万円といったイメージ。
この辺りは御予算に応じて考えたい。
ちなみに新型セレナのe-POWERで街中や休日のドライブをした時の実用燃費は、16km/L前後を考えておけば間違いありません。