「京浜のジェットカー」見納めか JR南武支線の“爆速仕様”205系 転属のE127系は…?
新潟地区で使われるE127系が、JR南武支線に転属することが発表されました。すると気がかりなのが高加速力な205系の去就です。2両編成のどちらもが電動車のため、発車の際はスーッと体が引っ張られます。
国鉄型…なのか?
JR東日本は2023年度内に、JR南武支線(浜川崎支線:尻手〜浜川崎)へ新潟地区で使われたE127系電車を転属・投入すると発表しています。同支線では205系電車1000番台が使われていますが、これが置き換えられるのです。
JR南武線の浜川崎支線で使われる205系電車1000番台(画像:photolibrary)。
この南武支線の205系は加速力が高いことでも知られます。停車状態から発進、そして一定の速度に達するまでに要する時間が短いわけです。2両編成の両方が電動車であり、付随車と呼ばれる、電動車に牽引される車両がないことが、その理由のひとつです。
こうした加速に優れた車両といえば、阪神電鉄の「ジェットカー」が挙げられます。その加速力は4.0km/h/s〜4.5km/h/s(数値が大きいほど加速力が高い)。一般的な通勤形電車が2.5km/h/s〜3.0km/h/sなので、実に1.5倍の加速力といえそうです。
では南武支線の205系はどのくらいでしょうか。運転台の速度計を観察すると、20km/hに達するまで5〜6秒ほどでした。加速力を計算すると約3.6km/h/s。ジェットカーには及ばずとも、一般的な通勤形電車よりは速いことが分かります。実際に乗車すると、スーッと体が引っ張られるのを体感できます。
しかし今後導入されるE127系の編成の内訳は、電動車+付随車です。加速力は2.0km/h/s。JR東日本は「現在運行している205系よりも省電力で運行できる」としていますが、ジェットカー気分は味わえなくなってしまうのでしょうか。
ただし、E127系の導入予定数は4両(2両×2編成)です。現在205系は6両(2両×3編成)が在籍しているので、1編成は残る可能性があります。
なお南武支線の205系は、もともと山手線と中央・総武線各駅停車で使われた車両を改造したものです。205系は国鉄型に分類されますが、南武支線用に改造されたのは2002(平成14)年のこと。JR化後に誕生した国鉄型という、奇妙な経歴の持ち主です。