小江戸「川越」 、住むならどの駅? 蔵造りの町並みと利便性が共存する川越市の住宅事情
江戸時代に川越藩が置かれ、城下町として発展した川越は、江戸の風情があることから「小江戸」とも呼ばれ、観光スポットとしても人気があります。今回は、川越市の魅力と住宅事情を紹介します。
かつての一大商業地が、首都圏のベッドタウンとして発展
川越市は、武蔵野台地の東北端である埼玉県の中央よりやや南部に位置しています。江戸時代には江戸と川越街道で結ばれた交通の要衝となり、新河岸川の舟運を利用した物流の集散地として発展。「江戸の台所」と呼ばれ、商人の街として栄えました。
明治の近代化以降、街はさらに成長し、1895年には川越駅(現在の西武新宿線本川越駅)が開業。1915年には、東上鉄道(現在の東武鉄道)の川越西町駅、1940年にJR川越線川越駅が開業。1922年には、埼玉県内として初めて市制がスタートしています。
川越市は、2022年に市制施行100周年を迎え、埼玉県内で3位となる35万人超の人口を誇る大きな街となりました。埼玉県南部の商業の中心として発展し、高度経済成長期に川越狭山工業団地、富士見工業団地、川越工業団地の工業誘致も進み、内陸型の工業都市としての産業基盤も確立されています。
また、サツマイモをはじめとした商品作物などを生産する近郊農業も盛んで、交通の利便性を生かした流通業、伝統に培われた商工業、豊かな歴史と文化を資源とする観光など、さまざまな都市機能を有しています。
東京から40キロメートル圏に位置していることからベッドタウンとしての一面も。1922年に約3万1,000人だった人口は、高度経済成長期に流入が進み1955年には10万4,612人に。そして2023年3月1日時点で35万2,824人を擁する街へと大きく成長しています。
【川越市のデータ】
総面積…109.13平方キロメートル
人口…35万2,824人(2023年3月1日時点)
世帯数…16万5,754世帯(2023年3月1日時点)
市内にある川越駅は、都心へアクセスしやすく、住宅地としての注目度も増す埼玉の観光都市として、「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2023」の第8位に選ばれています。
詳しくはこちら:【本当に住みやすい街大賞2023】第8位 川越:都心へアクセスしやすく、住宅地としての注目度も増す埼玉の観光都市
歴史・文化が継承される街
川越市の歴史を象徴するのが、小江戸川越一番街商店街にある蔵造りの町並みです。江戸時代に道路が整備され、武家地、寺社地、町人地などに居住エリアが区分。札の辻を中心とする場所に市街地が形成されました。明治以降には、蔵造りの町家や西洋文化の影響を受けた近代洋風建築も誕生。こうした歴史の趣を感じさせる建物の多くが今も残り、特徴的な景観をつくっています。
この地域の象徴として、受け継がれているのが時の鐘です。時の鐘は、江戸時代に川越城主酒井忠勝が、現在の場所に建てたものが最初と言われています。現在の鐘楼は、1893年に起きた川越大火の翌年に再建されたもの。1日に4回、自動鐘打機による鐘つきが行われており「残したい“日本の音風景100選”」にも選ばれています。
また、川越市内には川越氷川神社や川越熊野神社、川越八幡宮、川越大師喜多院など、歴史ある寺社仏閣も多くあります。喜多院は、江戸時代に寺勢をふるい川越大火で多くが消失するなかで、江戸城の別院が移築されるなど早期に復興。客殿(徳川家光公誕生の間)や書院(春日局化粧の間)などがあり、大火に見舞われた江戸城の遺構として国の重要文化財にも指定されています。
川越が小江戸と呼ばれる理由は、江戸情緒を残す蔵造りの町並みだけではありません。毎年、10月に行われる川越まつりは、「江戸の天下祭」の影響を強く受けて発展したものです。
川越まつりの当日は、山車の上で笛・太鼓や踊り手によるおはやしが行われ、山車が小江戸川越の象徴である蔵造りの街並みを中心に、市内を練り歩きます。この行事は「川越氷川祭の山車行事」として、2005年には国の重要無形民俗文化財に登録され、2016年にはユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」にも登録されています。
東京都心へも直通アクセス 川越駅、本川越駅中心に街が発展
川越市内にはJR川越線、東武東上線、西武新宿線の3つの鉄道路線が通っており、それぞれ都心へダイレクトに結ばれています。その中心駅となるのが、西武新宿線の本川越駅、東武東上線・JR川越線の川越駅、東武東上線の川越市駅の3駅。市内の中心にあり、3駅は歩いても往来できる近さです。
西武新宿線の本川越駅からは、所沢駅経由で新宿方面や池袋方面へアクセス。JR川越線の川越駅からは、大宮駅を経由し池袋方面や乗り換えで東京駅方面へもアクセスできます。また、東武東上線の川越駅(川越市駅)からは、池袋へ直通。東京メトロ有楽町線への乗り入れなどもあります。
川越駅から池袋駅へは、東武東上線急行利用により30分台でアクセス可能。埼玉県内で駅利用者が最も多いJR大宮駅へも30分程度でアクセスできます。また、西武新宿線本川越駅からは、再開発が進む所沢駅へ約20分。高田馬場駅や西武新宿駅へもダイレクトにアクセスできます。
2015年国勢調査によれば、15歳以上の就業者・通学者の通勤通学の状況では、川越市内への通勤通学者の割合が43.8%、そのほか埼玉県内への通勤通学者の割合が28.5%、東京都への通勤通学者の割合が18.3%となっています。
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川越駅 / 本川越駅 / 川越市駅
商業施設や商店街が日々の暮らしを支える
川越市の魅力は、買い物利便性の高さです。2021年に実施された、第14回川越市市民意識調査によれば、「食料品等の日常の買い物で不便を感じていますか」の質問に対し、不便を感じていないと答えた人が77.9%にも上ります。本川越駅や川越駅には、商業施設や商店街のお店などが集積しています。また、そのほかの市内にある駅も、駅中心に店舗が集まっている街が多いことも買い物利便性の評価が高い理由でしょう。
川越駅から本川越駅へ向かって歩くと、この街で豊かなライフシーンが描けることを実感します。川越駅前には、東武ストアの入る商業施設川越マインやペデストリアンデッキで駅に直結している複合商業施設アトレ川越が立地。さらに駅上にあるEQUiA川越、西口に直結するルミネ川越など、商業施設が豊富にそろっています。
また、本川越駅には、ショッピングモール西武本川越ぺぺが直結。駅前には、マンション一体の商業店舗としてオープンしたイトーヨーカドー食品館川越店が立地します。
川越駅と本川越駅周辺の、2つの商業ゾーンを結ぶのが100を超える多くの店舗が並ぶクレアモールです。商店街の中には、地域密着を掲げる丸広百貨店が立地。街路には、ファッションやリビング、グルメなどの多彩なお店が出店しているほか、アミューズメント施設や医療施設も点在しています。道路幅がほどよい広さで、左右に立ち並んでいるお店に気軽に入りやすいのも魅力。大手のチェーン店だけでなく、地域に根差したお店も多く見かけます。
また、川越駅の西口では、ヤオコーなどの入るウニクス川越やU_PLACEといった商業施設も新たにオープン。川越駅周辺の商業利便性は、大きく高まっています。
こうした商業施設は、市内のほかの駅にも。川越線の南古谷駅前には、多くのお店が出店するウニクス南古谷、的場駅には、ヤオコーをはじめとする専門店が入るザ・マーケットプレイス川越的場が立地します。
豊富な自然を身近に感じられる街
入間川や伊佐沼など豊かな自然が身近にあるのも川越市で暮らす魅力です。川越水上公園を含む川越公園の広さは約44.6ヘクタール。入間川の右岸に位置し、川越市の市街地からは西へ約3キロメートルの距離にあります。夏に利用できる6種類のプールのほか、桜並木や秋の紅葉など、1年を通じて楽しめる場所です。
また、伊佐沼公園は、伊佐沼のほとりにある風致公園で、子どもに人気のフィールドアスレチックスや広場、野外ステージなどもあります。こちらも桜の名所として名高く、春には伊佐沼の歩道沿いに植えられた桜の鑑賞に多くの人が訪れます。
入間川や荒川の河川敷では農業が営まれており、水田耕作地域では米や麦、畑作地域ではカブやホウレンソウ、サトイモなどが栽培されています。
第14回川越市市民意識調査によれば、「農業を身近に感じますか」の質問に対し、身近に感じると答えた人が61.4%にも。農産物直売所が市内に多くあるほか、川越市の学校給食では、こうした川越市内の農作物の利用を推進しています。自然が豊かなだけでなく、地域で育てられた新鮮な野菜が手に入りやすいのも川越市に住む魅力と言えるでしょう。
国公立・私立の有名大学の受験合格者が多く、進学校として知られる川越高校や川越女子高校など公立の教育機関も充実しており、子育て環境も良好な街と言えそうです。
なお、2022年4月1日時点の川越市の待機児童数は8人。埼玉県内3位の総人口であることをふまえると、比較的保育所などを利用しやすい街と言えるかもしれません。
川越駅周辺でマンション分譲が活発化 再開発タワーの分譲も
続いて川越市の住宅事情を見てみましょう。川越市内の駅利用者は、川越駅と本川越駅が圧倒的に多く、新築マンションの分譲もこの2駅が中心になっています。2022年には、川越駅の西口駅前に地上25階建てのタワーマンション「ザ・パークハウス 川越タワー」が分譲され早期に完売になりました。
川越市は、歴史ある街並みが保全されていることもあり、中心市街地で広大なマンション用地を確保することは容易ではありません。必然的に中規模マンションや新築戸建ての分譲が住宅分譲のメインとなります。
戸建ての分譲は、川越駅周辺を含め活発です。東武東上線の霞ヶ関駅やJR川越線の南古谷駅などの戸建てエリアでは、3,000万円台の予算で購入可能な駅徒歩圏の戸建ても少なくありません。西武新宿線の南大塚駅のように、本川越駅から1駅のところで新築戸建てが2,000万円台から検討できる場所も。予算重視で、車通勤であれば戸建てを検討するのも良いでしょう。
東京通勤でおすすめは川越駅・本川越駅 中古マンションはまだ値頃感あり
東京通勤で、川越市で住まいを選ぶなら、通勤利便性や生活利便性の良いJR川越駅、西武新宿線の本川越駅がおすすめです。所沢や大宮といった埼玉県内有数の商業エリアへもアクセスが良く、池袋・西武新宿方面へのアクセスも良好。川越市駅を含め、3駅は徒歩で往来できる近さなので、JR川越線、西武新宿線、東武東上線といった3路線を使い分けることができます。また川越インターチェンジも近くにあり、家族で行楽や旅行に行くのも便利でしょう。
新築マンション価格は上昇傾向にあり、70平方メートル台の3LDKタイプでは、5,000万円程度の予算は見ておいたほうが良いでしょう。一方、中古マンションは新築マンションほど上昇が見られず、3LDKタイプなら3,000万円台で十分検討可能です。新築マンションと中古マンションを一緒に検討することをおすすめします。
新築戸建ては3,000万円台から分譲されていますが、立地によっては6,000万円台を超える価格帯のものも。駅徒歩10分圏内で検討するのであれば、ある程度の予算は必要になります。
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川越駅 / 本川越駅 / 川越市駅
歴史や文化を継承し子育て環境も良好な川越市ですが、入間川や荒川などの河川の洪水リスクは、留意すべきポイントです。川越市が提供している洪水ハザードマップをよく確認しましょう。なお、川越駅や本川越駅などの中心市街地周辺はやや高台にあり、洪水リスクは小さくなっています。また、多くの観光客が訪れるためか、道路渋滞が発生しています。都市計画道路の整備も進んでいると言えない点も、川越市の今後の課題となっています。
川越市発表の2022年の川越市観光客数は、コロナ禍にもかかわらず550万人を超えています。城下町として発展し、歴史を継承しつつ生活利便性も高い川越市。街の観光スポットを見学しながら、訪ねてみてはいかがでしょうか。
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