誰もが直面する「結局どのMac買えばいい?」問題。ITオンチでもすっきりわかる、自分に最適なモデルの見つけ方
初めてMacを購入する、またはMacを買い替えたいと思ったときに、誰もが直面する「どのMacを買うか?」という問題。特に現状のMacのラインナップは一見するとかなり複雑だ。それでも簡単に自分に最適なモデルを見つけることができるポイントがあるという。
現行のMacは6シリーズ
通称"Mac"と呼ばれるApple社のパーソナルコンピュータには、現在6つの製品シリーズ(製品名)が存在します。ノートブック(ノート型パソコン)の「MacBook Air」と「MacBook Pro」、そして"デスクトップ"と呼ばれる据え置き型の「iMac」「Mac mini」「Mac Studio」「Mac Pro」です。
さらに、ほとんどのシリーズには仕様の異なる複数のモデルが存在します。MacBook Airは2モデル、MacBook Proは5モデル、iMac、Mac mini、Mac Studioはそれぞれ2モデル、Mac Proは1モデルです。
これだけモデル数があると、特にMacやコンピュータそのものに詳しくない人はどれを買えばいいか迷ってしまうかもしれません。しかし、実は現行Macは、製品の棲み分けがハッキリしているので、いくつかのポイントを押さえれば、モデル選びは簡単に行えます。
あなたにとってのMacは"プロの道具"?
1つ目のポイントとなるのは、「あなたがプロフェッショナルであるかどうか」。言い換えれば「職業的または専門的にMacにパワーを求めるか否か」です。
たとえば、映像編集や3Dデザイン、機械学習、ゲーム開発といった分野でクリエイティブワークを行い、1分1秒の処理性能が生産性の面でとても重要になるという人は、ノート型でいえばMacBook Pro、デスクトップでいえばMac Studio、Mac Proが選択肢となります。
一方で、そうした用途に使用しない大多数の人にとっては、その3製品を除外したMacBook Air、iMac、Mac miniが自然な候補となります。
コンピュータの性能が私たちが普段行う作業に追いついていなかった時代は、動画編集などのちょっとしたクリエイティブワークだったり、仕事や趣味でバリバリ使ったりする際に、安価なノートブックやデスクトップでは心許ない場合もありました。
しかし、現在のMacはもっとも安価なモデルであっても“普通の人が普通の用途に使う”にはオーバースペックと言えるほどの性能を持ち合わせています。ですから、限られた"プロの道具"を求める人以外は、MacBook AirかiMac、Mac miniから製品選びをすれば問題ありません。候補が3製品に絞れれば、だいぶモデルを選びやすくなるでしょう。
ひと昔前までは一般的な用途でも購入する人が多くいた「MacBook Pro」は年々、一般ユーザには高スペックすぎる製品に。今年1月には、よりパワフルなチップを搭載した新モデルも登場した
M1 MaxまたはM1 Ultra搭載の「Mac Studio」は、高いパフォーマンスと幅広い拡張性をコンパクトボディに凝縮したプロ向けマシン
多くの人にとってのファーストチョイスとなるノートブックは、M1またはM2を搭載した「MacBook Air」。写真や動画、3D、イラストといった負荷の高いクリエイティブワークも快適に行える
デスクトップのファーストチョイスとなるのは、カラフルな7色から選べるiMac(写真上)とMac mini(写真下)。今年1月にはM2チップを搭載したMac miniがリリースされた
ノートブックか、それともデスクトップか?
自分の求めるMacがMacBook Air、iMac、Mac miniの3製品に絞り込めたら、次に判断したいのが「ノートブックか、デスクトップか」です。
これは「Macをどのように使いたいか」を想像すれば、たやすくわかります。外出先でも持ち運んで使うならMacBook Air、自宅や職場などの決まった場所のみで利用するならiMacまたはMac miniです。
ただし、少し注意したいのは、外出先に持っていく頻度が少ない場合です。
たとえば1ヵ月に一度、または数回しか外出先で使わないのであれば、その際は一旦Macではなく、iPhoneやiPadなどの別のデバイスで補えないかを考えてみましょう。そしてそれが可能な場合は、より画面の広いiMacやMac mini(+外付けディスプレイ)を選んだほうが満足度は高くなるかもしれません。
もしくはMacBook Airをチョイスしたうえで、自宅などでの作業にもっと広い画面が欲しくなったら、別途MacBook Airに外付けディスプレイを接続して利用するのもよいでしょう。
MacBook AirはUSBやThunderbolt接続の外部ディスプレイなどに接続して、作業スペースを拡大できる
エントリーモデルでも「十分すぎる性能」
ノートブックかデスクトップかが決まったら、それに応じてモデル選びをしていきます。
まずMacBook Airに関しては「M1か、M2か」が判断の分かれ目。「M1」や「M2」はMacに搭載されているチップの名称で、これによってコンピュータの性能を左右するCPUやGPUなどの性能が異なります。
M1よりもM2のほうが新しく高性能で、おそらく将来的にはM3、M4…と進化していくと見られます。なお、MacのチップにはM1をさらに高性能にした「M1 Max」や「M1 Ultra」、M2をさらに高性能にした「M2 Pro」「M2 Max」も存在しますが、これらのチップが必要なのは先に述べた"プロの道具"が必要な人に限られるでしょう。
今年1月には最新のチップとなる「M2 Pro」「M2 Max」が発表された。しかし、大多数のユーザにとってはオーバースペックといえる
最低限知っておきたい知識としては、M1やM2と呼ばれるチップは、Appleが自社開発したものであるということ。そして、その性能は従来の常識を覆すほど画期的で、2020年11月のM1搭載MacBook Air発表時は「過去1年間に販売されたWindowsノートパソコンの98%が搭載しているチップよりも高速」とAppleが発表しています。1世代前のMacと比べても、CPUは最大3.5倍、GPUは最大5倍の速さでした。
そして、2022年にリリースされたM2は、M1と比べてさらにCPUが18%、GPUが35%パワフルになっています。このことだけを聞いても、いかに今のMacがエントリーモデルでも日常生活のあるゆるシーンで十分すぎるパフォーマンスを発揮するかがわかってもらえると思います。
「M1」チップのCPUパフォーマンスは、当時の最新Windowsマシンに搭載されるチップよりも遥かに優れていることで話題となった
チップの違い以上に大事な仕様
現行のMacBook Airを選ぶ際は、チップの性能差よりも「サイズ」「本体カラー」「フロントカメラ」「ディスプレイ」「MagSafeポート(充電ポート)搭載」の面で比較検討するのがいいでしょう。
サイズに関しては微差ですが、本体カラーはM1搭載モデルがゴールド、シルバー、スペースグレイの3色展開ですが、M2搭載モデルはシルバー、スターライト、スペースグレイ、ミッドナイトの4色から選択できます。またフロントカメラがM2搭載モデルのほうが高品質な点も、オンラインミーティングが増えた昨今では重要なポイントになるかと思います。
M2搭載モデルはデザインが一新されて洗練していますし、スピーカーやキーボードといった細かなハードウェア面も改良されているので、3万円の価格差があるとはいえ、できればM2搭載モデルを選ぶのがおすすめです。
2022年7月に登場した最新のM2搭載MacBook Airは、ボディデザインが一新した
M2搭載のMacBook Airは新たに「Liquid Retinaディスプレイ」搭載し、これまでより明るく、サイズも13.6インチに大型化。前面のFaceTimeカメラが1080pに、4スピーカーサウンドシステムも搭載する
では、iMacとMac miniはどのように選んだらいいのでしょうか。
まず、iMacに関しては現状M2搭載モデルがリリースされていません。今販売されている2モデルの違いは「本体カラー」「キーボード上のTouch ID(指紋認証)」「ポートの数(USB3ポート×2、ギガビットイーサネットポートの有無)」。価格差は2万8000円で、デザインもハードウェアの細かな面でも大きな違いはないので、純粋に上記3点を比べて検討するとよいでしょう。
iMacは2モデル展開されているが、基本的な仕様は共通。本体のカラーやポートの種類、キーボード上のTouch IDの有無から好みのほうを選ぼう
次に、iMacと違ってディスプレイやキーボードが付属しないMac miniは、その分安価に購入できるため、昔から一定のファンを持つ人気のモデルです。また、コンパクトなボディゆえ設置場所の自由度が高い点も魅力です。
現行のMac miniは、M2搭載モデルとM2 Pro搭載モデルの2種類が存在し、もっとも安価なM2搭載(ストレージ:256GB SSD)の場合はiMacのエントリーモデルと比べて約9万円も安く購入できます。なお、M2 Pro搭載モデルは"プロの道具”を求める人向けなので、多くの人にとってはM2搭載モデルが最適な選択肢となるでしょう。
Mac miniは2モデル展開されているが、Appleのホームページ上には3つのモデルが存在します。ただし、M2を搭載した2モデルの違いは、ストレージの容量(256GBか512GBか)だけとなっている
カスタマイズするときは「メモリが大事」
最後に1つだけ留意したいのは、Macは購入時に「CTO(Customize to Order)」と呼ばれるカスタマイズ注文ができるということ。選択した基本のモデルをベースに、メモリやストレージ、キーボードなどを数種類の中から自分の好みに合わせて選んで購入できるのです。
ここで特に大事なのが、「メモリ」の量。ほとんどのMacで8GBか16GB(または24GB)から選ぶことになりますが、たとえば8GBから16GBにカスタマイズすると、プラス2万8000円かかります。
Macはあとからメモリの増設ができないので、購入段階でしっかりと選ぶようしましょう。メモリについての説明は省きますが、"プロの道具”としてではなく、Macを普通に利用する際でも8GBでは足りない場合があります。
たとえば、Adobeの「Photoshop」や「Illustorator」「Indesign」「Premiere」のような多くのメモリを必要とするクリエイティブソフトを同時に開いて作業を行う場合は、16GB以上にしておくほうがベターです。
CTOでMacのメモリやストレージ、キーボードなどをカスタマイズしていくと、その分トータルの金額がどんどんとアップしていきがち。その際は予算に応じて、M2ではなくM1を選んだりするなどして、自分にとってベストなバランスを見つけ出すようしましょう。
モデル選びに悩んだら、Appleの公式Webサイトにある「Macのモデルを比較する」も活用してみよう。最大3つのモデルをプルダウンメニューから選んで、主なスペックを見比べることができる(https://www.apple.com/jp/mac/compare/)
メモリの容量が大きいほど、より多くのアプリを同時に実行でき、パフォーマンスも安定する。標準の8GBにするか16GBにするかは重要な選択だ
文/水川歩