近年、子育て世代の女性を狙った悪質な勧誘が増えています。ESSE読者282人に「今までに怪しい宗教やマルチ商法、儲け話やセミナーなどに誘われた経験はありますか?」という質問をしたところ、「はい」と回答した人は59.2%にも上りました。今回は保険や宗教、協会商法などの勧誘を受けた人たちの体験談をご紹介します。

“ママ起業”のため10万円を超えるセミナーに!?

子育て中のママたちは、寝不足や忙しさが続いて判断能力が通常時よりも低下しているケースが少なくありません。

そんななか、子どものためにお金が必要、ママ友と子育て情報を共有し合いたいという気持ちにつけこむ悪質な勧誘の実態とは?

●エステに保険…。断りにくいママ友からの勧誘

「子どもの習い事で親しくなったママ友にエステに誘われ、つき合いで行ってみたところ高額な美容機器を売りつけられそうになりました。断った後は遊びの誘いもなくなり、疎遠になりました」(福島県・34歳)

「怪しい勧誘というほどではないのですが、友達だと思っていたママ友から保険の勧誘をしつこく受けました。全人類が入った方がいい保険だし、詳しく話をしたいから都合のいいとき教えてと言われたときは、思わず引いてしまいました」(北海道・32歳)

この方は「そんなにいい保険なら、当然もう入ってるんだよね?」とご本人に聞いたところ、「これから入るつもり」と言われてドン引きしたそう。
「全人類が入った方がいいと豪語して勧誘してるんなら今すぐお前が入れよ! と心の中で突っ込んでしまいました」

●宗教や「水」も。子育て中の女性がターゲットに

「子どもとスーパーに行ったとき、駐車場で突然、見知らぬ女性から声をかけられました。子育てイベントとのこと。見知らぬ人からの誘いなので、なんとか理由をつけて断りました。案内のチラシをもらったので後から調べると、宗教関連の子育てセミナー。子育てイベントは自治体主催のものにだけ参加するようにしました」(和歌山県・37歳)

「友人の話ですが、幼稚園のママで少し親しく話すようになった人から、おいしくて健康になれる水(まったく聞いたことのない銘柄)の定期購入に誘われたと聞きました。とても熱弁されて、なんとなく嫌な感じがしたらしく、私にも『注意した方がいいかもよ』と教えてくれました」(東京都・40歳)

●もうママ友じゃない!教祖の絵画・写真展に誘われて

「ほとんど友達がいない私ですが、子どもが仲よくしている友だちのママに『ランチでも…』と誘われ、二つ返事でホイホイついて行きました。何度目かのランチのとき、絵画展に行きたいと言われ一緒に行ったら、それは宗教の絵画・写真展。教祖の撮った写真や絵画が展示されていて、すぐにおかしいと気がつきました。すごく引きましたが、その場ではなにも言えず無言で帰りました」(47歳・北海道)

このママ友は、その後、その宗教関連の新聞の購読も勧めてきたとのこと。

「夫の仕事柄、今読んでいる新聞しかダメなのですみません」と嘘をついてお断りしたらそこからはもうお誘いはなくなったといいます。
「ほかの友人にも相談して、危険とのアドバイスもあり距離をおきました。慣れているのか先方も察してもう誘われる事はなくなりました」

怪しいものに勧誘をしてきた以上、友だちづき合いを無理に継続させないという選択もありかもしれません。

●ショッピングモールや公園で疲れたママが狙われる

「上の子が赤ちゃんの頃、疲れきった顔でスーパーで買い物していたときのこと。優しそうなおばさんに『子育ての相談ができる集まりがある』と声をかけられました。ママ友からそういう風に宗教勧誘をされることがあると聞いていたので、かわすことができました。その後もショッピングモールや公園で同じような声かけをよくされます。子育てに疲れたママを狙っているのかな」(兵庫県・37歳)

子どもが生まれるまでは勧誘なんて受けたこともなかったのに、子連れだとやたら声をかけられてしまうようになったという人もいました。子育て中のママたちは、ターゲットにされやすい傾向があるようですね。

●ママたちを狙う高額セミナーの実態

「子育て中のママでも起業できるというセミナーに興味があり、出かけたことがあります。今思うと、参加者はお互いのセミナーに行き、お金をやり取りしている感じ。セミナーの代金も2時間で5000円と高く、そのうち30分は近所のカフェで買ってきたパンをみんなで食べながら雑談するようなものでした。まったく身にならなかったけれど、ほかの人はさらにステップアップしたセミナーも受けると言って10万円くらいする講座に申し込んでいてびっくり」(東京都・41歳)

インストラクターや講師などの民間資格を取ることで、ママでも起業できると謳った協会商法も、近年子育て中のママたちの間で問題になっています。仲間内だけで集合写真を撮り、SNSなどを通じた泥臭い営業をしながらお客さんとお金をぐるぐる回し合っているようなケースも。

商材がものから情報に変わってはいるものの、その構造はほとんどネズミ講と同じ場合があるので注意が必要です。

●デジタルタトゥーという新たなリスクの懸念も

時代に合わせて巧妙なアップデートを繰り返している怪しいビジネス。

SNSから声がかかるケースもあり、「親がネット上に顔を出すのは自己責任ですが、子どもの写真まで使ってしまうと、デジタルタトゥーとして残ってしまうので心配になる」という声も。SNSでの顔出しや住んでいる場所を知られそうな投稿内容にも注意が必要です。

リスク管理が「自己責任」とされる時代だからこそ、家族や子どもを守るために、怪しいビジネスや勧誘活動をしている人からは距離を置くのがいちばんです。