北海道新幹線 開業時期は「白紙」に 巨岩遭遇や地質不良で工期不透明 事業費6450億円増
とりあえず2030年度開業は厳しそうです。
事業開始以来のさまざまな不確定要素の積み重ね
国土交通省は2022年12月7日(水)、建設中の北海道新幹線の工程や事業費について4回にわたって行われた「北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の整備に関する有識者会議」の報告書を公開しました。
新函館北斗から札幌までの延伸工事が行われている北海道新幹線(画像:写真AC)。
それによると現時点の想定で、事業費は当初の1兆6700億円から6450億円増加、開業は当初の2030年度から「確定的な形で工期を見通すのは難しい」という見通しになっています。
事業費増加の内訳として、報告書では
●物価上昇と消費税増税(5%→8%→10%):約2050億円
●発生土運搬処理や地質不良箇所の補強:約2700億円
●設計基準や工事ガイドライン、労務環境の変化への対応:約1340億円
●協議による環境設備等の対応:約670億円
●コスト縮減:約310億円(減額を実現)
となっています。
工程面の課題として、
●倶知安付近の「羊蹄トンネル」でシールドマシンが巨大岩塊にぶち当たり停止。回り込むように臨時トンネルを堀り、岩塊を砕く作業を実施。
●地質不良区間でトンネル補強工事。
●発生土の受け入れ地確保が難航し、工事着手自体も遅延。
などの状況が積み重なり、すでに3〜4年の遅れが発生している工区もあるとのことです。当初開業予定までまだ8年あり、この先もまだ不確定材料が多いため、先述の「確定的な形で工期を見通すのは難しい」との判断に至ったとのことです。
今後については、工事を担当する鉄道・運輸機構と、国土交通省・関係自治体・JR北海道らが一丸となって取り組み、課題がある場合には知恵を出し合い、相互に協力して解決していくことが必要としています。具体的には進捗やリスクの発生時に綿密に見直しを行い、継続して工事をモニタリングしていくことが重要としています。