中村憲剛が力説する、W杯でのベテランの重要性。「川島永嗣のひと言で救われる選手もいるはず」
激闘来たる!カタールW杯特集
中村憲剛が「フロンターレ組」にエール(4)
<川島永嗣>編
現地11月20日、カタールにて2022年FIFAワールドカップが開幕。今回選ばれた日本代表メンバーを見返すと、最終登録26人中のうち、実に7人もの選手が「川崎フロンターレ」に縁を持っている。フロンターレの"バンディエラ"中村憲剛氏にそれぞれの選手の特徴や思い出を語ってもらい、本大会に向けてエールを送ってもらった。
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◆「三笘薫・田中碧」編はこちら>>中村憲剛が期待する後輩「上田綺世とのコンビは楽しみ」「盤面で見られる目を持っている」
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4大会連続で選出されたチーム最年長39歳の川島永嗣
── ワールドカップ本大会への出場を決めたオーストラリア戦(3月24日@シドニー)から、日本は大きく変わったように感じます。
「守田(英正)と(田中)碧のふたりのパフォーマンスによって、フロンターレで培ったものが代表でも武器になり得ることを証明してくれたと思います。そこから(谷口)彰悟や(山根)視来や(三笘)薫など、いろんな選手が代表に入ってくるきっかけになりました。彼らが一緒に出ることで相乗効果が生まれます。
だから僕のなかで、あのふたりがワールドカップでどれだけ通用するかは、勝手に指導者としての"道しるべ"になると思っていて。アドバイスを含め、いろいろと声をかけてきたふたりですから。ふたりを通して見られるものがあると思います」
── ふたりのプレーは、憲剛さんのアドバイスが形作っているということですか。
「彼らが成長する過程で、僕は一番近くにいたチームメイトのひとりにすぎません。彼らのプレーを形作ったのは、多くの方の指導と彼ら本人の努力の賜物です。
あたりまえですが、僕のアドバイスがすべてじゃないですし、彼らは経験してきたものすべてを自分の血肉にして成長できる素養の持ち主です。実際にすごく努力をしてきたと思うし、それは今も継続中だと思います。
プロに入って数年でそのエッセンスを吸収し、ベースにして羽ばたいていった彼らが、世界の猛者たちを相手にどれだけできるかというのは、僕のなかで"ものさし"になります。僕はもう選手としてトライすることはできないですけど、今までの自分の働きかけが彼らのような選手を形成したと言うならば、これからの自分の指導者としての引き出しになる。
今回のワールドカップはある意味で答え合わせみたいなもので、フロンターレでやってきた選手がどれくらいできるかということを、本当に楽しみにしています。もちろん本人たちは、それぞれで努力してきたし、フロンターレを出てからもバージョンアップしているわけなので、それだけじゃないというのは間違いありません。
だけど一方で、彼らは端々にフロンターレで過ごした時間のおかげとも言ってくれています。それは僕にとってもうれしいことですし、フロンターレ関係者も同じ想いにあると思います」
── 憲剛さんの想いも託されているわけですね。
「勝手に託しています(笑)。30歳を過ぎてからいろんなことが見えてきて、風間(八宏/2012年〜2017年@川崎監督)さん、鬼木(達/2017年〜現在@川崎監督)さんの下でプレーするなかで、自分のなかで形作れたものを現役中に若くして入ってきた彼らに、一緒にプレーしながら落とし込んだという自負はあります。
その頃の僕はもう、選手としてはワールドカップに間に合わなかったですけど、僕と一緒にプレーしてきた選手たちが、日本代表にも影響をもたらす選手になった。だから最終予選も見ていて楽しかったですし、今回のワールドカップも楽しみでしかないですね」
── その文脈からは少しずれるかもしれないですけど、最後に同年代で、今なお代表に名を連ねている川島永嗣選手(ストラスブール)についても話を聞かせてください。
「4大会連続ですか。すごいですよね。40になる歳ですから、永嗣にはいつもすごいとしか言えないですね。初めて会ったのは永嗣が高校生の時。中央大の練習に参加した時から彼のことは知っていました。結局、大宮(アルディージャ)に行きましたけど、その後2007年にフロンターレで再会して、海外移籍するまでの3年半を同じチームでプレーしました。
永嗣はしっかりとした世界観を持っているからこそ、今もあそこにいられるんです。どんなことがあっても、常に自分を向上させることができるんですよ。どこにそんなエナジーがあるのかと、いつも驚かされますね。苦しいこともたくさんあっただろうけど、落ち込んでいるところはあまり見たことがないです。
パーソナリティが群を抜いていますし、プレーは言わずもがな。今はサポート的な役割も担っていますけど、試合に出たら安定感を担保してくれる。ガーナ戦(6月10日@神戸)で出場した時には好セーブを連発していたので、その時はさすがに『感動した』ってメッセージを送りましたね(笑)」
── 初出場の選手が多いなかで4回目の出場となる川島選手の経験値の高さは、今回の代表にとって、とても重要ですよね。
「今回だけではなく、これまでのチーム作りのなかでも、永嗣のベテランとしての振る舞いはすごく重要だったと思います。経験していることは山ほどありますし、どんな試合でも、どんな練習でも全力で臨む選手ですから、そのふだんの姿勢が中堅・若手にすごくいい影響を与えているはずです。
常にチームのことを考えている選手ですし、カタールでも同じように振る舞うでしょう。強国相手に苦戦が予想されるなかで、試合に出ようが出まいが、永嗣はチームを前に向かせる役割を果たしてくれるはずです」
── やはりワールドカップのような短期決戦では、ベテランの存在は大きいのでしょうか。憲剛さんが出場した2010年の南アフリカ大会では、当時34歳の川口能活選手や楢粼正剛選手がメンバーに名を連ねていましたよね。
「そうですね。個人的には特に、能活さんにはお世話になりました。毎日のように話を聞いてくれましたし、『ベンチの選手がやらないといけないよね』『出番が来たら絶対やれるよ』と前向きな声をかけてもらえたことを覚えています。
試合に出られないなかで、能活さんは練習から手を抜かなかった。永嗣もその姿を見ているからこそ、同じことができるはずです。日本代表として継承されているものは間違いなくあって、永嗣がそれを伝える役割を何年も果たしています。彼のひと言で救われる選手もいるだろうし、奮い立つ選手もいるはずです」
── 過去のワールドカップでも、ベテランの有無が結果を左右していますよね。
「そうなんです。チームがまとまるか否かは、ベテランにかかっているんです。ベスト16に進出した2002年にはゴンさん(中山雅史)と秋田(豊)さんがいて、2010年には能活さんやナラさん(楢粼正剛)、俊さん(中村俊輔)がいた。キャリアのある人が必死にやる姿を見れば、誰も手は抜けないですし、チームの一体感は増します。
永嗣はチームに影響を及ぼす選手であることは間違いないですから、常に全力でやる姿勢が今大会の日本代表を支えると思っています。彼に対して何の心配もしていません。同世代の代表として、とにかく頑張ってほしいですね」
