海上保安庁と『ゴジラ』って第1作からの旧縁です。

小笠原諸島南方にある世界最大の「メガムリオン」

 海上保安庁は2023年2月14日、世界の海底地形名を標準化するための学術的な国際委員会「海底地形名小委員会(SCUFN)」において、日本が提案した海底地形名14件が承認されたと発表しました。


2021年3月に就役した海上保安庁最新の測量船「光洋」(画像:海上保安庁)。

 今回、承認された名称は、我が国が提案し、前回のSCUFNにおいて承認された「ゴジラメガムリオン地形区」の中にある特徴的な海底地形を、今度は細かくゴジラの身体部位に見立て、腕(アーム)、脚(レグ)、尾(テール)などと付与したものです。

 これらの海底地形名は、今後、国際水路機関(IHO)やユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)などが作成する国際的な海底地形名集に掲載されることで世界中に周知され、地図・海図や論文などで使われることになります。

 そもそも「ゴジラメガムリオン地形区」のメガムリオンとは、海底拡大に伴う大規模な正断層に伴い、海底面にマントル物質などが露出したドーム状の高まりのことです。特徴は表面に畝状の構造を持つことです。

 ゴジラメガムリオン地形区は、東京から約2000km南のフィリピン海プレート上にあり、2001(平成13)年、日本政府が実施した大陸棚を画定する調査の際に、沖ノ鳥島の南東方で発見されました。その面積は東京都の約3倍、ほかのメガムリオンと比べても約10倍あり、現在見つかっているメガムリオンの中で地球上最も大いものであることから、東宝映画の怪獣『ゴジラ』の名が引用され、命名されています。

 海上保安庁によると、世界に分布するメガムリオンの中で、名称が国際的に登録されたのは、このゴジラメガムリオン地形区が初めてだそう。ゆえにゴジラメガムリオン地形区は海洋科学において非常に重要な研究対象であり、日本を中心とする国際的研究グループによる調査により、フィリピン海プレートの組成・構造に関する重要な研究成果が得られているといいます。