映像ストリーミングサービスのNetflixはアカウントの共有、いわゆる「タダ乗り」を取り締まるために、アカウントを共有して不正にコンテンツを視聴するユーザーに料金を支払わせるための機能を試験運用してきました。このアカウント共有の取り締まりが、アメリカを含む世界各地で正式にスタートすることが発表され、ユーザーの元には「他人とパスワードを共有するな」というメールが送信されはじめています。

Update on Sharing - About Netflix

https://about.netflix.com/en/news/update-on-sharing-may-us



Netflix's password sharing crackdown officially hits US users

https://finance.yahoo.com/news/netflixs-password-sharing-crackdown-officially-hits-us-users-183143562.html

Netflix’s password-sharing crackdown is here - and it costs $7.99 per month - The Verge

https://www.theverge.com/2023/5/23/23734725/netflix-password-sharing-us-pricing-streaming

Netflix begins its password sharing crackdown in the US and global markets | TechCrunch

https://techcrunch.com/2023/05/23/netflix-begins-its-password-sharing-crackdown-in-the-u-s/

Netflixは元々、家族など一緒に住んでいる人とのアカウント共有を認めており、2022年12月時点でのサインアップ画面にもその旨が明記されていました。しかし、実際には同居人以外とアカウントを共有することで、Netflixの月額使用料を支払わずにコンテンツを視聴し放題になっているユーザーも多く、これはNetflixにとって大きな問題でした。



そこで、Netflixはタダ乗りユーザーに正規の使用料を支払わせるために、家族以外とアカウントを共有できるようにするためのサブアカウント追加機能およびプロフィール移行機能を導入しました。サブアカウント追加機能は1アカウント当たり月額7.99ドル(約1100円)が必要になるという有料のサービスです。

Netflixが新機能「プロフィール移行」を発表、パスワード共有を取り締まる狙いか - GIGAZINE



そして現地時間の2023年5月24日、Netflixが「アメリカで家族以外とNetflixアカウントを共有しているユーザー」に対して、アカウント共有を止めるよう促すメールを送信したと発表しました。

ユーザーに送信されたメールのスクリーンショットが以下で、「あなたのNetflixアカウントは、あなた自身と同居人のためのものです。あなたは旅行先であっても、あなた自身の持つ端末やホテルにあるテレビなどで簡単にNetflixを視聴できます」と記されていますが、同時に「もしもあなたがNetflixを同居人以外と共有したい場合には、あなたはサブアカウント追加機能やプロフィール移行機能が使えます」と、同居人以外とのアカウントを共有する場合には、プロフィール移行を使って全く別のアカウントを作成するか、7.99ドルの追加料金を支払いサブアカウントを追加することを推奨しています。



具体的には、月額1490円のスタンダードプランの場合、月額7.99ドルでサブアカウントを1つ追加することが可能。最大4K解像度での視聴が可能になるプレミアムプラン(月額1980円)では、サブアカウントを最大2つまで追加可能で、この場合も必要な金額は1アカウントあたり月額7.99ドルとなります。なお、広告付きスタンダードプラン(月額790円)およびベーシックプラン(月額990円)ではサブアカウントの追加は不可能です。

Netflixは、アカウント共有が許される「同居人」を、IPアドレス、デバイスID、アカウントアクティビティなどの情報を使用して識別すると説明しています。

Netflixはラテンアメリカ市場でアカウント共有の取り締まり機能を試験導入しており、その後、2023年初頭にカナダ、ニュージーランド、ポルトガル、スペインでも同様の機能を拡大していました。海外メディアのTechCrunchによると、5月24日からはアメリカ、ブラジル、ボリビア、ベリーズ、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、イタリア、フィリピン、マレーシア、イスラエル、タイ、台湾、スイス、スウェーデンなどを含む、より広範な世界市場でアカウント共有取り締まり機能が導入されることとなるそうです。

なお、Netflixが一部の地域でアカウント共有取り締まり機能を導入しただけで、ユーザー数が100万人以上減少したことが報告されています。

Netflixがパスワード共有による「タダ乗り」を取り締まった結果ユーザーが100万人以上減少、解約者は前年同期比の3倍に急増 - GIGAZINE