豊洲〜住吉間を結ぶ「豊住線」の着工に向けた手続きが進む中、江東区が沿線まちづくりに本腰を入れ始めました。区がまとめた「地下鉄8号線沿線まちづくり構想」の素案では、沿線5駅の将来イメージが示されています。今後、沿線はどのように変化していくのでしょうか。

「枝川新駅」周辺を皮切りに区が「まちづくり方針」策定へ

 豊洲駅から東陽町駅を経由して江東区内を南北に縦断し、住吉駅までの約5・2キロを結ぶ地下鉄の新線「地下鉄8号線」、通称「豊住線」の事業がいよいよ動き出しています。

 江東区には現在、南北を縦断する鉄道路線がなく、バス輸送に頼る状態。また、2つの新駅予定地は半径800メートル以内に駅がない鉄道空白地帯となっており、この解消も課題となっていました。このため豊住線は「悲願」とも言える路線で、着工に向けた都市計画手続きが進む中、区が沿線のまちづくりにも本腰を入れ始めました。今後、沿線はどのように変化していくのでしょうか。


東京メトロ10000系(画像:写真AC)。

 豊住線には東京メトロ東西線と接続する東陽町駅のほかに、途中駅として枝川駅(仮称)と千石駅(仮称)の2つの新駅が設けられます。

 昨年末、区は「地下鉄8号線沿線まちづくり構想」の素案を公表。新駅を含む5駅を対象に、目指すべき街の全体イメージを提示しました。来年度予算案には「地下鉄8号線沿線まちづくり推進事業」として3556万円を計上。まずは枝川新駅周辺を対象に、個別の「まちづくり方針」の策定に向け、まちづくり協議会の設立などを実施するとしています。区はこれを皮切りに、他の駅周辺地域でもまちづくり方針を策定する予定です。
 
「沿線まちづくり構想」によると、人口や訪問者が増加傾向にある豊洲駅の将来イメージには、舟運の活性化や次世代モビリティなどによって回遊性向上を図る方針が盛り込まれました。
 
 次に枝川新駅は、駅設置に伴う土地利用転換を見据え、商業施設などの誘導を目指すとしています。東陽町駅は、再開発などによって街区の更新を進め、駅周辺の商業・業務機能を更新することを明記しました。

 また、千石新駅は「下町情緒」を保全した定住拠点をめざし、住吉駅は、水辺の散歩道や乗船場を活用して回遊性を高めていく方針です。
 
 江東区は新線のまちづくりだけでなく、延伸に向けた機運醸成にも力を入れる方針です。来年度予算案では、先述の「まちづくり推進事業」とは別の「地下鉄建設促進事業」に218万円を充て、啓発発動の一環として電車運転シュミレーター設置を計画しています。