香ばしい匂いは多分しない。

今後もバイオ燃料の研究は継続

 アストモスエネルギー(アストモス)と日本郵船は2023年3月6日、LPG(液化石油ガス)燃料船「LYCASTE PEACE(リカステ ピース)」で、脂肪酸メチルエステルを利用したバイオ燃料をシンガポールで補油し、試験航行を終えたと発表しました。


実験でバイオ燃料を使用したLPG船「リカステ ピース」(画像:日本郵船)。

 今回の実験は、船舶用バイオ燃料のサプライチェーン確立を目指すプロジェクトの一環として行われました。海運業界の脱炭素化を目指し、シンガポールのNPO法人が主導しています。

 バイオ燃料の生産地から補油地であるシンガポールまでの輸送や、通常燃料との混合、そして混合燃料の管理を検証。バイオ燃料は、二酸化炭素は発生しますが、廃食油等が原料となっているため、カーボンニュートラルと見なされており、脱炭素に向けて有力な次世代燃料の候補のひとつとされています。試験航行で収集したデータは、今後のバイオ燃料の航行に向けて取り組みに生かすとのこと。

 当プロジェクトは、2022年7月末に初めて発表され、アストモスと日本郵船のほか、オイルメジャーや大手海運会社など19の業界パートナーが参加し、コンテナ船、タンカー、ばら積み船などの13隻の船舶が5つのサプライチェーンで補油を行いました。

 この試みは、バイオ燃料のサプライチェーンの透明性を確立することで、より信頼できる燃料として広く採用されることを目指しているそうです。これは、今後の普及が見込まれているアンモニアといったバイオ燃料以外の次世代燃料におけるサプライチェーンの透明性確立を見越した取り組みでもあります。

 今後も両社は、船舶用の次世代燃料についてサプライチェーンの透明性を確立する取り組みに協力していくとのことです。